体質に合わせて、羽毛布団の厚さを調節する
過ぎたるは、なお及ばざるがごとし
羽毛ふとんは軽くて暖かい。ふんわりと嵩がでる。
いずれも事実です。
ところが、これが行き過ぎると、メーカーはとにかく嵩高にすることが自社の羽毛ふとんを他社に比べて有利にすることだと考えてしまいます。
一方、普通のお店の店員さんは、このホームページに書いてあるようなややこしい説明をするよりは「奥さん、すごくふっくらして嵩があるでしょう。良いものですよ」と説明した方が早くて手っ取り早く商談が進みます。そんなわけで出始めの頃から比べると、とんでもなく嵩高の羽毛ふとんばかりが出回るようになってしまいました。
するとどうなるでしょうか?
下図をご覧下さい
A
B
C
Aは4×5マスの標準的な充填をした場合の厚さです。この状態なら身体へのフィット感もまずまず得られます。
ところがBのように、嵩を出すためにより多くの羽毛を充填すると、それぞれのマスの中央部は最も厚くなり、その結果保温性が増すはず・・・なのですが、実際にはキルティング部分の谷間が大きくなって、身体へのフィット性が損なわれてしまい、身体の周りの暖まった空気が逃げやすくなります。
さらに、詰め込まれた羽毛では空気の循環がうまくいかなくなりますから、通気性が悪くなり蒸れやすくなります。
フィット性を損ねることなく、保温性を上げるためにCのような2層構造が生まれました。充填量を上げても、凸凹が少ないのでBの持つ欠点が無くなっています。
羽毛を詰め込みすぎるな-最適な羽毛量を選ぶ
ただ、このような場合でも、多く詰めれば良いのかというとそうでもありません。特に都市部のマンションに代表されるように、高気密・高断熱の住宅が多くなった現在では、嵩がある羽毛ふとんは12月になってからしか使えないということになります。これでは羽毛ふとんの持つ良さを活かしているとはいえません。
現在通常に販売されている羽毛ふとんの充填量は1.2~1.4kgがほとんどですが、太平洋岸の都市部だと0.6~0.8kgでも十分暖かい場合があります(それぞれの体質によります)。
このように、羽毛の充填量は入れれば良いというものではありません。
- キルティングの構造
- 生地の軽さ
- 羽毛の嵩高性
- 使用する方の体質
- 寝室の保温性や湿度
これらに合わせて、最適な量を選ぶことが必要になるのです。
最適な中身の量をどのように決めていくか
充填量が多すぎると、空気の循環が悪くなる
マスの大きさに合わせて最適充填量を選ぶ
羽毛の持つ吸湿発散性は、空気の循環がどれだけできるかにかかってきます。一方で空気は最も断熱性の良い素材なので、空気を多く含むと保温性が上がります。このことからも、必要以上に羽毛を充填すると、羽毛の持つ本来の良さをスポイルしてしまうといえるでしょう。
まず、マスが小さい(マスの数が多い)羽毛は、マスの大きい側に比べると、マス中央部の膨らみがそれほど取れませんから、一マスあたりのの容積が限られますので、充填量は少なく控えめにするのがベターです。
マスの大きい側は膨らみも大きくなる一方で、容積が大きいために、中で羽毛が片寄りしやすくなる傾向があります。これを防ぐには充填量を増やさなければなりません。3×5マスや3×4マスぐらいになると、そのバランスの取り方が難しくなります。
生地が軽くなれば、最適充填量は少なくなる
同じキルティング、同じ羽毛を入れても、側の重量によって嵩の出方は変わります。側が重くなるほど、多く羽毛を充填する必要があります。
例えば、平均的な生地である超長綿60サテンは生地重量が140g/㎡ぐらいです。この時に必要な羽毛充填量を100とすると、
超長綿80サテン 生地重量 115g/㎡だと 95
超長綿100ツイル 生地重量 93g/㎡だと 90
ぐらいの充填量で、同じだけの嵩になります。生地が重いと羽毛を圧迫するからなのです。ということは、生地が軽い方が羽毛の量が少ない=空気の量が多いために、保温や温湿度の調整が容易になるということがいえます。
嵩高性のある羽毛を使うと、羽毛の量は少なくても良い
これはある意味当たり前なのですが、言い換えると、増量された羽毛ふとんは質が良くないということです。
例えば嵩高15.0cmの羽毛と嵩高18.0cmの羽毛とでは、同じ重量でも嵩高18.0cmの方が20%多く嵩高になります。逆に言うと15.0cmを1.2kg入れるのと、18.0cmを1.0kg入れるのではほとんど同じということです。
ですから、よくテレビ通販とかチラシなんかでも「今回は特別に増量しました」なんていうとトクしたかのように見えますが、必ずしもそうではないことがわかります。
嵩高のある質の良い羽毛を使うと、羽毛の重量が少ない分、空気の量が多くなるので、より良いということになります。
また、羽毛も使っているうちに汚れなどもあって、次第に嵩が減ってきますが、嵩高のある羽毛はダウンボールが大きいので、嵩減りが少なく、リフォームした後でも目減りが少ないのです。
代謝量が大きい人、部屋の気密度や断熱性が高いほど、充填量を少なくする
要は暑がりの方には薄い目に、寒がりの方には厚い目の羽毛ふとんを使うということです。あるいは、暖かい部屋なら薄い目を、寒い部屋には厚い目の羽毛をということです。
かつて木綿わたのふとんの場合は、製造直売スタイルがほとんどでしたから、お客様のご要望に合わせて中わたの量を調節できました。ところが、市販品の羽毛ふとんは中身の充填量の調節ができません。しかも、嵩高く多く入っているケースがほとんどなので、特に暑がりの方には必要以上に嵩高になってしまうことが多いのです。
眠りのプロショップSawadaのオリジナル羽毛ふとんは製造直売のスタイル。お客様の体質や寝室の環境に合わせた、最適な羽毛の量をアドバイスいたします。
目の前でお作りしますので、どのようなご要望にも素早く対応いたします。例えば、ご夫婦でお求めの場合、同じように作るのではなく、男性の羽毛ふとんの充填量を50g減らし、その分を女性の分に足すことも可能ですし、余分なコストはかかりません。
眠りのプロショップSawadaのオリジナル羽毛ふとんは、10段階の厚さを選べるオーダー仕様
眠りのプロショップSawadaは、羽毛工房ダウンラボにおいて羽毛の製造からリフォームまでを一貫しておこなっています。
快適な羽毛布団の厚さは、使う方の体質や、住宅環境によっても異なります。「羽毛布団をすすめられて買ったけど、暑すぎる」という東京でマンション住まいのお客様の例にあるように、ふっくら暖かかったら良いわけではありません。
そこで10段階の厚さを選べるようにしました。厚みに合わせて、キルティングや羽毛の量を調整します。最適な厚さはカウンセリングでご提案いたします。
寒がりの方におすすめ 厚さ10 厚手 二層CONキルト 最も高い保温性がある二層構造でふっくら仕上げた厚さ10の厚手仕上げ。 寒がりの方、特に寒冷地や、伝統的な日本建築など保温性の低い住環境の方におすすめ。 二層CONキルトは、市場に多いツインキルトよりも、マス目が多いので片寄りが少ない。 | |
標準的な保温力 厚さ8~9 普通厚 変形5×5立体キルト 7cmマチ 標準的な厚さ。身体の中央部に縫い目が来る4×5マス(シングル)の欠点を改良して、保温性を改善したキルト。 厚さ8が普通厚の標準で、少し保温力を上げたい場合には羽毛を増量した厚さ9(普通厚+)にする。 | |
都市部のマンションや暑がりの方に 厚さ6~7 中厚 5×6立体キルト 7cmマチ マス目を増やすことで、薄めの厚みで保温性を向上させたキルト。 都市部のマンションや高気密高断熱住宅であれば、これがベスト。通常の住宅でも暑がりの人や、代謝量の高い子どもや若い男性などにもおすすめ。 厚さ7が中厚の標準で、さらに暑がりの方は羽毛の量を減らした厚さ6(中厚-)にする。 | |
中間時期に重宝する厚さ 厚さ5 合掛け 5×6立体キルト 4cmマチ 4~5月、10月などの季節に向いた、中厚よりマチを低くしてさらに薄めに仕上げたキルト。 冬用を使うには暑すぎて、肌掛けを使うには薄いという季節用で、厚さ5が合掛け。 高気密高断熱住宅の子どもさん用にもおすすめ。 | |
寒がりの方向けの肌掛 厚さ4 肌掛け+ 5×6直キルト 標準的な厚さ3の肌掛よりは厚手の仕上げにするため、マス目を中厚や合掛けと同じにして、直キルトにしたもの。 肌掛より羽毛の量が約25~30%多めにしている。 | |
初夏から夏へ使う肌掛 厚さ2~3 肌掛け 6×7直キルト 5月~10月上旬にかけて使用する肌掛布団。キルトマスを中厚より増やして、2枚重ねでも使えるようにしている。 厚さ3が肌掛の標準で、それよりも暑がりの方向けに羽毛を約20%減らした厚さ2(肌掛-)がある。 | |
真夏にエアコンと一緒に使う薄掛け 厚さ1 薄掛 7×9直キルト 真夏等にエアコンを使う場合などに、厚さ1の薄掛を使用する。(あるいは、厚さ2の肌掛-) キルトマスは63マスと多く、最も薄い。 |
サイズも自由自在 基本サイズに加えオーダー可
サイズの基本は シングル(SL 150×210cm)、セミダブル(SDL 170×210cm)、ダブル(DL 190×210cm)、クィーン(QL 210×210cm)の4つですが、より広い キング(KL 230×210cm)、ワイドキング(WKL 230×210cm)があります。
介護ベッドなどに最適なセミシングル(135×200cm)、超ロングサイズ(長さが230~250cm)、ベビーサイズやジュニアサイズなど、お好みサイズでお仕立てできます。