羽毛の宝石アイダーダックダウン その訳は高い保温性
アイスランドに住むアイダーダックの羽毛は世界で最も貴重な羽毛です。非常に寒い地にもかかわらず、アイダーダックは体温が高く、そのために羽毛の保温性が抜群に優れています。
春に卵を孵すために、アイダーダックは巣に羽毛を敷き詰めて、卵をそこに生み落とし、その保温力で雛を孵します。その巣にある羽毛を集めたのがアイダーダックダウン。そのため非常に希少性が高いのです。
その暖かさの秘密は羽毛の絡まりです。羽毛どうしの絡まりが非常に強く、暖まった空気を逃がしません。 下図のようにアイダーダウンの固まりをつまんでも、全くばらけたりしないのです。そして、触っていると、暖かさを直ぐに実感することができます。
スティッキーダウンと呼ばれる絡み合う羽毛がありますが、アイダーダウンの絡まりはそれらをはるかにしのぎます。その保温性の高さから、高地登山用のダウンジャケットやシュラフなどにも使われるのです。
ところが、偽物が実に多く出回っている
アイスランドのアイダーダウン産出量は年間2000㎏程度といわれています。1枚1㎏として2000枚がせいぜい。しかしながら、日本だけでも「アイダーダウン」が年間1万枚以上販売されているそうです。どう考えても合いません。実際、アイダーダウンとしてリフォームに持ち込まれる羽毛布団の中身に偽物が非常に多いのです。
グレードの低いアイダーダウンも少なくない
加えて、天然素材には当たり前のことですがアイダーダウンにも品質のグレードがあります。つまむとダウンの絡みが十分でないので、直ぐにバラバラになるアイダーダウンや、やけに羽毛ゴミやホコリが多いアイダーダウンなどさまざま。
ダウンに含まれるゴミを丁寧に取り除いて、良質のアイダーダウンを得るためには、信頼のおける良い原料メーカーを選ばなければなりません。
側生地にシルクを使うと・・・あまり良くない
西川など一流メーカーのカタログを見るとアイダーダウンの羽毛布団は150~240万円。最高級品だからといって、シルクの生地を使うアイダーダウンの羽毛布団も少なくありません。実際のところ真綿布団もそうですが、シルクサテン生地の布団はカバーが滑るので、使いやすいものではありません。シルクは生地が弱いので、耐久性も良いとは言えません。
さらに、どのメーカーも「中身は絶対間違いなし」といいますが、2016年5月の羽毛産地偽装で明らかになったように、本当に本物が入っているか、開けてみないとわからないのです。100万円を超える高額商品ですが、中身を開けることはほとんどないので、わかりにくいのです。実際に、あるお客様からリフォームに持ち込まれたものは、ある有名メーカーでしたが、「なんじゃこれ!」ということもあったのです。
手づくりオーダーでアイダーダウンをお届けします
いままではカウフマン社など、間違いのないメーカーを選んできましたが、2017年よりアイダーダウン羽毛布団も全て手作りでお届けすることにしました。
河田フェザーのアイダーダウン しかもナノクリスタル加工
原料メーカーは、品質では日本のトップともいえる河田フェザーで、眠りのプロショップSawadaが最も信頼を置いている原料メーカーです。実際、他のメーカーのアイダーダウンと比べても絡みが強く、ホコリが少ないのが特徴です。
さらも、おそらく国内では他に例がほとんどないと思われますが、アイダーダウンにナノクリスタル加工を施しました。
さまざまな効果が期待できる抗酸化遠赤外線を発生します。
超軽量でソフトな新入荷生地TE270を採用
軽さと身体へのフィット性を考えて、羽毛布団用生地には、ドイツWeidmann社のTE270羽毛布団生地を採用しました。生地重量が69g/㎡と、国産の平均的な綿100%の生地の約半分。通気性も6ccと十分あり、アイダーダウンの良さを最大限に生かします。
マス目間の移動がない、完全立体キルト仕上げにしています。それにもかかわらず、シングルの側重量はわずか600g。羽毛を800g入りの場合でも総重量1400gと超軽量に仕上がります。
しっとりとした肌沿いをご希望の場合は120/120サテン生地のAD200をおすすめします。TE270と同価格ですが、生地重量は700gと少し重くなります。
側代+羽毛代 納得の明瞭会計
シングルサイズの羽毛布団側(TE270 又は AD200)価格は88,000円(10%税込)
ナノクリスタル加工のアイダーダックダウンの価格は132,000円/100g(10%税込)
価格は 側代+羽毛代(単価×充填量) で計算します。超ロング、セミダブル、ダブル、クイーンその他のご希望のサイズをお作りします。
充填量 | キルト | 価格(10%税込) | 摘要 |
1000g | 変形5×5 7cm完全立体 | 1,738,000円 | 普通 寒がりの方に |
800g | 5×6 7cm完全立体 | 1,408,000円 | 中厚 一般的にはこれをおすすめ |
500g | 5×6 4cm立体 | 913,000円 | 合掛け |
300g | 6×7 2cm立体 | 583,000円 | 肌掛け |
200g | 7×9 直 | 418,000円 | 初夏~梅雨明け |
自家製ゆえに、高機能でありながら価格も割安になっています。
HOW TO MAKE アイダーダウン
アイダーダウンは絡みが強いので、通常の計量器を使った充填はできません。そこで二人がかりで充填作業を行います。
まず布団側を用意します。コンピューターを使って(エクセルですが)一マスあたりの充填量を計算します。衿元は多く、両サイドは少なくという充填にしています。5×6マスの場合、衿元は32gですが、両サイド中央部は22gになります。
計量器を使って一マスごと羽毛の量を計量していきます。計量がおわったら充填です。ゴミの少ない原料ですが、サイクロン充填機(下図)を使って、一気にでなく少しずつ充填します。
カウフマン社などでは手で直接充填をしています。(一番下の画像をご覧ください)最も羽毛を傷めない方法ですが、アイダーダウンといえども長年使うとマス目から少しずつ移動してしまいます。そこで、私どもではマス目の移動がない完全立体キルトの側生地を使いますので、充填機を使った仕上げを行なっています。サイクロン充填機では、羽毛にゴミがあった場合に、それを取り除くことができます。完全立体キルトの場合、入れ間違えはできませんから、慎重に吹込みを行っていきます。
一マス分一気に吹き込むのではなく、少しずつ分けて入れていきます。そのことによって、アイダーダウンに絡まっているゴミやホコリを取り除くためなのですが、実際のところ河田フェザーさんの原料は非常にゴミが少ないのが印象的でした。以前に大手メーカーの新品のアイダーダウンを新品状態でお客様のご要望で入れ替えたことがありますが、その時とは格段にゴミの量が違います。
5×6マスだと30マスですから結構手間がかかってしまいますが、一マスずつ確実に充填します。最後に吹込み口をミシンで閉じて、完成です。仕上がりは右側のこんな感じです。生地が軽くて、平織なのに非常に柔らかい風合いなので、肌に吸い付くような仕上がりになります。動画でもご覧になってください。
アイダーダウンのふるさと、アイスランド
アイスランドは北極圏に近く非常に寒いところです。その厳寒の地で、アイダーダックは卵を孵すために、自らの羽毛を敷き詰めて卵の巣を作ります。春に雛が孵ったのちに、この巣を集めたものがアイダーダウンなのです。
そのためアイスランドでも年間2000㎏程度しか得られないといわれています。
冬は極寒の地アイスランド アイダーダック。白がオス、グレーがメス。
卵をふ化させるために、羽毛を敷き詰めます
春になって雛が孵った後に、巣を探しながらアイダーダウンを回収します。
回収されたアイダーダウンには、わらなど多くのゴミが混ざっています。
殺菌や丁寧な手による選別を行って、検査されたものが製品になります。
これらの画像はアイスランドの羽毛メーカーstteran社、Sleepwell Kauffmann社より提供の動画より使用しました。