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羽毛布団、羽毛布団リフォーム6/1より価格改定

マザーグース、マザーダックという偽装の疑惑

ポーランドのマザーグース農場にて

目次

そんなに多くマザーグースやマザーダックがいるのかという疑惑

さて、フランス産羽毛表示なのに中国産が使われていたなどの産地偽装は、前々から行われてきたわけですが、今回の新聞報道によって表に出てきました。もう一つやっかいな表示偽装の疑惑があります。

マザーグースやマザーダックという表示があります。卵を産むために質の良い鳥が親鳥として選別されます。これらの鳥は体格も優れていて飼育期間も長いので、採取された羽毛は非常に良質であるという説明がなされています。この説明自体は確かに正しいのですが、それでは日本国内で出回っている結構な量のマザーグースやマザーダックは本当なのかというとかなり疑わしいというエントリーを先日行いました。

正直申し上げて西川(西川産業、西川リビング、京都西川、昭和西川それぞれの会社は別会社ですが西川の一統です 注:前三者は合併して西川株式会社となりました)の商品ラインアップにもマザーグース(あるいはエッググース)という表示があります。

これらは、幅広い羽毛布団のラインアップの中でもトップクラスに位置づけられています。しかし、あまりに多いマザーグースという表示。西川に限らずほとんどのメーカーの製品にマザーグースやマザーダックという表示を見ることができますが、やはり、これらも通常のグースやダックに対して高品質な上位商品とされています。

けれども、こんなに多くマザーグースやマザーダックがいるとは考えられません。上のエントリーにも述べたように、ライブプラッキング(生きた状態で羽根の生え替わり期に手で採取すること、ハンドプラックング、ハンドピックとも呼ぶ)が禁止された今日、親鳥から羽毛を採るとすれば、と殺した後に得るしかありません。過去なら毎年2回採取できたものが、通常3~4年育てる親鳥から羽毛を得るチャンスは一度しかないはずです。

もちろんライブプラッキングをすればマザーグース・マザーダックを手に入れることはできますが、特にヨーロッパでは鳥に残酷なことをしない、健康な状態で育てるということが求められている以上、高品質なダウンにおいてライブプラッキングをしているとすれば、モグリの業者としか言えない状況です。

2016/5/13補足 さらに追記

河田フェザーから、原産地証明書が送られてきました。もともとシルバーグース用のものですが、そのインボイスの中で同時入荷した羽毛リストの中にHUNGARIAN MOTHER GOOSE DOWN と書かれています。河田フェザーさんなので、へんな業者からは買っていないはずなので、このMOTHER GOOSE DOWNがいかなるものか確認中です。

先方からの指摘で、よくよく見ればMOTHER GOOSEとか HARVEST(ハンドプラッキング)の表示があったのは2011年の分でした。2013年のにはありませんでしたので、ちゃんとなっているということだと理解しました。引き続き調べています。

2016/10/25 さらに追記

別の情報から、ポーランドではマザーグースはライブプラッキング(ハーヴェスティングと言っています)を行っているようです。これは伝統的に行われていて、羽毛の生え替わり時期に負担をかけずに行っているからということで、政府が認めているのだという情報です。

これらの羽毛がダウンパス承認を得られるのかというと、これも不明です。

2016/12/23 さらに追記

河田フェザーさんが来られて、現状の説明をいただきました。結局マザーグース農場においてはハーヴェスティングと呼ばれるライブプラッキングは行なわれているということです。それ以外は、と殺後のプラッキングです。それでも実際にマザーグースの量は非常に少ないということでした。

市場ではマザーグース表示を行いたいという要望が強いらしく、この1月からの価格表にはマザーグースが復活しました。もっとも、同じ440dpで通常のグース表示とマザーグース表示、もちろんマザーグース表示の方が価格は高いんですが、意味があるのかというと・・・どうなんでしょうね。

2017/10/12河田フェザー訪問での追記

河田フェザーの社長、河田敏勝さんからお話を聞いて、ほぼ整理ができてきました。

ポーランドだとコウダヴィエルカ研究所のような、品種改良しながら、その品種のオリジナルグースを管理飼育しているところがあります。(この場合は祖父母農場とでもいえばいいのでしょうか)そこで生まれた雛はマザーグース農場へ販売されます。

マザーグース農場は卵を産むだけの農場です。マザーグースは平均4年、卵を産み続け、季節の変わり目に羽毛が生え替わるタイミングでハーヴェスティングを行ないます。

マザーグース農場で生まれた卵から孵った雛は通常の農場で飼育されます。かつては22~25週飼育されていましたが、食肉へのコスト要求から、品種改良によって16週での出荷になっています。品種によっては9~12週でも出荷されます。ここではと殺後にハンドプラッキングされる場合と、マシンプラッキングされる場合の2種類あるそうです。

飼育条件からいうと、同じダウンパワー表示の羽毛でもマザーグースの方が体格等の条件が良いので、元気な羽毛が得られるといっていいでしょう。

2018/1/24 ポーランドのマザーグース農場へ行ってきました

訪問したのは2018.1.12 これでほとんど現状がわかりました。マザーグースは全体の4%程度です。これでほぼはっきりしました。

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プレミアムグースと表示すればいいだけではないのか

ごく一部であるがマザーグースは存在することが判りました。ただ、それが存在し良質であるなら440dp(ダウンパワー)以上(プレミアムゴールドラベル)は必要でしょう。しかし、マザーグースでなくても440dp以上ある羽毛は少なくありません。別にマザーグースと表示しなくてもいいのではないでしょうか?

また、マザーグースであることの証明をどうするのでしょうか?(餌もDNAも同じですので、検査で調べることは非常に難しいのではないかと思います)

良質なダウンをマザー云々と表示するより、例えばグースなら440dpのプレミアムゴールドラベルクラスならプレミアムグースと表示すれば良いだけなように思います。

そうすれば400dpでマザーグースというばからしい表示をする業者も減るでしょう。

追記 当社のマザーグース表示について

2020.9現在、当社においてはハンガリー産のマザーグースのみを扱っています。ダウンパワーは450ですが、この450が出る原料は当面手に入らないということで、現在手持ち約15kg程度で終了となります。

2024.3現在、当社はポーランドマザーグース95 440dp、ポーランドプレミアムマザーグース 470dpを扱っています。

追記 レギュラーグースとマザーグースでは価格にかなり違いがある

ポーランド産グースで、プレミアムゴールドラベル基準の440dpのパワーのある羽毛がレギュラーグースとマザーグースの2種類があり、価格は20%ぐらいマザーグースの方が高いのです。当然ながらマザーグースの方がゆったり育てられているために、ダウンの力強さに違いがでるものと思われます。

追記 西川産業さんへ

このままでは西川がマザーグースを偽装していると誤解をうけそうな部分もあるので、西川の名誉のために補足します。西川のなかでも西川産業(東京西川)は、一番真面目に製品作りをしているメーカーだと日常感じています。特にカタログに載るような定番品については、毛布やカバーなども非常にしっかりした高品質なものづくりで、この価格でこの品質をよく実現している、と思うことも少なくありません。

偽装報道で5/9にTBSの番組「ひるおび」にコメンテーターとして出演した際にも、CMの間に、もし迷ったら西川産業の製本されたカタログに載っている製品の中から購入したら選んでいただいたらいいでしょう、と他のコメンテーターの皆さんにお伝えしたぐらいです。

このことを考えると、西川産業は本当のマザーグースを使っているのかもしれません。しかし他の3社の中には430dpでマザーグースを称しているケースもあるなど、「本当かいな」と思われる部分もあります。実際に、私どもで通常のグース表示している430dpの全く同じ原料をマザーグース表示で販売されていました。消費者からみれば「西川」は一緒ですから、「うちはちゃんとやってる」といっても、一緒にされてしまう危険性があります。

ならば、マザーグースというリスクの高い表示をしないように、グループで足並みをあわせるようにすればいいのではないかと思うのです。業界の健全な発展のためにも。

補足 西川産業、西川リビング、京都西川は3社合併して西川株式会社となりました。商品ラインアップは、旧社のものが残っていますが、西川産業標準となりそうですが、あくまで推測です。

 

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