毛布やケットは「気持ち良いね!」を実現する身体と寝具のインターフェイス
もともと毛布は保温力をアップするために、ふとんの補助として考えられてきました。かつては木綿ふとんに2枚合わせのアクリルミンク毛布という組合わせが一般的でした。また、高温多湿な日本の夏の寝具と云えばタオルケットが一般的だったのです。
毛布の役割は保温だけでなく、気持ちよさ=官能性をアップすること
今日、住宅の保温性は高まり、空調機能も充実しています。寝具の性能も向上しているので、単に「寒いから」「暑いから」という視点だけで毛布を考えるのではなく、身体と寝具の接点で、触感を含め、いかに快適な寝心地を作るかという視点で捕らえる事が大切だと考えています。「この毛布気持ち良いね!」という寝具の官能評価を高める大きな要素なのです。この点で、カバーの役割と似てきたところがあります。
ですから基本的には、毛布は身体に近いところで使うのがベストです。上に掛けては意味がありません。
冬は蒸れない自然素材が一番!
アクリル毛布は保温性良好。吸湿性が悪く蒸れの原因に
「最初は暖かいんだけど、暖まってきたら足が蒸れた感じがして、毛布を蹴飛ばしてしまう」 こんな経験はありませんか?アクリル毛布に顕著な例です。アクリル毛布は保温性に優れていますが、吸湿性はあまりありません。寝具の中が体温で暖まってきて、33℃近くになってくると、湿度が上がってきて不快指数が増すのです。ポリエステルの布団が蒸れるのと同じ理屈です。おおざっぱに、2枚合わせとなるマイヤー毛布、1枚で軽量なニューマイヤー毛布の2種類が流通していますが、重量のある2枚合わせは避けた方がいいでしょう。代謝量の少ない寒がりの女性には1枚ものでお使いいただけます。
吸湿性の良い綿毛布はオーガニックコットンが増えてきました
綿は吸湿性に非常に優れていますから、アクリルとは逆に保温性に難点があります。汗を吸ってしまうと、湿気が増えて保温性が落ちてしまうのです。
代謝量が多めで暑がりの方の毛布といえます。洗うことができる利点がありますが、洗いすぎると風合いが低下しますのでほどほどに。リンスとの併用をおすすめします。綿毛布は吸湿性良好。ただし保温性に劣るのが難点です。
オーガニックコットンの毛布 GOTS認定
サスティナブル(持続可能性)が求められる時代です。綿もオーガニックコットン=無農薬有機栽培綿が一般的になってきました。従来の無線色だけでなく、安全な染料を使ったカラフルなものが増えています。
やっぱり純毛、中でもカシミヤが最高
もともと毛布=純毛(ウール)でした。吸湿発散性、保温性のバランスが良いのがウールです。ただ、従来の毛刈りタイプの純毛毛布はチクチクするなど、風合いに難点がありました。
最高の暖かさと気持ちよさはカシミヤ
絨毛毛布の最高峰といえば、カシミヤ毛布です。カシミヤは獣毛の中では最も吸湿発散性が良いといわれており、その肌沿いの柔らかさと相まって、最高の寝心地を得る事ができます。
吸湿発散性の良さから、夏は麻のシーツと組み合わせるのもおすすめです。もっともカシミヤはその等級によって、風合いの差が大きく違いますから、実際には手にとってみることが大切ですが。
特にイタリアのカシミヤは糸が細く抜群の風合いがあります。
暖かいウールボアタイプの毛布は丸洗いOK
一方、ウールの糸をアクリル毛布のようにニューマイヤー織で、ウールボアのような風合いを出したものが増えてきました。
ウールの暖かさをダイレクトに味わう事ができ、チクチク感もありません。多くの製品はウォッシャブル対応のウールを使っている事もあり、気軽に楽しめる純毛毛布としておすすめです。
最も肌に近い繊維-シルク毛布
シルク(絹)はセリシンとフィブロインという2種類のアミノ酸から出来ていて、最も肌に近く、なおかつ肌にやさしい繊維です。ドライクリーニングもしくは常温水での手洗いという手間はありますが、肌ざわりは、素材の中ではピカイチといえるでしょう。一説には体毒を出すというデトックス作用があるともいわれています。
保温のためには敷毛布も重要、掛・敷合わせて選ぶ
毛布というと掛毛布を連想しますが、実際には敷毛布と合わせて使うことで、より快適な睡眠を得ることができます。敷毛布にはウールの素材が一番です。
高温多湿な日本は寝苦しさも格別です。そこで夏用寝具として要求される機能は次の2つ夏は涼しく、素早い吸湿発散
1:素早い吸湿性と発散性
2:熱をこもらせずに拡散させる
掛用だけでなく、汗は敷に多く浸透するので敷についても十分な配慮が必要です。ットが一般的だったのです。
綿のタオルケットとガーゼケット
綿は吸湿性に優れています。それをパイル状にすると、吸湿性が良くなるだけでなく、放湿性も向上します。そこで、夏はタオルケットが広く使われてきました。近年では、肌沿いの柔らかさから、5重織りに代表される多重織りのガーゼケットも増えてきました。また、タオルケットとガーゼのコンビネーションケットなどいろいろな種類のものが生まれています。
タオルやガーゼに薄いわたを入れた肌布団状のキルトケットの類もあります。ただ、キルトケットは中わたがポリエステルわたであることが多く、水分の透湿性をうまく生かせるとさらっとして悪くはないのですが、好みが分かれるところです。
子どもにおすすめ 抜群の吸湿発散性能を持つ脱脂綿のキルトケットとパッドシーツ
子どもは基礎代謝量が大人の2~3倍ありますので、基本的に毛布を必要としません。「寒そうだから、暖かくしてあげて」とアクリルの毛布を使うなってもっての外です。汗を素早く吸放湿することが求められます。
パシーマガーゼケットとパッドシーツ
タオルケットに代わる夏寝具の決定版ともいえるのが、龍宮が作ったパシーマ。医療用規格のガーゼで脱脂綿をサンドイッチした構造になっています。特徴はとにかく蒸れにくい事。エコテックス100規格クラス1という有害物質に対する最も厳しい規格を満たしているので、特に代謝量が大きく、アレルギーなどに敏感なお子様や赤ちゃんには必須といえるぐらいの品です。もちろん丸洗いOK。
パシーマの敷パッドは5層構造になっていて、吸湿性がアップしています。ただ、盛夏には若干熱のこもりが感じられる場合がありますので、麻シーツとの併用をおすすめします。
綿100%のキルトケットとパッドシーツ
なお、最近のパシーマにはポリエステルわたが使われるようになりましたので、少し蒸れ感がでるようになりました。そこで純綿タイプもご用意しています。