ねむりの部屋 Vol.10 起きて半畳寝て一畳 90センチの不思議

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ちょっと前のことだが、ドイツのメーカーにベッドを注文する際にシングルと指定したら90センチ巾のものが届いて慌てたことがある。ゲルマン人は非常に体が大きいのだが、ドイツで用意されるベッドの巾はほとんどが80㌢、90㌢、100㌢センチのいずれかで、標準が90㌢というから、100㌢巾の日本のほうが広いのだ。

不思議なことに90センチというのは日本でいえば3尺であり、ヨーロッパでいえば1ヤード(3フィート)に等しい。日本の尺貫法は中国を源としているが、世界の東と西で長さの単位がほぼ同じというのは実に興味深い。人間の体がサイズの基本になっているからなのだろう。

畳の大きさは概ね3尺(90㌢)☓6尺(180㌢)だが、昔は板の間に畳を敷いて寝ていた、つまり畳の大きさは人間一人寝るに必要な大きさから来ていることになる。近世になり布団が生まれたが、38㌢巾の生地を3つ横に継いだ三巾とよばれるサイズは約105㌢であり、これが日本のシングルサイズの原型になった。おそらくヨーロッパでは1ヤードの巾がシングルサイズになったのであろう。

ダブルサイズというとシングルの2倍あるかというとそうではない。日本のダブルサイズは四巾(140㌢)がベースとなっていて、抱き合って眠るならともかく、寝返りもままならないこの巾では、正直二人で寝るにはちょっと狭い。ドイツはというと、前述の80・90・100のいずれかのサイズを2つ並べてダブルとする。一番狭い80㌢☓2=160㌢で、やはりこれぐらいの巾は最低欲しいものである。

起きて半畳寝て一畳。とすればこの一畳は人生にとって代えがたい大切なものといえないだろうか。

ねむりはかせ       沢田昌宏