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April Fool :2024/4/1 眠りの魔法使い「昼行灯殿下」Ⅱ

皇太子殿下の三男に異世界転生をして、国軍に所属して昼行灯殿下と呼ばれる「私」のおはなし。前のストーリーを知りたい人はこちらから

元旦、皇城での一般参賀の際にその地震は起こってしまった。「高志大震災」である。今回は横揺れが非常に大きく、家屋倒壊もひどいという連絡が入ってきた。現世の技術水準は大正時代に近いので、まだ前世にあった(?)といわれる防災マットレス「トランスフォーマー」は作られていない。

この一年間、日本各地から眠りの魔法の才能を持つ魔術師を集めて部隊が作られた。だれが付けたのか名前が「夢グループ」。DVDプレーヤーの通販屋か!と私は唸ったものの、DVDそのものがまだ存在しないのが現世である。殿下である私は、この部隊長を務めているというわけだ。

成人もしたので、ちょっとつり目の美人の婚約者もいる。皇家に妃を出したい藤摂四家(藤南家、藤北家、藤式家、藤京家)のうち、本来は本家筋なのだがご一新の際にやらかしてしまい、ちょっと落ち目の藤南公爵家のお姫様である。ちなみに母上(皇太子妃)は藤北家出身で、紫の君なるお抱え小説家が人気だそうだ。

これに成り代わろうとしている新興勢力が近江長浜を地盤にしている君臣豊楽家の兄弟だ。兄は人たらしで弟がきっちり面倒をみているらしい。佐吉なる兄の侍従が非常に優秀なのだという。

国防は当然のことながら、このような自然災害時に皇国民を守るのは軍の務めである。特に高志の国は海を挟んでいろいろやばい国(前号で紹介済み)に面しているから国防的にも重要な地だ。夢グループにも出動命令が下された。主な任務は避難している人々の慰撫である。つまり、良い夢をみてぐっすり眠っていただく眠りの魔法をかけるのだ。

どうしても自然災害は規模が大きいと人は心が折れやすくなる。わがヒイヅル皇国は古来より自然災害が多いので慣れがあるとはいえ、心のケアは大事である。

さっそく大きな被害を被った市へ向かう。到着すると市長が血走った目で「病院がぁ~、医師が~、ひぃ~」と叫んでいる。「どうしたんだ?」と職員に聞くと「自分の思うようにならないと、ヒステリーのようになるんです」とのこと。「アンドリューフォーク症候群か!」と思わず唸ったが、もちろん現世に「銀英伝」なる前世にあった小説はない。しょうがないので、開発中の魔道具「母のゆりかご」を手配する。時々誤動作するが仕方あるまい。

とにもかくにも避難所を回る。昼行灯どころではない。厳しい冬の寒さに耐えている人々に少しでもやすらぎと、明日への希望を夢に乗せて安眠魔法をかけてまわる。気休めになるかもしれないが、「久しぶりにぐっすり眠ることができました」「なんか元気がわいてきました」という感謝の声はありがたい。被災された方にはなんとか頑張ってほしいし、微力ながら応援をしていきたいと思う。

そんな毎日が続いたが、ある避難所で光の治癒魔法を持つ少女と出会って、・・・婚約破棄! なんてことにはなりませんよ。私は相も変わらずにまったりしたい「昼行灯殿下」なのである。

#エイプリルフール もちろんフィクションです。

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