敷寝具の良し悪しが、眠りの質を決定します
良質な睡眠を得るために最も重要なものが敷寝具です。
私どもの快眠カウンセリングにおいても、敷寝具選びにもっとも時間をかけます。残念なことに、自分にあう敷寝具選びの情報が非常に少なく、市場には「これを使えば明日から快眠!」を標榜する敷寝具・マットレスが多いのです。
1日7~8時間、毎日身体の全体重を支えます。敷寝具・マットレスは枕と共にストレスが大きくかかる寝具なので、使う人に合ったものを選ぶことはもちろんのこと、耐久性を考えて選ぶことも重要です。
フロアや畳の上に敷くのが良いか?ベッドがいいか? 結論はベッド

畳やフローリングの上に直接敷く場合のメリット・デメリット
メリットは
- 片付けやすい
- 軽い
デメリットは
- 床に接しているので、熱が逃げやすい=保温性に劣る
- 起き上がるのに、腰に負担がかかる
- カビのリスクが高い
- 密度の高いしっかりした敷寝具・マットレスを選べない
床の温度が10℃、敷寝具・マットレスの上が33℃50%としましょう。床に直接しいていると、身体の温度が逃げやすくなります。薄いへたった敷布団だと数センチしか厚みがありません。3~5cmに23℃もの温度差ができます。少なくとも2枚敷で保温をキープする必要があります。
さらに、床の温度が20℃を切ると、結露が始まります。気を付けていてもカビが生えやすくなるのです。
床面からだと、起き上がるのも腰に負担がかかったりします。軽い布団は片付けやすいといっても、毎日上げ下ろしが必要になります。敷きっぱなしはカビのもとです。
上げ下ろしが基本必要なので、密度の高いしっかりした敷寝具やマットレスを選ぶことができません。つまり敷寝具・マットレス選びの選択肢が狭まってしまうのです。これが一番の問題でしょう。

新しくするならベッドがおすすめ
ベッドにすることによって、上記のようなデメリットはなくなります。快眠カウンセリングをしていますと、部屋のスペース等でベッドは難しいというお客様も少なくないのですが、可能な限りベッドを前提に寝具選びをしていただきたいものです。
敷寝具・マットレス選びの3つのポイント
選び方の基本は3+3です。
- 背骨を正しい姿勢で支えること
- 体圧分散と寝返りのしやすい反発性のバランスをとること
- 快適な寝床内温度33℃湿度50%を保てること
さらに
- 耐久性があり、寝心地が変わらないこと
- メンテナンス(手入れ)が容易なこと
- できればベッドにすること
1 背骨を正しい姿勢で支えること これが最重要
寝姿勢は人によりさまざまです。仰向け寝中心、横向き寝中心、うつぶせ寝等々・・・。カウンセリングから得られる割合は仰向け寝45%、横向き寝40%、わからない5%というところでしょうか。
いずれにしても、背骨を正しくストレスのない姿勢で支えることが基本です。整体・ウォーキング等々でも背骨の姿勢が重要と言われます。1日8時間ただしく支えることが重要です。
仰向け寝では、立った姿勢の背骨のS字カーブを支えること



長く使用してへたったマットレスは、お尻の部分(上図のE)が落ち込んで「く」の字のような姿勢になり、腰痛の原因になったりします。立った状態での、自然なS字カーブを支えることがまず基本です。
上図のAとBは枕が支えますので、A~Cの自然なカーブが得られる枕選びが重要です。つまり、枕を選ぶのは敷寝具・マットレスに合わせることが最重要で、枕単体で解決するわけではありません。
横向き寝では、背骨が真っ直ぐに支えられていること

横向き寝は、仰向き寝に比べて難しくなります。肩が出っ張り、仰向けに比べて身体の凹凸がはっきりします。
C(肩)とE(骨盤)の出っ張りをうまく受けて、背骨が真っ直ぐになるようにしなければなりません。体格によっても変わってくるのです。
表面が硬かったり、薄い敷寝具・マットレスは特にC(肩)の部分に体圧がかかりすぎて、背骨も曲がるので横向き寝には向いていません。
通常は寝返りするので、仰向き寝・横向き寝の両方に対応が必要
実際には、ヒトは寝ている間に寝返りをします。「主に仰向き寝」であっても横向き寝するときもあり、その逆もありますので、敷寝具・マットレスを選ぶ場合にはその視点も欠かせません。
2 体圧分散と寝返りのしやすい反発性のバランスをとること
かつては、お尻が落ち込まないような硬い布団が良いとされてきた

ヒトの身体の荷重は上図のようになります。身体の部分で33%+44%=77%です。敷寝具・マットレスはこの体重の8割近い荷重を受け止める必要があります。
かつては、臀部が落ち込まないように硬い布団が健康に良いといわれてきました。ところが、硬い敷寝具・マットレスでは、身体の出っぱった部分に負担がかかりすぎます。
実際、介護等で寝たきりになると、臀部の仙骨に床ずれ(褥瘡)ができやすいのです。
体圧分散をして、身体を均等に支える方がストレスが少ない

1990年頃から、体圧分散を考えた敷寝具・マットレスが出てきました。代表例はテンピュールのような低反発ウレタンです。均等にささえることで、寝ている間の身体へのストレスが軽減されます。
体圧分散と寝返りのしやすい反発性のバランスが重要となってきた
ところが体圧分散が行きすぎると、低反発ウレタンのように寝返りがしにくいという問題がでてきました。寝返りがしやすいということで出てきたのが高反発マットレスです。
どちらが良いというのではなく、体圧分散性と反発性の適度なバランスが必要なのです。
3 快適な寝床内温度33℃湿度50%を保てること

低反発 VS 高反発のなかで、快適な寝床内温度や湿度を保つという、快適性にとって一番重要なことが見過ごされてきました。
ヒトは寝ている間も発汗をつづけ、熱を放出しています。寝床内を温度33℃、湿度50%前後に保つことが、快適に眠るには必要です。
特に最近は高気密・高断熱住宅が増えてきました。保温も重要ですが、湿度をすばやく逃がして、コントロールすることが快適睡眠大きな条件となってきたのです。
ところが、最近の寝具は汗を吸わないポリエステルなどの合成繊維が増えています。蒸れやすい寝具が増えているのです。
これを改善するには敷寝具・マットレスの身体に近い上部に、温湿度調整が得意な羊毛(ウール)などの素材を組み合わせることが必須なのです。
敷寝具・マットレスの種類と特徴
1:木綿わた入り敷布団

日本の伝統的な布団です。40~50年前までは、木綿わた100%、もしくは 木綿わたにポリエステルわたを混綿した布団が主流でした。5~7年ごとに打直しをすることで、長く使うことができます。
木綿わたの長所は吸湿性が良いことで、短所は陽に干したり、乾燥機を使ったりしないと湿気が逃げて行かないことです。つまり、こまめに干したり乾燥させたりすることが必要なので、今日のライフスタイルには合わなくなってきたのです。今日では、あまり販売されていません。
2:固わた入り敷布団(ポリエステルわた、羊毛混わた)


圧縮されたポリエステルの固わたを、ポリエステルわた、もしくはウール・ポリエステル混わたでサンドイッチした構造の敷布団です。
一番ポピュラーに出回っているといえますが、ポリエステル固わたはヘタリが早いので、最小はふっくらしても数年で薄くなってしまうことが多いこと、さらに吸湿性があまりないことが欠点といえます。
本来はこの上に、羊毛100%の敷布団を組み合わせて使うように設計された敷布団です。
3:羊毛敷布団(羊毛わた100%)

固わたなどを入れない、羊毛わた100%の敷布団です。厚みはそれほどないので、マットレスや他の敷布団の上に組み合わせて使います。
羊毛わたは汗の吸湿性が綿の2倍、放湿性が10倍あり、乾きやすく湿度の調整が得意な素材です。そのため古来から使われてきました。
当店のおすすめですが、専門的なプロショップ以外ではあまり流通していません。
4:マットレス(ウレタンフォーム)

ウレタンフォームを中材に使ったマットレスです。ウレタンは軽いため、上げ下ろしが楽なのが特徴です。ただ、使用しているウレタンの密度、カッティングなどの組み合わせによって、種類も価格もさまざまです。
ウレタンマットレスは三つ折や三分割タイプを選ぶのがベスト

当店がおすすめするのは、三つ折タイプ もしくは 中が三分割で、それぞれ同じものが入っていてローテーションできるものです。
ウレタンはヘタリが早いので、一枚もののマットレスは荷重が最もかかる臀部(お尻の部分)がへたりやすいのが問題です。ローテションできるタイプであれば、適度に入れ替えることで寿命を延ばすことができます。
三つ折でも中央部と両側で硬さが変わっているタイプはローテーションができません。

最近では、ベッド用の厚手のマットレスでも、中身が3分割でローテーションができるタイプが出てきました。
5:マットレス(ラテックスフォーム)

天然ゴム(ラテックス)を原料としたラテックスフォームを使ったマットレスです。その特徴は
- 天然素材100%で、廃棄時の環境への負荷が少ない
- 荷重が変わっても、中央部を水平に保つ=寝姿勢が安定している
- 耐久性が良い(その反面、重い)

ヨーロッパでは特に環境への負荷が少ないことから、上質なマットレスに使われる素材で、当店でも一押し素材です。
6:マットレス(馬毛・ココヤシ あるいはその組み合わせ)

ヨーロッパで天然素材マットレスとして使われているのが、馬毛やココヤシ繊維などです。
馬毛は腰が強く、通気性が良いため高級マットレスに使われます。上図のように、ラテックスフォームと組み合わせて使われることが多いです。

ココヤシも固く通気性が良いそざいなので、硬めに仕上げるマットレスの芯材として使われます。
7:ウッドスプリング(主にラテックスマットレスと組み合わせて使用)

主にラテックスマットレスと組み合わせて使われます。ウッドスプリングは、パーツの組み合わせで硬さを調節することができるため、正しい背骨の根姿勢を得ることができます。

ウッドスプリングを一番下に置き、硬さを調整して、その上にラテックスマットレス、その上に羊毛ベッドパッドを組み合わせるのがベストの組み合わせです。
8:マットレス(金属コイルスプリング)

日本では広くポピュラーに使われる、金属コイルのスプリングマットレスです。
スプリングの形状により「ボンネルコイルスプリング」と「ポケットコイルスプリング」の種類があります。金属スプリングなので耐久性と通気性には優れています。
最近では、コイルスプリングのベースの上に、機能性のあるウレタン素材などを組み合わせたハイブリッドタイプが主流ですが、これらはウレタン素材がへたりやすいため、十分に吟味が必要です。
廃棄時の分別処理やスプリングの処理が難しいため、当店では基本的におすすめしておりません。
9:その他素材のマットレス(ジェルトロン・網状構造体等)

ジェルトロンマットレス
ジェルトロンは高分子ポリマーを立方体状に成型してできたマットレス素材で、グミのような触感です。体圧分散性と通気性に優れているので、褥瘡が起きにくいことから介護現場に使われるだけでなく、腰痛などにも効果的な素材です。
廃棄時の環境負荷が少なく、マットレスのパーツを買い替えできるため、長く使えます。
網状立方体 エアーウィーヴ・ブレスエアー 等


ポリエチレンやポリプロピレン等の素材を網状の立方体形状に仕上げた素材です。通気性は抜群で丸洗いもできますが、その反面、熱が逃げやすいので保温性は期待できません。
最大の問題点は耐久性において、他の素材に比べて大きく劣るという点です。基本的にはお勧めしかねる素材です。

