
布団は重い方が良いという情報は正しいのでしょうか?とのご質問

Googleで「布団は重い方がいい」と検索すると、このように出てきました。
個人の好みによるが、重いと安心感が増えるということが根拠みたいです。
布団は重い方が良い場合と、軽い方が良い場合があり、「包まれる安心感」「保温性」「リラックス効果」を求めるなら重い方が良いですが、「寝返りのしやすさ」「持ち運び」を重視するなら軽い方が適しており、自分の体質や好みに合わせて選ぶのが最も重要です。重い布団は心地よい圧迫感(深部圧刺激)でリラックス効果や睡眠ホルモンの分泌を促す効果が期待されますが、暑がりな人や寝返りが打ちにくいと不快に感じる人もいるため、適切な重さ(体重の5~10%程度)と素材選びが大切です。
重い布団のメリット・おすすめな人
- 保温性が高い: 体に密着し隙間ができにくく、熱が逃げにくい。
- 安心感・リラックス効果: 包まれる感覚で、不安感が軽減され、副交感神経が優位になる。
- おすすめな人: 不安感やストレスを感じやすい人、不眠症の人、包まれる感覚が好きな人(ウェイトブランケットが有名)。
重い布団のデメリット・注意点
- 寝返りが打ちにくい: 血流の滞りや呼吸のしづらさにつながることも。
- 蒸れやすい: 素材によっては暑苦しく感じることがある。
- 持ち運びや洗濯が大変。
軽い布団のメリット・おすすめな人
- 寝返りがしやすい: 血流や呼吸を妨げにくい。
- 扱いやすい: 持ち運びやベッドメイキングが楽。
- おすすめな人: 暑がりな人、寝返りを多く打つ人、重い布団が苦手な人。
選び方のポイント
- 適切な重さ: 体重の約5~10%が目安。重すぎると負担になる。
- 素材: 軽くて保温性・吸湿性の良い羽毛やオーガニックコットンなどが人気。
- 重ね使い: 軽い布団を重ねて使うのも、調整しやすくおすすめ。
結論として、万人にとって「重い方が絶対良い」とは言えず、自分に合った重さや素材を選ぶことが快適な睡眠への近道です。
眠りのプロショップSawadaの見解は「布団は軽い方が良い」
それは、軽い方が身体にストレスが少ないからです。
かつて羽毛布団が普及しかけた頃、布団の種類は木綿わた入りの布団でした。当時お客様の中には「こんな軽い布団は落ち着かん!」という方が少なからずいらっしゃいました。それでも羽毛布団をご購入いただいて、何年か経ったときに「従来からの重い布団の方がいいですか?」とおききすると「あんなに重い布団では、今では寝られない」という方が多かったのです。
当時の一般的な使用方法での布団の重量は、掛布団の側生地0.8kg+木綿わた3.2kg+布団カバー0.7kg+二枚合わせのアクリル毛布2.8kgで7.5kgです。一方標準的な羽毛布団の重量が2.5kg+布団カバー0.7kg=3.2kgなので、毛布を使わなければ、半分以下の重量でした。(カバーや毛布等の重量は平均的なもの)
当時のもう一世代前の木綿わた100%の掛布団だと側と中わたで5kgありました。さらに、木綿わたは湿気を含みやすいので、その分も重かったのです。
軽い方が良いという理由は
- 身体にストレスがかからない。重いと血流を阻害する。
- 重くて吸湿性が悪い布団を使うと、蒸れやすく快適な寝床内温湿度を阻害する
- メンテナンスが軽い方が楽
理由の一番は、血流を阻害する可能性が高いということでしょう。近年リカバリーウェアが流行で、パジャマにもリカバリーと名前がついたものが増えてきました。これらは、遠赤外線効果なので血流を促進するものですから、重い布団は効果を妨げます。
実際の布団の重さはどれぐらいあるのか
GoogleのAIの答えによると、適切な重さは体重の5~10%ということなので、60kgの体重だと3kg~6kgということになります。中を取って8%とすると4.8kgになります。
それでは実際にどれぐらいの重量で布団を使っているのでしょうか? 実はカバーや側生地の重量も大きく関わってきます。
実は普通の羽毛布団と毛布や暖かカバーでもそれなりの重量になります
一般的に市販されている羽毛布団の重量は、ポリエステル生地を使ったものだと2kgぐらい、綿サテン生地を使ったものは2.5kgぐらいです。普通の綿100%のカバー0.8kgぐらいを掛けると、2.8~3.3kgになります。
これに一般的なアクリル一重毛布1.8~2.0kgを加えると、総重量は4.6~5.3kgになり、そこそこ重いのです。
テレビ通販等で紹介される、暖か6層毛布は2.2kg(ジャパネットのチラシより)ぐらいありますから、羽毛布団と組み合わせると総重量は4.2~4.7kgぐらいあります。
つまり、軽いと思われている羽毛布団の組み合わせでも、5kg近い重量になります。8%で4.8kgということは、それぐらいでも丁度なのです。
2枚合わせの羽毛布団は意外に重い
中厚の掛け布団と肌掛布団をホックで止めて、オールシーズン対応という羽毛布団があります。
羽毛の量は一般的な中厚掛0.9kg、肌掛0.4kgとすると、ポピュラーな超長綿60サテンは側重量がそれぞれ1.2kg×2枚、これに羽毛重量を加えると2枚合わせた総重量は3.7kgにもなり、かなり重量感があります。高級とされる超長綿80サテンでも3.3kgです。
これにカバーの重量が加わりますので、布団だけで4.1~4.5kgにもなります。
重い生地を重ねると、その分湿気を吸ってさらに重くなりますので、このタイプの羽毛布団は綿100%で通気性の良い軽量平織生地を選ぶべきです。
ポリエステルやポリエステル混の側生地は0.7~0.8kgと綿100%の平織並みに軽く、安いのですが、綿100%平織の1/3~1/4程度の通気性しかないので、2枚重ねると非常に蒸れやすい布団となります。
羽毛布団でもそこそこの重量、本当に重くする必要はあるのだろうか
わざわざ重い7kg以上の荷重をかけて、血行を阻害する意味合いは無いと考えます。ただ、睡眠は安心感という、好みの問題でもありますから、重い布団を使った方が安心するという方に無理強いはしません。
ねむりはかせが使う掛布団の組み合わせは3.5kg
店主(ねむりはかせ)は滋賀県北部で、築80年の日本家屋に住んでいます。寝室の保温力はあまりありません。
- 羽毛布団(中厚) SB100生地 ポーランドステッキ―グース 側750g、羽毛800g
- カバー アイリッシュリネン80 840g
- マラゾット カシミヤ毛布 1060g
合計で 約3.5kgで、これはかなり軽い部類になります。カバーをローンなどにするとさらに軽くなります。軽いので、重さによる安心感とは程遠いでしょう。この軽さに慣れていない人が厳冬にいきなり使いだせば、軽すぎて落ち着かん、と言われるかもしれません。
しかしながら、実際の使用感は極上です。カシミヤ毛布が身体にフィットするため、カシミヤの保温力と、肌触りの快適さを味わえるため、掛布団は中厚に仕上げていますが、ステッキーグース(絡み合うために保温性が高い羽毛)を使っているため、エアコンも電気毛布も使わずに快適です。
睡眠時無呼吸症候群でもあるので、基本的に横向き寝で、寝返りもそれなりにありますが、毛布が身体にまとわりついてくれるので、肩が冷えるということもありません。
このような状況で重い布団を使うと、かなりストレスを感じます。心臓が圧迫されると、夢見が悪くなる傾向があります。
健康快眠のためなら、掛寝具は軽いものを。ただし個人差があります
本来ヒトはストレスがなければ、正しい身体のリズムが生まれ、ぐっすり眠ることができるはずなのです。
現実には、精神的や肉体的なストレスがあったり、寝具においては「寒い、暑い、蒸れる」などの不快情報や、音がうるさい、光刺激が多い等の寝室環境によって、眠りは妨げられます。
身体にストレスを与えないためにも、基本的には軽くて、温湿度調節ができる掛寝具を選ぶべきでしょう。軽くても重くても、快適な寝床内温度33℃湿度50%を実現するには、湿度調節が得意な動物性天然素材がおすすめです。
ただ、ヒトの感性はさまざまです。重い方が安心感がある、ということも否定できません。ご自身にあった掛寝具を選びましょう。

