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睡眠科学に基づいた、理想の羽毛布団とは
温度33℃湿度50%をキープし、軽くて身体に負担をかけずに、やさしく身体を包む羽毛布団を作るには次の3つが重要となります。
1.軽量で通気性の良い生地
2.身体にフィットするキルティングと適度な入れ目
3.絡みが強く、ホコリの少ない羽毛
意外や意外羽毛の質は3番目ですが、1.と2.を実現するためには、非常に質の高い羽毛がひつようとなるのです。この3つはお互いが連携して、気持ちが良い羽毛布団となるのです。
軽量で通気性の高い生地-羽毛の性能は生地で決まる
軽量で通気性の高い生地を使うメリットは3つあります。
1.軽量だと羽毛を押さえないので、空気の量が増え、羽毛の充填量を少なくできる
生地が軽いと羽毛を押さえませんから、空気をたっぷり含みます。同じ嵩をだすのでも羽毛の量を少なくでき、生地だけでなく全体の重量を軽くできます。
2.軽量の生地は、含まれる湿気の量が少なく、暖まるのが早い
軽量であるということは生地に含まれる水分が少なく、吸収しても発散されやすいのです。湿気をあまり含まないということは、寝入り状態の時に生地を暖めるために身体の熱が奪われることが少なく、即温性があります。
3.通気性の高い生地は、空気の循環が早く、すばやく湿度の調整がなされる
この2点だけだったら、昨今非常に多いポリエステル混の繊維でも成り立つのですが・・・創造してみてください。もし羽毛布団の側生地がビニールだったら・・・中にどれだけ素晴らしい羽毛を入れたとしても通気性のない生地では、羽毛の良さは生きてきません。つまり羽毛自体が呼吸して、湿気を素早く吸ったり、放出したり、暖まった空気を囲い込んだり、という長所は生地の通気性があって、はじめて成り立ちます。
このことから、羽毛の良さを活かすには通気性の高い生地が必要ということです。ポリエステル混の生地は通気性が悪く、蒸れやすいという欠点があります。通気性が良いと快適であるというのは、羊毛ふとんでもニット生地の方が気持ちが良いのと同じ意味です。
一般的な羽毛布団はダウンプルーフ加工が強く、通気性が悪い。ポリエステルならなおさら
一般的に羽毛布団の側生地は羽毛が吹き出さないように、ダウンプルーフという目つぶし加工が行われています。通気度という、通気性を示す生地の性能値がありますが、平均的な日本の生地は通気度が1.3~1.5cc/s(ポリエステル混だと0.7~0.9cc/s)です。羽毛布団の歴史が浅い日本では、羽毛の吹き出しをできるだけ押さえるために強めにダウンプルーフをかけてしまいます。
一方、ヨーロッパの生地だと4cc/s以上の物がが多いのです。羽毛は昔から使っている素材なので、少々の吹き出しはあまり気にされないことが多いようです。また平織(バティスト)生地がほとんどなので、サテン(繻子)織りが多い日本に比べて平織の方が通気度を上げても、生地組成が安定しているため問題が少ないのです。
ノンダウンプルーフ生地はどうなのか
ダウンプルーフ生地は表面で水を弾きやすいために、ノンダウンプルーフ(ダウンプルーフ加工をかけない)生地が良いといわれてきました。その一方でノンダウンプルーフ生地は重量が重たくなる、洗うと通気度が下がるという大きな問題点があるために、当店ではおすすめしていません。
理想のオリジナル羽毛ふとん生地S9100登場
眠りのプロショップSawadaのオリジナル羽毛生地S9100は、国産で珍しい平織りです。100番手を平織りで85g/㎡とヨーロッパ産並の軽量(一般には115~140g/㎡が多い)生地であり、通気度3.2ccと日本の規格ぎりぎりまで通気性を上げた、理想的な生地です。
通気性を下げると蒸れる
昨今の羽毛布団にはポリエステル混の側生地が多く使われています。軽くてコストが安いのですが、通気度は0.7~0.9cc/sと、1cc/sを切るものがほとんど、つまり通気性が悪いのです。当然、空気の循環が十分に行われませんから、蒸れやすくなります。
これらのタイプは「丸洗い加工」「ウォッシャブル」と標記されることも多いのですが、洗える一方で通気性を抑えているので、あまりおすすめするものではありません。
通気性を上げるのなら、ホコリの少ない上質の羽毛が必要
飼育日数が少ない・飼育環境が悪い鳥からはホコリの多い低質な羽毛しか採れませんが、通気性の良い生地をつかうと、ゴミの吹き出しが多くなります。逆にいえば、通気性の良い生地を使うには、ホコリの少ない上質な羽毛が必要となります。ヨーロッパから輸入しているドイツWeidmann社のTE270(重量69g/㎡)やTE200(重量75g/㎡)は通気度が5~6cc/Sもあります。このクラスだと、絡みが強いアイダーダウンやステッキーダウンなどの最高級羽毛が必要となります。
小さな嵩でも保温性が高いステッキーダウンはホコリも少ない
羽毛と羽毛が絡み合う最高級はアイスランド産のアイダーダックダウンですが、それ以外にもポーランド・ポメラニア地方のように、絡みがしにくいグースダウンにもかかわらず、寒暖の差が厳しいために絡みの強い大きなダウンボールの羽毛が得られます。絡み合う羽毛が暖まった空気を逃がさないために、嵩高は出ませんが非常に保温力が高い羽毛です。
アイダーダウンやステッキーダウンは手選別によって得られるので、産出量は少ないのですが非常にホコリの少ない羽毛が得られます。一石二鳥なのです。
これらの羽毛は貴重品のために年間産出量が極めて限られます。店主が毎年ドイツへ行くのも、限られた最高級のステッキーグースダウンを手に入れるためです。
身体にフィットするキルティング
アイダーダウンやステッキーダウンの場合は、それほど嵩が出ませんので、今度は身体にフィットするキルティングが必要になります。そこで、一般的な4×5(20)マスではなく、5×6(30)マスの小さな羽毛布団に仕上げます。これによって、ほどよいバランスで身体にフィッティングすることができるのです。
羽毛を入れすぎると、フィット性や通気性が低下する
羽毛布団のメーカーは店等での競争を勝ち抜くために、羽毛の量を入れすぎることが多いのですが、一方で寝室は断熱性や気密度が高い部屋が増えています。使う地域の気候風土、住環境、個人の体質によって最適な羽毛の量は異なります。
羽毛を入れすぎると空気の循環が悪くなります。量が少ないと通気性は向上する代わりに保温性が悪くなります。そこでステッキーダウンのような、嵩があまり出ずに保温力の高い羽毛を使うと、保温と通気性の両立ができるのです。
結論:高通気度&軽量の生地+ステッキーダウンがベスト。
これを羽毛工房で一枚ずつ手作りします
眠りのプロショップSawadaはこれらの最高級の生地と羽毛を使って、お一人お一人の体質などに合わせて手作りしてお届けします
上質の羽毛はリフォームも楽々
ステッキーダウンのようにホコリが少ないと、リフォームした際に羽毛のロスが最低限で抑えられます。一般的な羽毛布団をリフォームすると15~20%、場合によっては30%近くゴミとして羽毛の量が減りますが、カウフマン社のポメラニアンステッキーグースダウンの場合は過去の経験からいっても、5~10%しか減りません。実際に見ていても、羽毛の質の高さがはっきりとわかるのです。