結局良い羽毛と、そうでない羽毛があるだけ(羽毛の産地偽装に関連して)

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羽毛の産地偽装で業界がゆれています

羽毛ふとんの産地偽装とその背景について
フランス産と称する羽毛ふとんの多くが産地偽装であるという報道 5/7朝日新聞にフランス産羽毛の多くが産地偽装されているという報道がありました。業界では噂になっていたようで、自浄作用が働くのかどうか、興味を持ってみたいと思います。 ...

私のところにもお客様からお問い合わせがあったり、マスメディアからの問い合わせなどもいただいています。

もちろん、産地偽装をするという犯罪行為(法に抵触します)そのものは許されないことであり、業界人の1人として襟を正すことが大切です。これは羽毛だけでなく、他の素材にも起こりうることです。ちょっと前にはカシミヤ事件なんてのもありました。

今回の問題(というか以前からずっとなんですが)を整理すると

実際に良い羽毛が採れるイメージの良い産地を詐称したこと

これが問題になっています。それじゃあフランス産だったらなんでも品質が良いのかというと、当然天然素材ですから 「良いものも悪いものもある」 ということなんですね。

羽毛の品質を表すのにかさ高性があります。ダウンパワー(dp)という数値で、これが大きいと良い羽毛ということになります。比較的分かりやすい指標です。ダウンパワーについては日本羽毛製品協同組合(日羽協)のホームページに説明があります。

以前はダックダウンはダウンパワー値で380dpが限界で、一般的には350dpで良い方とされていました。フランスの場合、マスコビー種やそのハイブリッドであるミュラー種などが比較的ダウンパワーがあり、今日では400dpを超すダックダウンも出てきています。

実際私どもが使っている、フランス・ピレネー地方のホワイトダックダウンはミュラー種でダウンパワーも400dpあります。日羽協の企画でいえばロイヤルゴールドラベル相当になりますね。フランスは良い羽毛(ダックが中心)が採れる産地なのです。

360dpのフランス産と390dpの台湾産どちらが良いか?

私どもが仕入れている河田フェザーさんのリストにはフランス産は360dp~410dpまであります。一方、台湾産は380~390dp、産地無し(トレーサビリティが取れない・・おそらく中国)は340~350dpです。もちろん、日本でも一番レベルが高い河田フェザーさんなので、無印でも340dpあるんですね。市場には300~350dpクラスがほとんどでしょう。(300dp以上だとゴールドラベルが付けられるため)

私なら、360dpのフランス産を使うなら390dpの台湾産を使うでしょう。日本人はフランス産というと高級イメージを持つかもしれませんが、洗浄の状態等が同じなら390dpの台湾産の方が良い羽毛になります。

もちろん国内洗浄であることが前提

といっても中国や台湾で洗浄精製され日本に輸入される羽毛は、洗いが日本の水準より劣るものが少なくありません。となればダウンパワーだけで判断するわけにはいきません。ダウンパワーや透視度、酸素係数など羽毛の検査で得られるデータによって判別すべきと思います。

今回の問題は価格を安くするために、おそらく程度の低い中国産などの羽毛を使って、フランス産を称したということですが、上記のようなケースだったら、皆さんどちらを選択されるでしょうか? ここまで説明すれば「390dpの台湾産」とおっしゃるかも知れませんが、単純にネームだけを見るだけなら、「360dpのフランス産」を選ぶ方の方が多いのではないでしょうか? ここに、産地ブランド偽装の問題点があるのです。

私の店は羽毛の品質は400dpを最低ラインにしているために、400dpが得られるフランス産を選んだ、ということだけなのです。

本来、問われるべきは産地より良い羽毛かどうか

ポーランド産も同様です。非常に良い羽毛が採れる産地ですが、ポーランド産の羽毛が全て良いわけではありません。ポーランド以外であっても、丁寧に育てている個人農家からは、本当に良い羽毛を得ることができます。

本当は、良い羽毛と、そうでない羽毛があるということだけなのと思います。

自分で実際に羽毛ふとんを作っていると、産地や表示品質よりも、どれだけパワーがあるか、ゴミが少ないかということが重要であるということがよくわかります。