先日あるテレビ番組で、毛布は布団の上から掛けるものだと紹介されていたが、ねむりはかせとしてはちょっと承服しかねる内容である。
かつて木綿わたの布団が一般的であった頃、保温性を高めるために二枚合わせのアクリル毛布が多く使われていた。この時は毛布は下、つまり肌側で使われていたのがほとんどだった。その後羽毛布団が普及していく際に、「羽毛布団の下にアクリル毛布を使うと、(アクリルは合成繊維なので)羽毛の良さが活きませんから、上に掛けてください」という説明を私たちの業界は行ってきた。
これは寝床内の温湿度、特に湿度を適度に調節するためには正しいのだが、逆に自然素材であるウールや綿素材の毛布であれば、下で使っていただいてもかまわない。むしろ毛布本来の接触温感を感じるのであれば、そちらの方が有効だ。
また、重い毛布を羽毛布団の上に載せてしまうと、布団が押しつぶされて保温性は低下する。確かに体への密着度が上がるので、暖かいような気もするが、実は重ね掛けという方法で保温性を上げるのであれば毛布である必要はなく、軽量の布団を重ねた方が効率が良い。
身体への負担を掛けないためにも、本来掛け寝具はできるだけ軽く、しかも熱を逃さないように身体へのフィット性が高いものが求められる。代謝量が高い人は湿度調節が、低い人は温度調節が重要になるので、体質によっても素材や使い方は変わってくる。両方を満足させるとなるとカシミヤ毛布を下にして、軽量の羽毛布団を掛けるのがベストであろう。
布団干しをしなくても良いと錯誤する消臭剤のCMがあるが、あれもどうかと思う。マスメディアには踊らされないようにしたいものだ。
ねむりはかせ 沢田昌宏