MENU

快眠できる掛ふとんの選び方

目次

掛ふとんに求められる基本性能は、保温して、湿度を快適に調節し、軽くて身体に負担がかからないこと

掛ふとんに求められる性能は、まず第一に、寝床内の理想温湿度である「温度33℃、湿度50%」をいかにうまく調節するかにあります。

1.周りの暖まった空気をを逃がさないこと(温度調節)

掛ふとんの基本役割は、身体の体温で暖まった空気を逃がさないことです。逆に初夏~夏など気温が高くなると、熱を適度に逃がす必要があります。この役割はふとんの嵩によって調節されてきました。熱伝導性が一番低い素材は空気なので、空気を沢山保つ嵩高いふとんは保温性が良いのです。

一方で保温性を上げるために、羽毛の量を入れすぎた掛ふとんだと、身体の表面でふとんがはねてしまい、寝返りする度に暖まった空気が逃げてしまい「過ぎたるは及ばざるがごとし」の状態になるのです。このことはポリエステル混の羊毛ふとんにも見られ、身体へのフィット性が悪いと、本体の保温力があっても、結果として保温性に問題が残ります

眠りのプロショップSawadaの定番羽毛ふとんは5×6マスの立体キルトになっていますが、これは下図のように羽毛ふとんをトンネル状にして、中の暖まった空気が出来るだけ逃げないように工夫されているのです。一方で、それほど厚く作られていないので、通気性も良く、比較的幅広い温度や湿度の環境で使うことが可能になっています。

2.湿気を素早く吸収し、放出すること(湿度調節)

ヒトは睡眠に入ると深部体温を下げるためにも発汗が行われます。特に、最初の深いノンレム睡眠には大量の汗をかきます。実は快適な温湿度といわれる温度33℃湿度50%ですが、この状態で不快指数は82、つまり湿度が高まると不快指数は急激に上がります。湿度50%を維持するには、一晩にコップ1~2杯かくという汗を素早く吸収し発散させることが重要です。

この時に重要になるのは、側生地のの通気性と、中わたの吸湿発散性です。中わたの吸湿発散性は羽毛・羊毛・シルクなどの動物性繊維が優れています。これらは、新しく乾いた空気が入れ替わることで、中の水分を発散します。木綿わたは吸湿性能は優れていますが、水分の発散性には難点があり、天日干しをこまめにすることが大切です。ポリエステルは素材本来には吸湿性がほとんど無いために蒸れやすい素材なので、最初のノンレム睡眠時のような急激な発汗と、それにともなう大きい湿度変化に対応することが苦手な素材です。

湿度調節のためには側生地の通気性が良いことが求められます。ガーゼのような打込みの少ない生地は、吸湿発散性能もまずまずです。一方、羽毛ふとんはダウンプルーフという吹き止め防止加工を行っており、特に日本では生地からの吹出しを嫌いますので、通気性については弱点をかかえています。これはウールプルーフ加工を行った羊毛ふとん用生地でも同様で、逆にニット・トリコット生地は通気性に優れます。

カバーも体表面の温湿度調節には重要な要素なので、カバーだから適当にと考えないようにしましょう。

3.軽くて身体に負担をかけないこと

羽毛ふとんが普及し始めの頃、お客様から「こんな軽いふとんではあかん、重くないと眠れないんや」というお言葉を多くいただきました。それでも羽毛ふとんをお使いいただいたお客さまは「昔の重いふとんは、よう使わんわ」とおっしゃいます。

昔の記録を見ていたら、掛ふとんに木綿わたを一貫400匁も入れていました。一貫目=3.75kgですから、なんと5.25kgにもなります。最近ではポリエステルわたとのミックスわたにしますので、800~900匁(3~3.4kgぐらい)ですが、それほど昔のふとんは重たかったのです。

これに比べると標準的な羽毛ふとんの充填量は1.3kgぐらいですから、「重さは半分以下!」といいたいところですが、同じ羽毛ふとんでも側生地の重量によって性格がずいぶん異なります。一般的に羽毛ふとんの側は木綿わた用より重いのです。通常の木綿わた用サテンのふとん側はシングルサイズで約750g、一方、羽毛ふとんの平均的な超長綿60サテン側は1100gします。もちろんトータルすれば羽毛の方がずいぶんと軽いことは間違いありません。

同じ羽毛でも軽量の生地(85~95g/㎡)だと、側も750gぐらいになりますし、側が軽いと中身の量は少なくても十分嵩が出て空気の量も多くなるので軽量生地の羽毛の方が、より機能的には良いものになります。

重いとなぜ問題か? それは重量が身体の血管を圧迫し、心臓に負担をかけるからです。ですから重量が3kg以上にもなる2枚合わせの毛布もその意味では問題です。基本的な保温は本来は敷で十分確保するべき問題なのです。

重い方がよく眠れるという研究?

重い掛け布団を使う方が安心して睡眠が良くなるという研究がありました。安心感という面で一理あるかもしれませんが、身体に圧迫をかけるのは良いことではありません。

掛布団の理想を突き詰めると羽毛布団になる

なぜ羽毛掛ふとんがベストなのか?

今日掛ふとんといえば、多くが羽毛ふとんとなってきました。25年ほど前は普及率が10%なかったので、急激な変化といえます。

掛ふとんの素材には 羽毛を始め、羊毛、木綿、絹(真綿)、麻、ポリエステルなど、さまざまな種類があります。それぞれに特徴がありますが、羽毛ふとんがベストとされる理由は
1.軽量である
2.へたりにくい
3.再利用が可能である

この3点が大きなポイントと云えます。もちろん、暖かい、吸放湿性が良いという基本性能は当然としてですが、比較的長期にわたって性能変化が少なく、仕立直しが簡単にできるのが大きなメリットでしょう。

保温性 軽さ フィット感 吸湿性 放湿性 へたりにくさ 再利用性
羽毛
羊毛100%
羊毛混 ×
真綿(絹) ×
もめん(綿混) × ×
×

 

睡眠科学に基づいた、理想の羽毛布団とは

まず、【必読!】羽毛布団製造のプロがすすめる、本当の羽毛布団の選び方 を一読ください。

あわせて読みたい
【必読!】羽毛布団製造のプロがすすめる本当の羽毛布団の選び方 店内の羽毛工房ダウンラボで羽毛布団を作る店主 1988年に店内にいち早く羽毛製造機を置き、手づくりで羽毛布団を仕立てて6,000枚を超えました。リフォーム仕立てを入れ...

もう少し突っ込んで、細かな内容を知りたい方は、こちらをご覧下さい。

あわせて読みたい
極上の眠りのための、理想の羽毛布団とは 羽毛工房ダウンラボ 1枚1枚丁寧に、手作り羽毛布団 睡眠科学に基づいた、理想の羽毛布団とは 温度33℃湿度50%をキープし、軽くて身体に負担をかけずに、やさしく身体を...

羽毛布団や木綿わた布団は、仕立て直しをしながら長く使う

当社は元々木綿わたの打直しを生業として始まりました。今日でも木綿わたの打直しも行なっておりますし、主流となった羽毛布団は自社に羽毛工房ダウンラボを設置して、お客様の目の前で羽毛布団のリフォーム(仕立直し)を行なっています。

あわせて読みたい
羽毛布団のリフォーム(仕立直し・打直し) 長く使うことが究極のエコ10年経ったら羽毛布団はリフォーム(仕立直し・打直し)を 増えてきたとはいえ、羽毛ふとんのリフォームは認知度がまだまだ低いようです。木綿...

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次