Q:木綿わたの布団って良いんですか?

伝統的に使われてきた木綿わた

ほんの30年ぐらい前までは、日本で最も多く使われてきたのが木綿わたの布団です。歴史的には綿花が本格的に栽培されはじめた江戸時代からですが、当時木綿は貴重品で、布団一組で家が一軒建ったといわれています。ですから、婚礼布団というのは一種の財産でもありました。

木綿わたは、定期的に「打直し」をすることで、長く使われてきたのです。

打直しとは、硬くなった木綿わたの繊維をカード機という機械にかけて、繊維をほぐし直して嵩を取り戻す、いわば素材のリユースといっていいでしょう。かつては、布団の仕立てはそれぞれの家でおこなわれてきましたので、夏になると打直しをして仕立て直しをするのは風物詩でもありました。

1890(明治23)年創業の眠りのプロショップSawada(沢田商店)は元々綿屋です。木綿わたの打直しを代々行なってきました。

汗は良く吸うが、こまめに日干ししなければならない

昨今多いポリエステルわたに比べて、木綿わたの最大の長所は「吸湿性が良い」ということです。ヒトは一晩に200~600ccの発汗を行ないますから、汗を素早く吸うことは非常に大切なことでした。

問題は、その吸った湿気を放出するには、天日干しをしなければならないということです。日干しをすることで、乾燥されふっくらした寝心地が戻ってくるのです。かつては、屋根などに布団を干すという風景がありました。

植物性繊維である木綿は、日光や乾燥機などの熱を与えて乾かす必要があります。一方、動物性繊維である、羽毛・羊毛・絹などは、吸収した湿気は、空気を当てることによってある程度放出されます。木綿わたの布団を快適に使うには、3日に一度ぐらい日干しすることが必要なのです。

木綿わたの布団で、快適な睡眠環境である温度33℃湿度50%を実現するには、日干しかふとん乾燥機を使うなど、こまめな手入れが欠かせません。そうしないと湿気を含んだままでは、布団が重くなり、なかなか暖まりにくい布団になってしまいます。

今日の生活スタイルでは、なかなか十分に干す時間がとれません。加えて、今や空気中にはPM2.5、花粉等々アレルギーの元が多くなってしまい、簡単に干すことができなくなってしまいました。 木綿わたの布団では十分に対応できなくなっているのです。

一方、羽毛や羊毛わたは湿度のコントロール機能が優れているため、気密度の高い住宅が増えた今日では、羽毛や羊毛を使った方が、快適な寝床内温湿度をキープすることが簡単なのです。

それでも天然素材の良さがある

それでも、汗を吸わないポリエステルわたに比べれば、天然素材である木綿わたの布団は十分に快適といえるのです。

木綿わた布団の欠点である、重さを軽減するためには、木綿単独で使うのではなく、さまざまな素材と組み合わせることが必要です。

例えば、初夏の時期は木綿の肌ふとんは快適です。最近ではオーガニックコットンや、プレオーガニックコットン(POC)など、安全な素材が増えてきました。羽毛や羊毛に比べると価格が安いので、うまく使えば、安全で快適な睡眠を得ることができるのです。

せんべい布団は身体に良い?

木綿わたは使用しているうちに、嵩が減って硬くなってしまいます。いわゆるせんべい布団というものですが、かつては硬い方が身体に良いといわれてきました。もちろん、ふかふか過ぎて腰が落ち込むような状態は良くありません。

しかし、せんべい布団というのは、木綿わたが本来の機能を失った状態です。温湿度の調節や体圧分散などの機能が劣った状態ですから、睡眠のために良いとはいえないのです。

最悪?せんべい布団+電気敷毛布

薄くなった敷布団は熱が逃げやすくなっています。熱は下から逃げるのです。その為に電気敷毛布を組み合わせて使っているケースが少なくありませんが、睡眠時の温度コントロールとしては最悪といわざるを得ません。

もともとが(今でも)綿屋である私たちにとっては残念なことですが、快適な睡眠環境を作るという点では、木綿わたの布団をおすすめするということは、難しいといえるのです。