
羽毛と羽毛が絡み合うステッキー(粘っこい)なダウン
通常の羽毛はダウンボールが絡み合うことはあまりありません。羽毛を拡げるとバラバラになってしまいます。
ステッキー(Sticky)の意味は粘着性です。ダウンボール同士が絡み合い、バラバラになりにくい羽毛をステッキーダウンといいます。アイダーダックダウンがその代表例です。

ステッキーダウンは保温力が高い
ダウンボール同士が絡み合うので、暖まった空気を囲って逃がしません。保温性が高いのがステッキーダウンの特徴です。
ステッキーダウンはゴミが少ない
ゴミが少ないのもステッキーダウンの特徴です。絡みあうダウンボールだけを、良いものは手選別によって選り分けられるために、ダウンファイバーと呼ばれる羽毛ゴミが非常に少ないのです。

この画像は、ポーランド・クラクフにある羽毛工場での手選別作業です。その年に取れた最高級のマザーグース、その中の絡みが強い羽毛から手選別でゴミを取り除いて得られる羽毛です(2019年現地にて撮影)
最高峰はアイスランド・アイダーダックダウン


アイダーダックは海洋性の鳥にしては体温が高く、その体温を保つために保温力の高い羽毛を持っています。厳寒の地であるアイスランドにおいて、卵から雛をかえすために巣に敷かれるダウンを採取するのです。
得られる量は年に2,000kg~3,000kgぐらいで、非常に稀少なため世界で取り合いになっています。羽毛の中でも最も高価なものです。
採取されたダウンはわらなどのゴミが非常に多く、これを最後は手によって選別します。

残念なことに、世の中には絡みの少ないアイダーダック、あるいはアイダーダックもどきの羽毛が少なからず出回っています。本物のアイダーダックダウンは10%程度しかないともいわれます。たしかにシングルサイズにして年間2,000~3,000枚しかできないわけです。アイスランドだから・・・と信じるのはおすすめしません。
実際、当社でもリフォームでお預かりしたアイダー羽毛布団を解体してみたら「なんじゃこれは?」というケースもありました。安い、といって持ち込まれたアイダーダウンは、絡みが非常に少ないものであったこともあります。
絡みが非常に強いので、仕立てる時は一マスごと手で計量しながら、アイダーダウン羽毛布団を作っています。

最高品質のポーランドグースから得られる、ステッキーダウン

寒暖の厳しいところで飼育された最高品質のグースダウンから、ステッキーダウンが選別されます。ポーランド以外にも、シベリア、カナダの極北などでも得られますが、今までの経験からいうと、比較的に安定した品質が得られるのはポーランドです。
アイダーダウンに比べると価格は1/5以下なので、比較的にお手頃にステッキーダウンを手に入れることができます。そのため、アイダーダウン、ネオアイダー、アイダリッシュダウンなどで販売されるケースも少なくありません。
当社では1988年から、カウフマン社など信頼のできる羽毛ベンダーより、ステッキーダウンを仕入れてきました。
現在の当社のラインアップは PPST98・PMST95a・PST95N の三種類です。
アイダーよりかなり安い、といっても通常のマザーグースダウンよりもさらに高価です。ただ、ダウンボールの大きさや羽枝の密度をみても最高レベルの羽毛ばかり。長く安心して使える羽毛なので、羽毛布団を購入される場合は、ぜひご検討いただきたいと思います。




