ねむりの部屋 Vol.5 リネンを求めてリトアニアへ

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リトアニアといってリネンをイメージする人は少ないだろう。バルト三国の中で最も南のこの国との関係は、第2次世界大戦の際に本国の訓令に逆らって通過ビザを発行し何千人ものユダヤ人の命を救った当時のリトアニア総領事・杉原千畝が有名で、首都ヴィリニュスには彼の碑がネリス川畔にある。

リトアニアでは伝統的にリネン草(フラックス)の栽培が盛んで、リネン生地メーカーが多く存在している。その中で、6年来のお付き合いをしているのがシウラス社。マスター・オブ・リネンの認定を受けている良いメーカーだ。9月上旬、シウラス社を訪れることになった。ヴィリニュスから北へ220㎞、ラトビア国境に近いビルザイという街に会社はある。

残念ながら、日本の麻生地は原糸は中国製だが、シウラス社ではリネン草から紡績、製織から一部は製品までを一括して作っている。なにより、小ロットでさまざまなバリエーションでオリジナル生地を織ることができるのが最大の特徴だ。それ故、オリジナルの羊毛敷き布団や本麻敷きパッドなどに重宝するのである。

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いままでもドイツの展示会の場やメールなどで打合せを行ってきたのだが、製造の現場へ行って、そこでいろいろと議論を重ねながらモノづくりを行っていくことの大切さを改めて実感することとなった。今回は、従来の平織に加えてジャガードで、しかも3種類の生地の厚さを揃えることとした。企画としては来年の春夏ものなので、手に取っていただくにはもう少しお待ちいただくことになる。

師とあおぐ出島二郎先生の言葉に「あなたが扱っているものは商品か、製品か、作品か、どれなのだ」とあるのだが、私たちがめざすものは「作品」でありたいと思っている。それは、日本にここしかない、ということもあるのだが、お使いいただく方に快適な眠りをお届けしたいという思いをこめているからである。

短い滞在ではあったが、改めて「思い」の大切さを感じることとなったひと時であった。

ねむりはかせ       沢田昌宏