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実は間違いだらけの羽毛布団選び
インターネットなどで羽毛布団の説明を読むと、ほとんどが羽毛の産地や鳥の種類など中に詰める羽毛の説明がほとんどです。その後に、生地やキルティングの説明が出てきます。
もちろん、羽毛布団の中で最もコストが高いのは羽毛ですし、低級品の羽毛を使って良い寝心地が得られるわけではありません。良い原料を使うことは当たり前のことです。
しかし、良い羽毛を使えば、睡眠に最適な羽毛布団になるのか、といえばそうではありません。
440dpのグース(60サテン) と 400dpのダック(100サテン)だったら・・・私は後者を選ぶ
羽毛は最高のプレミアムゴールドクラス(440dp)だが、生地は並の超長綿(60サテン)で仕上げたものと、羽毛はロイヤルゴールドクラス(400dp)だが、生地は軽量の超長綿(100サテン)の羽毛布団があったとしましょう。(生地の通気度やキルティング等は同等とする)
通常なら羽毛の質が良い440dpグースの方が良いとされます。価格も高くなります。ほとんどの店が前者をおすすめするでしょう。しかし、私なら迷わず後者を選びます。なぜなら、生地が軽くソフトな方が、寝心地が改善するからです。
生地が重いと、湿気を含みやすく暖まり方が遅くなります。さらに中の羽毛も生地の重さで押さえられてしまうのです。ダウンパワーは低くても、軽い生地の方が空気を含みやすく、実際に使用感としては上です。(絶対とはいえませんが・・・)
これで、100サテンの方が通気度が高かったら、軍配はさらにはっきりします。通気度が高い生地の方が、温湿度の調節が早いからです。
もちろん350dpのダックだったら・・・かなり迷うかも知れませんが・・・
快眠のための羽毛の性能は羽毛の品質だけで決まらない。睡眠環境や体質に合わせた、総合性能で選ぶべき
羽毛布団は羽毛・側生地・キルティング・充填量で性能が決まります。
メーカーの羽毛布団カタログを見ると、高級ラインの羽毛布団は多くが二層式キルト(あるいは三層式)と呼ばれる仕立てになっていて、かなり厚手の保温力がある仕上げのものがほとんどです。
しかし、高気密高断熱の住環境が増えた今日、よほどの寒がりは別として、こんなにふっくらした羽毛布団が要るでしょうか?真冬ならともかく、10月~4月までの使用を考えると、適度な厚さでとどめておいた方がいいのです。二層式は生地が多いため、空気の循環が十分でなく、湿気がこもりやすくなるためです。気密性の高い住宅では、保温より湿度の調節の方が重要になってきます。
快眠の条件は温度33℃湿度50%
となれば、住まいの地域、住宅の建築法、陽当たり、使うヒトの基礎代謝量、暑がりか寒がりか等によって、最適な羽毛布団の厚みは異なってきて当たり前です。それを、「この羽毛は最高級の品質で嵩高も抜群、だからあなたにピッタリ」なんてありえません。
もちろん後述しますが、羽毛の品質は良いにこしたことはありません。良い羽毛は長持ちもしますし、ホコリも少ないのです。ただ、品質が高ければ良い羽毛布団である、ということではないのです。
生地とキルティングを選んでから羽毛を選ぶ
さて、もうちょっと難しい選択問題です。太平洋岸の比較的新しいマンションで、暑がりでも寒がりでもない場合、羽毛の質は同じダウンパワー440だとしたら、どちらが快適でしょうか?
1.ポリエステル混超軽量サテン(90g/㎡) 4×5キルト 羽毛充填量は1,200g
2.綿サテン(105g/㎡) 4×5キルト 羽毛充填量は 1,200g
この場合は2.が正解です。確かに1.は軽量ですが、ポリエステル混生地は通気性が悪く(通常1cc以下)、湿気のコントロールが難しいのです。しかも90g/㎡の生地に440dpパワーの羽毛を1,200gも入れると、羽毛がぎゅゆぎゅう詰めになってしまうので、空気の循環がさらに妨げられます。また、膨れすぎると肌沿いが悪くなってしまい、保温力も下がります。国産の綿サテンであれば通気度は1.5ccほどあるので、2.の方が快適となります)
本当はこの場合のベターは 同じ2.の生地を使ったとして
3.綿サテン(105g/㎡) 5×6キルト 羽毛充填量は 900~1,000g
つまり、かなり暖かい条件では、少し薄めの仕上がりの方が、快適に使えるのです。そしてベストの答えは
4.綿平織(85g/㎡) 5×6キルト 羽毛充填量は 800g
(もちろん全てがそうではありません。一般論としてお考え下さい)
とにかく通気性の良い生地を選ぶこと
羽毛布団が木綿わたの布団より良いのは、羽毛が適度に温湿度を調節してくれるからです。温湿度の調節をすばやく行なうには、通気性が良く軽量であることが求められます。
ポリエステル混の生地に問題が多いのは通気度が1ccにも満たない生地がほとんどだからで、特に湿度の調節が苦手です。蒸れやすくなってしまうのです。
原則的には、生地の通気度が高いほど、快適な睡眠環境を得ることができます。2cc以上は欲しいところです。ただ日本の羽毛布団生地の規格では、サテン生地の場合通気度は3cc未満、洗濯後4cc未満でなければなりませんので、実際には1.5ccで仕上がっているものがほとんどです。
また、生地が軽いほど、即温性が高まり、羽毛の良さが生きてきます。生地重量は100g/㎡以下のものを選びたいところです。
標準的な超長綿60サテンは 重量 140g/㎡ 通気度 1.3cc
超長綿100サテンだと 重量 105g/㎡ 通気度 1.5cc
ですが、
オリジナル国産平織S9100は 重量 85g/㎡ 通気度 3.5cc
ドイツ製平織りTE270は 重量 69g/㎡ 通気度 6.0cc
つまり、最も快適な温湿度の実現にはTE270がベストといえます。
通気度が高い生地には上質な羽毛が必要
ところが通気度を上げていくと、ダウンファイバーなど羽毛ゴミが多い低級品の羽毛を使うと、羽毛の吹き出しが多くなってしまいます。通気度6.0ccあるTE270なんかは、一般に流通している羽毛のほとんどが吹き出しが出てしまいます。
通気性が高い生地には、アイダーダウンやステッキーダウンのように、手選別で選ばれたゴミそのものが少ない原料が必要です。つまり羽毛を選ぶのです。しかしながら、通気性が高いために、空気の循環が早くなり、即温性も速乾性もアップするため、快適な寝床内温湿度をキープできるのです。
生地の重量とダウンパワーとキルティングをうまく組み合わせる
一般には生地が重くなればなるほど、多めの羽毛が必要となります。当然、空気の量が減るので、性能は下がります。生地が軽くなると、中身の量は減らしても同じだけの嵩が出るようになります。つまり、空気の量が増えるのです。
キルティングが細かくなると、通気性が上がります。逆に二層式などふっくら仕立てると保温性は上がりますが、通気性が下がります。
このように、体質に合わせて、生地とキルティングと羽毛のダウンパワーと充填量をうまく組み合わせて最適な羽毛布団を選ぶことが大切なのです。
5×6マスの中厚仕立てと変形5×5の普通厚仕立て
現在標準的におすすめしているのは、5×6マスキルトの中厚仕立て
そして、普通仕立ての厚みとなる変形5×5キルト。このどちらかでほとんどの方がフィットするでしょう。日本家屋で高齢であれば、二層式のふっくら仕立てでも問題ありません。
羽毛布団選びに失敗しないための、快眠カウンセリング
どの組合せを選べば一番良いか、その為に眠りのプロショップSawadaでは快眠カウンセリングを行ない、睡眠のプロがお使いになる方に合わせた提案をおこなっています。
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