睡眠を改善するにはストレスを減らすこと-ヒトは本来普通に眠れるものです
睡眠が十分に取れていない、不眠である、寝付きが悪い、夜中に目が覚める、寝起きがつらい、日中眠くなる・・・さまざまな睡眠の問題を抱える方が増えています。
睡眠不足は精神的なストレスが増えるだけでなく、身体の免疫力を低下させて健康を阻害します。健康寿命にも大きな影響を与えますし、さらには、事故などの原因となり、生産性を低下させる要因にもなっています。不眠などの睡眠障害による損失は1年間で3兆5,000億円、最近の研究では20兆円にも及ぶという試算もあります。
ヒトはなにもなければ(=ストレスがなければ)、ちゃんと眠ることができる生物です。体内リズムにはいろいろありますが、24時間、一月、一年など天体の運行によってそのような体内リズムが作られてきたのだと考えられます。つまり、本来夜になれば眠り、朝になれば起きる生物です。疲労が蓄積したり、病気などで身体が弱れば、睡眠によって回復を図るようにできているのです。
ところが現実の世の中には睡眠を妨げるいろいろなストレスがあります。特に現代社会においては夜の活動が増え、睡眠の時間が確保できなくなるほか、心理的なストレスも増えてきます。
ストレスには、暑い・寒いなどの温湿度による要因、うるさい・まぶしい・くさいなど外的な環境要因、痛い、気道閉塞などの身体的要因、不安・恐怖などの精神的要因などがあげられますが、実際にはこれらの不快情報が絡み合って、自然で正常な睡眠を妨げることになります。
睡眠を改善する方法は、睡眠を妨げるストレスをいかにして少なくしていくかということなのです。
睡眠を改善するための3つの方法
睡眠を改善するには、これらのストレスを一つずつ取り除くこと、と考えていいでしょう。そこでストレスを少なくするために3つの方法を提案します。
1:睡眠のしくみを知る
まず、睡眠生理、睡眠衛生を理解しましょう。どのように睡眠が行われるのかを理解することで睡眠が改善することが報告されています。
2:生活習慣を見直す・心理的ストレスを減らす
睡眠のしくみを理解したならば、それに基づいて生活習慣を見直しましょう。バイオリズムに代表されるように、毎日の暮らしはさまざまなリズムからなりたちます。
そのリズムが崩れたり不安定になると、睡眠を妨げたり健康にも影響がでてきます。起床から就寝まで、自然な身体のリズムを取り戻したり、食事や住環境の見直しなどで、睡眠を改善することができます。
心理的なストレスも不眠の原因となりがちです。現代社会では簡単に改善できないこともありますが、できるだけ心理的ストレスを下げる工夫をしましょう。
3:寝具や睡眠環境を見直す
睡眠センターを訪れた時に、こんな話を聞きました。
重度の不眠に悩んでいる方が睡眠外来に訪れ、睡眠ポリグラフ検査(PSG)を行うことになりました。
検査ではさまざまなセンサーを身体に取り付けるために、マットレスは良いものをつかっています。結局、マットレスのおかげでぐっすり眠ることができたため、不眠検査にはならなかった。というものです。
これが全てではありませんが、さまざまなお客様のカウンセリングをしていますと、特に敷寝具やマットレスが身体に合っていない方が多いことがわかってきます。自分の体格や体質に合わせて、寝具を選ぶことで睡眠の改善ができます。
また、寝室の温湿度や、空気の環流、光や照明環境や、騒音や臭いなどの睡眠環境が整っているかチェックすることも重要です。残念ながら日本の家屋建築においては、睡眠を改善するという視点がほとんどありません。これは残念なことです。
寝具の見直し-ストレスの少ない寝具を得るための3つの要素
それでは、ストレスの少ない寝具とはどのようなものでしょうか?大きく考えると3つの要素に分けられます。
- 快適な寝床内温湿度33℃50%の実現
- 正しい寝姿勢の保持と、重力による身体へのストレスの緩和
- 官能情報の高い素材による精神的ストレスの緩和
他にもないわけではありませんが、突き詰めればこの3点に集約されるでしょう。そして、実際にはこれらの性能を長期間維持していくための品質やメンテナンスが必要とされるのです。
1:快適な寝床内温度33℃湿度50%の実現
日本睡眠環境学会によると、ヒトが快適に眠ることができるのは温度が33℃湿度が50%といわれています。ヒトの深部体温は36~37℃ですが、表面温度は32~33℃ぐらいですので、温度が33℃というのは皮膚の表面温と均衡している状態といえます。この時に寝床内の保温性が足らずに熱が逃げると、寒いというストレスになります。
また、ヒトが入眠するときには一時的に体温が高くなりますので、冬の寝具には即温性の高いものが求められます。寝具を暖めるのに身体の熱を多く奪うような=なかなか暖まらない寝具は入眠を損ねます。一方で、入眠後は体温が下がりますから、電気毛布のように熱を与え続けることは、身体が休まらないことにつながります。
湿度は50%前後が理想とされていますが、多湿の日本ではこの湿度のコントロールが非常に難しいのです。夏に暑くて寝苦しいのは、温度が高い(昨今ではそれも理由になりますが)よりも、湿度の高さによるものです。それゆえ伝統的な日本の家は高床式で、保温より湿気を逃がすことを重点としてきたのです。
最近は高気密・高断熱住宅が増えています。寝具も保温性よりは、湿度調節が重要になってきているのです。
2:正しい寝姿勢の保持と、重力による身体へのストレスの緩和
宇宙空間なら重力のストレスはありませんが、地上では身体に負担がかからないような寝具が必要になります。掛ふとんは軽い方が身体への圧迫が少なくなりますが、特に身体を支える敷寝具(敷ふとん・マットレス等)は睡眠の質を大きく左右します。
最も大切なのが背骨です。健康の基本ともいえますから、自然な姿勢で眠ることができるような敷寝具選びが重要になってきます。
仰向き寝は背骨のS字カーブを正しい姿勢で支えることが必要です。下図のようにC,D,Eの支えがポイントです。A,Bは枕ですが、先に背骨のC,D,Eを調整してからでないと、枕だけ調整しても限界があります。
横向き寝の場合は、横から見て背骨が真っ直ぐになっていることが必要です。肩や臀部つまりC,D,Eのカーブが大きいので、特に出っ張りの多いCをうまく支えるしくみが必要です。仰向き寝に比べるとA,Bの枕はより高くすることが必要となります。
身体への負担を軽減する体圧分散性と寝返りがしやすい反発性のバランスを取る
敷寝具は、背骨のS字カーブを自然な姿勢の状態で支えることと、体重による身体の部分への圧迫を和らげるように、適度な体圧分散が求められます。時に横向き寝の場合は、肩や腰の出っ張りをうまく受け止めて、出っ張った部位が圧迫されないようにすることが必要です。
また、寝返りをスムースに行えるように、汎発性も必要です。これらのバランスをうまく取ることが大切で、その意味からも敷寝具は睡眠にとって非常に重要となります。
3:官能情報の高い素材による精神的ストレスの緩和
これは単純に「気持ちが良い」と身体が感じる素材を使うということです。硬かったり、音がしたりする不快な情報の多い素材は、睡眠を妨げます。
天然繊維と合成繊維を比較すると、天然繊維の方が身体に近い素材なのでストレスが少ないといわれます。実際、絹や上質な綿素材、カシミヤなどはは、触っているだけで心地よく感じられるからです。そのことが、眠りを促進します。
自分に合う寝具をどのようにして選ぶか
個人個人で、最適な寝具は異なる
暑がり・寒がり、仰向き寝・横向き寝、性差、基礎代謝量の違いなど、個人によって異なりますから、当然個人別にストレスの種類も変わってきます。
快適な睡眠をめざすには、使う人それぞれに合った寝具を選ぶことが重要なのです。いくら他人が良いといっても、あなたに合う保証はありません。自分の体格や体質、寝る癖等自分に合わせた掛布団、敷布団、マットレス、枕などをバランス良く組み合わせて行く必要があります。
快眠カウンセリングを受けてください
眠りのプロショップSawadaでは、上級睡眠健康指導士・睡眠環境診断士などの認定をうけ、多くのお客様の事例経験豊富なスタッフが、快眠カウンセリングのサービスを提供しています。
これによって、現状の睡眠の課題、使用している寝具の問題点などを洗い出して、解決への方向性を提示して、さらに具体的なご提案をいたします。
快眠フィッティングで自分に合った品を選んでいただきます
カウンセリングに基づき、何種類かの寝具をお試しいただきます。寝具を全てご検討いただく場合は、最初に敷寝具(敷布団やマットレス)、その次にまくら、最後に掛ふとんです。
まくら単独の場合は、現在お使いの寝具に近いものでお試しいただきますが、しかしながらカウンセリングを行いますと、まくらをお探しの8割ぐらいの方は、まくらそのものより敷寝具に問題があるケースが多いのです。
実際に最も重要視しなければならないのは敷寝具でしょう。布団というと掛布団をイメージされて敷寝具まで十分考慮されていないケースが多いのです。しかしながら、身体の健康を維持する重要な要素は背骨であり、ストレスなく自然な姿勢で身体を支えることが最も重要といえます。
提案を受け入れていただければ、実際にお試しいただきながら、最適な寝心地を探し出す快眠フィッティングサービスを提供します。寝具選びはリクツだけでは済まないことも多いので、快眠フィッティングも重要な要素です。
遠方の方はWEB快眠カウンセリングを
ご来店いただけない、してみたいがとりあえず目処を付けてみたいという方にWEB快眠カウンセリングを受けけています。
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