羽毛布団に使われる羽毛は、良い品質であれば30年、ものによっては50年以上使うことができます。しかし、靴を想像して下さい。どのように良いモノでも、手入れが不十分だったら長く使うことはできません。
羽毛布団の使い方
必ずカバーをかけてお使いください。カバーを定期的に洗うことも大切です。
カバーをかけて使うことです。当たり前のように思われていますが、カバーは布団の汚れを防ぎ、長く使うためには必ず必要です。また、カバーはこまめに洗いましょう。あまり洗っていないカバーをかけた羽毛布団を見ることがありますが、カバーの汚れが羽毛布団に移って、かなり汚い状況になります。
カバーの種類で使い心地、睡眠の質が変わる
一口にカバーと要っても、その材質や織り方などによって、使い心地は一変します。冬なら、起毛タイプや多重織りのガーゼなどが暖かいですし、夏はリネンなどの麻素材や、ボイルなどの通気性が良く軽いモノが適しています。
逆にポリエステル混や重い風合いの悪いカバーは寝心地を損ねます。
羽毛布団の側生地とカバーの関係
眠りのプロショップSawadaはこう考えます。1.羽毛の良さを最大限に活かす、軽量で通気性の良い生地を使うこと 2.人の肌にふれるところは、体質や季節に合わせた、官能評価の高いカバー素材を使うこと この組合せで、快適な睡眠環境を実現することができるのです。
定期的に上下や裏表を入れ替えて使いましょう
眠りのプロショップSawadaの羽毛布団はCON二層キルト以外は、上下、裏表の区分がありません。定期的に上下や裏表を入替ながら使いましょう。一定の方向ばかり使うと、汚れが一ヶ所に集中することになります。
CON二層キルトは裏表があるので注意
羽毛布団の中には、裏表があるもの、上下があるものがあります。例えば、ふっくら仕立てとなる二層式のCONキルトは裏表が決まっています。
CON二層キルトの場合は、この場合3×5マスとなる面を上(表)に使うことで、身体にフィットするように、それぞれのマスに入れる羽毛の量を調整しています。逆に使うと、本来の良さが活かされません。(CONキルトは上下の区分はありません)
毛布は天然素材を肌側に、重い毛布は使わない
昨今の高断熱住宅では、毛布を使用する方も減ってきていますが、冬の補助寝具としてまだまだ使われています。しかし、正しい使い方をされていないケースが多いのです。
その代表格が「毛布は羽毛布団の上に掛ける」です。毛布は接触温感を高めるものですから、中側へ使うのが本来です。上に掛けるのであれば毛布でなくても軽いキルトでもかまいません。その場合、アクリルやポリエステルは羽毛布団の機能を損ねますから、使わないことです。
羽毛布団の場合は、ウールやカシミヤ、シルクなどの動物性天然素材を肌側に使うことをおすすめします。綿毛布でも構いませんが、保温力が低下し、羽毛の湿度調整機能を損ねるケースがありますので、動物性繊維の方が優れています。
羽毛布団のお手入れ-干し方
「羽毛布団は陰干しで」と云われてきました。私たちも羽毛布団普及の黎明期には、そのようにお話をしてきました。それは、当時木綿わたのふとんを毎日のように干すということが一般的だったからです。今日では、羽毛布団に含まれる湿気を減らすためにも、日干しをおすすめしています。
カバーをかけたまま日干しをする(両面各30~60分)
日干しは月に1~2度、天気の良い日にカバーをかけたまま片面30~60分、両面かけてください。カバーをかける理由は、昨今では花粉やPM2.5などアレルゲン物質が多いため、それが布団に付着することを防ぐためです。布団を干した後にカバーを洗って下さい。もちろん、布団たたきは厳禁です。
日干しには、布団側の湿気を取り除いて、殺菌をするという役割もあります。
日干しができない場合は、陽当たりの良い室内に拡げて干してください。この場合はカバーは不要です。
ふとん乾燥機を使う
日干しがしにくい冬はふとん乾燥機がおすすめです。できれば、就寝直前の1時間で乾燥機を使うことをおすすめします。
これによって布団が乾燥するだけでなく、暖まりますので、寝付きが良くなります。冷え性の方にはおすすめです。
最近は、バルーンを使わず温風を直接送る、手軽なタイプのふとん乾燥機が出ていますので、このようなタイプがお手軽でおすすめです。
ときどき掃除機を軽くかける
羽毛の品質にもよりますが、低級品の羽毛はダウンファイバーと呼ばれる羽毛ゴミが多く含まれます。ダウンであっても、使用しているうちに壊れてダウンファイバーになっていきます。羽毛の縫い目にはこのようなゴミがたまりやすくなりますので、定期的に掃除機をかけてください。ブラシを付けて縫い目に沿って掃除機をかけ、ふとん用ヘッドで軽くかけます。
ダニはそもそも羽毛布団の生地を通り抜けできない
しばしばダニが問題になりますが、羽毛布団に使われる生地は高密度に織られていますので、ダニの出入りはできません。ということは、出ることも入り込むこともできないのです。従ってダニ対策とかUV対応などの布団掃除機は羽毛布団には不要です。どうしても殺菌が必要であれば、布団を干す前に、除菌クリーナーなどを噴霧してください。
寝具のプロから見ると、そこまでする必要はあまり認められません。それより、こまめにカバーを替えて清潔にする方が大切です。
羽毛布団のお手入れ-収納と保管
乾燥させてから収納する
夏になって冬の布団を片付けるときは、一度日干しをして乾燥をさせてから、付属の通気性の良い羽毛布団用袋に収納して下さい。
シングルは3×3、ダブルは4×3に折って専用袋に
羽毛布団の収納の方法は、シングルは横に三つ折して、縦方向に三つ折します。ダブルの場合は横に四つ折して、縦方向に三つ折です。中の空気を抜いて、羽毛布団用袋に入れてください
圧縮袋は可能な限り避ける
ふとん圧縮袋は羽毛を圧縮するために、本来はおすすめできません。収納スペースが原因で使わざるを得ない場合でも、少し空気があるようにしてください。
通気性の良い場所で保管する
保管場所が湿気が多いと、カビや臭いの元になります。押し入れやクローゼットでは上の方にいれるようにしてください。長期的に使わない場合は3ヶ月に1度は、出して干してもらうのがベストです。
臭いがあるばあいは
羽毛特有の臭いがある場合や、新品で臭いが残っている場合は、日干しのあと、風通しのいいところに干してください。それでも取れない場合は丸洗いに出して下さい。羽毛の臭いの原因は、羽毛の洗浄不足です。国内で洗浄している場合は、ほぼあり得ませんが、中国などの粗悪業者だと、洗浄不足で臭いが取れてないケースが多く見られます。
ダックはグースよりも臭いやすいので注意
特にダックダウン(アヒル)はグースダウン(ガチョウ)に比べると油脂分が多く、同じように洗浄しても臭いやすい性質があります。中古羽毛が混入していると酸素計数が高く臭いの原因となります。また、飼育環境が劣悪だと、臭いが強い羽毛になります。何度洗濯しても、臭いが取れない場合は粗悪品です、残念ながら諦めていただいた方がいいでしょう。
良質な環境でじっくり育てられたグース(ポーランドで)
羽毛布団の丸洗いについて
3~5年に一度、専用の丸洗いを
いくらカバーをかけても、毎日使う羽毛布団は側や中身が汚れてきます。そのままにしておくと、汚れが羽毛にこびりついてしまい、リフォームをする場合に羽毛の汚れがとれずに、元へもどりにくくなります。
画像は当店でお買上いただいた羽毛布団で、元々が440dpのトップクラスのポーランドマザーグースでした。しかし14年間手入れがなされていないので、側の汚れ以上に羽毛が汚れていて、リフレッシュ洗浄しても元通りにはなかなか戻りません。定期的に丸洗いすることで、羽毛の汚れを洗っておけば、リフォームの際に元通りになりやすいのです。
3~5年を目処に丸洗いをするようにしましょう。当店仕立ての羽毛布団は基本的に丸洗いに対応しています。(以前の時代の羽毛布団の中にはシルク素材等丸洗いに適していないものもあります。
丸洗いするリスク-羽毛の吹き出し
実は、市場に出回っている羽毛布団で側生地が綿素材のものは、ほとんどが丸洗いに対応していません。
例えばポピュラーに使われている蔭山の60サテンの通気度は1.3ccですが、丸洗いすると、ダウンプルーフという吹き止め加工が取れてしまい、通気度が3.7ccになります。通気度が大きくなると快適にはなりますが、羽毛ゴミ(ダウンファイバー)が吹き出す可能性があります。
中身の羽毛がゴミが少ない良質のモノなら問題はありませんが、サテンで通気度3.7ccとなると、正直ぎりぎりです。
眠りのプロショップSawadaの定番で扱っている無地は基本的に丸洗いに対応していますが、スポットで入荷する柄物は対応していないものも多いのです。実際には大きな問題になることはごく希ですが、一定のリスクがあることはご理解ください。
シルク素材・真綿羽毛布団は丸洗いを避ける
シルクやシルク混の生地は基本的に丸洗いはできません。丁寧に押し洗いをすれば可能ですが、通常の乾燥工程では生地にかなりな負担をかけます。リフォームで対応するのが基本です。羽毛を真綿(シルクわた)でサンドイッチした構造の真綿羽毛布団も丸洗いは難しいと思います。長年使うと真綿が切れてしまうことが多く、丸洗いすることでそれが加速します。
自宅やコインランドリーで洗う場合は乾燥を十分に
薄い羽毛肌布団などは自宅やコインランドリーなどで洗うこともできます。ただし、乾燥が不十分だと羽毛が開きらないため、せっかく洗っても嵩が戻らないことがあります。ご注意ください。
丸洗いするなら専門業者への依頼を
最近は布団が洗えるコインランドリーが増えてきました。これらは安い価格で丸洗いする業者と同じ方法です。軽量の生地の場合、温風で回転させながら乾燥させるタンブラー乾燥は、生地に負担をかけますのでご注意ください。
できるだけ専門の業者におまかせすることをおすすめします。眠りのプロショップSawadaでも取り扱いをしているのでご相談下さい
緊急時の対処方法
嘔吐したなどの緊急時は、汚れた部分だけを風呂場などで水洗いして下さい。必要に応じて洗剤を使っても構いませんが、その場合はすすぎを十分にすることが必要です。
洗う範囲が広い場合は、脱水してください。そののちに布団を拡げて形を整え干します。非常に日差しが強い場合は、自然乾燥でも構いませんが、羽毛布団は仲間でうまく乾燥させることが難しい素材です。ドライヤーを使い、ぬれている部分に温風を当てて乾燥させてほぐしながら、全体を乾燥させます。布の近くに当てると、焦げる場合もあるので注意して下さい。
汚れがひどい場合は、とりあえず水洗いをした上で、丸洗いに出して下さい。
羽毛布団は丸洗いすることができるのか? その問題点
羽毛布団は10年経ったら、リフォーム(仕立て直し・打直し)が必要
10年以上使った羽毛は 1.側生地が汚れてくる 2.側生地が弱ってくる 3.羽毛が汚れて嵩が減る 4.羽毛が壊れて嵩が減る などの状況になります。表の側生地はそれほど傷んでいないように見えても、中の羽毛は汚れが進み、仕様とともに羽毛が壊れてゴミが増えます。
羽毛布団のリフォーム(仕立て直し)は、古い羽毛を解体し、直洗いと除塵によって羽毛をリフレッシュし、リフレッシュによって減った羽毛を足して、新しい側に吹き込んで羽毛布団を文字通り新品のように再生させます。
このように汚れへたってきた羽毛布団がリフォームすることで甦るのです
羽毛布団リフォームの専用サイトをオープンしました。詳しくはこちらから
買い替えた方がいいのか、リフォームした方が良いのか?
買う方が安いのではないかというお声もあります。確かに市販の安い羽毛布団を購入するのとリフォームとは価格がそれほど変わりません。しかし、元々の羽毛が良質のグースダウンを使っているものならば、迷わずリフォームをおすすめします。
滋賀県、長浜市、彦根市、米原市で羽毛布団リフォーム(仕立直し・打直し)をお考えの方は羽毛布団を持って店頭でご相談ください。
羽毛布団買い換えのタイミング
良い羽毛布団は丸洗いとリフォームを繰り返すことで、快適な状態で30年以上使えます。眠りのプロショップSawadaでは基本的に2回以上リフォームが可能な羽毛布団をおすすめしています。
下のチャートをご覧ください。30歳で購入した場合、60歳ごろに買い替え、90歳まで使えます。そのためには、良質な羽毛を使うことと、適度なメンテナンスが必要です。