Q:ゴアテックスの羽毛布団を使っていると蒸れるんですが?

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ジャパンゴアテックスの説明資料

東京にお住いのお客様からゴアテックス羽毛ふとんの通気性が悪いせいなのか、むし暑くて起きてしまいます。とのこと

見てください、と送っていただいた羽毛布団は綿とリヨセル混紡のサテン生地にゴアテックスをラミネートしたもの。18㎝以上のポーランドマザーグース ダウン93%が1.2㎏です。

この場合、ふとんの保温力が高すぎるのか、通気性が悪くて湿気がこもるのか このあたりに原因がありそうです。

ホコリを通さず、透湿性は抜群なので、蒸れにくいといわれるゴアテックス・ファブリックスだが・・・

生地に口を開けて空気を吹き込んでみました。ほとんど空気は流れません。ちゃんと通気度検査を行っている訳ではありませんが、1ccは確実に下回る感じです。私どものS9100の生地のように呼吸ができるということはありません。

ゴアテックスは14億個/㎠の小さな穴が開いており、ダニやホコリは通さないが、水蒸気は通すので、ホコリが出ずに、透湿性は確保されていて蒸れにくいという説明がなされています。

実際に使ってみたら蒸れた

ところが過去にゴアテックス繊維を使って布団を作って、うちのスタッフに使ってもらったところ、「とても蒸れて寝られません」とのこと。蒸れないはずの羽毛布団が蒸れるとはどういうことなのか・・・・と調べてみました。今から7年も前の話の顛末はこちら

しかしながら、ネットでは「蒸れにくいふとん」として販売されています。この7年間で改良されたのでしょうか?正直よくわかりません。

説明図を見ると「空気は通す」「水蒸気は内から外へ出す」「ホコリは通さない」

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説明ではゴアテックスメンブレンがラミネートされた内側から外側へ水蒸気は通ると説明されています。それでは外側から内側への水蒸気の浸透があるのかというとわかりません。

空気は通すとありますが、1cc/sも無いようでしたら、満足度な通気度とは言えません。

スキーウェアのようなアウター素材ならわかる

アウター素材の場合、内側は身体から水蒸気が発散されているので、雨のような水分子は外から内へ入ってこないが、不感蒸泄される水蒸気が通るというリクツはよくわかります。

ところが布団の場合、身体から発散された水蒸気は、ゴアテックスの外側から内側へ入り、中の素材(羽毛)で吸湿発散されたのちに、内側から外側へ抜けることになります。説明通り内から外へ一方通行なら、身体表面で透湿は得られないことになります。

もっともゴアテックス・メンブレンの説明をよく読むと一方的ではなさそうですから、この場合図が間違っているのかもしれません。

実際にカタログ通りの1.3倍の透湿量は得られるのか

このタイプの素材のデモでは、メンブレン側に高温の蒸気を発生させて、外側へと透湿するというモデルが紹介されます。確かに、あれだけ水蒸気のブラウン運動量があれば、そうなるのでしょうが、実際に布団にした場合、外側とふとんの内側が同じ温度(一般には33℃)で平衡したときに同じような透湿性が得られるのかというと、どうも怪しいように思われます。

しかも、水蒸気は上記に述べたように裏生地~中身素材~表素材を通る必要があるためで、入眠時の急激な発汗に対応できるのかというと疑問です。

これは、理屈では透湿性が良いにもかかわらず、実際には蒸れて感じてしまうというご相談内容を裏付ける内容といえます。

実際には通気性が良い生地の方が蒸れにくい

リクツはともあれ、実際に使った場合は通気性の良い生地を使った羽毛布団の方が快適に感じられます。もちろん通気性を上げれば、羽毛のホコリは出やすくなりますし、通気性が良いだけに羽毛の汚れも早くなります。

私の結論:ハウスダストを気にする人にはおすすめだが、蒸れないという点については、かなり疑問

寝具メーカーに多いのが、素材メーカーの機能をうのみして、実際の製品での検証を行わないということです。

説明書にあるように「羽毛本来の機能を最大限に生かす理想の生地」であるならば、最高級のアイダーダウンにこそ使われるべきなのでしょうが、現実はそうではありません。アイダーダウンの良さを実感するには、通気性の良い生地が必要なのです。

5年経っても羽毛が汚れないともあります。確かにリフォームで預かった羽毛を見ると汚れていません。自然素材で自然な眠りをめざしたい私にとっては、呼吸をしないような羽毛布団は「ちょっと気味が悪い」という感じですね。