
遠赤外線効果による疲労回復をPRするリカバリーウェアのブーム?
昨今リカバリーウェアとして、さまざまな部屋着やパジャマが出ています。どう違うのでしょうか?
調べてみると、ほとんどのものが溶岩などの鉱石などを練りこんだ遠赤外線放出素材であり、遠赤外線効果によって血行を促進し、疲れを取るという仕組みになっています。多くが医療器具として認定されているようです。
遠赤外線効果によって血行が促進される効果を持った寝具は、30年以上前から製品化されてきました。草分け的なのは旧京都西川のローズテクニー温熱電位敷布団でしょう。テクニーのように医療機器認定されないものでも、遠赤外線放出の機能を持った繊維は以前からごく一般的に商品化されてきました。
目新しさはないが、「医療器具」と「リカバリー」で再ブランディングしたもの
寝具業界に長く首をつっこんでいると「遠赤外線ね、ああまたか」という印象です。これらはしばしば特殊な販売ルートで、とんでもない価格で販売されていることが多かったのです。
大手だとロマンス小杉さんが、「岩盤浴シリーズ」でブラックシリカと呼ばれる鉱石を練りこんだ素材で販売されています。
機能そのものは目新しいものではありませんが、「リカバリー」という言葉と「医療器具」によって再ブランディングして、市場に出てきたもののようです。
ほとんどが合成繊維素材なので、汗を吸うのは苦手
色々調べてみましたが、ほとんどが合成繊維素材のニット生地でした。残念ながら綿素材を使ったものは希少です。ベストリカバリーウェアというページに載っていた製品の素材を調べると、下記のような状態でした。
- ポリエステル100%
- レーヨン63%、ポリエステル29%、ポリウレタン8%
- ポリエステル68% レーヨン23% ポリウレタン9%
- ポリエステル95% ポリウレタン5%
- 綿20%,ポリエステル80%
ロマンス小杉さんの岩盤浴シリーズもポリエステル素材がほとんどなので、よく似たもの同士といえるでしょう。このうちで吸湿性が期待できるのはレーヨンぐらいです。
眠りのプロショップSawadaが考えるパジャマの理想形は
大きく2つです。
- 吸湿発散性があり、汗を吸って発散させる素材であること
- ストレスなしに寝返りできること
吸湿発散性がないと、急激な発汗に対応できない
もっとも重要とされる、睡眠の最初の90分。ここでは急激な発汗があり、比例するかのように成長ホルモンが大量に分泌されます。

この時に汗を素早く吸って、快適な寝床内温度33℃湿度50%を保つことが、快適な睡眠のリズムを作ることになります。好き嫌いの個人差はありますが、基本的には綿が50%以上入った素材が望ましいのです。
伸縮性があって、寝返りを妨げないこと

綿100%で二重織ガーゼや三重織ガーゼを使ったパジャマは、吸湿発散性もあり快適に眠ることができる素材ですが、伸縮性がなく、寝返りの際に肩が引きつれてしまうという課題があります。
シルクは肌に最も近いアミノ酸で出来ているので、とてもやさしい素材なのですが、シルクサテンのパジャマが多く、伸縮性はさらにありません。背中に汗をかくと、べとついてしまう欠点もあるのです。
おすすめは綿100%のニット生地。ニットは一口では語れないぐらい素材による違いがありますが、伸縮性があり寝返りを妨げない素材です。実際に使うといわゆるシャツ然としたボタン止めするパジャマより、Tシャツのようなニット素材の方が、開けることが少なく、使いやすいのです。
つまり、リカバリーウェアとして販売されているような、丸首タイプ(スウェットタイプ)のデザインで、素材が綿100%もしくはそれに近い素材であれば良いということになります。
店主としてはシルクニットが一番良いと思っているんですが・・・なかなか市場には出回りませんねぇ。15年も前に西川から出ていたバーバリーのスウェットタイプのパジャマ、今でも愛用です。

