
快適な寝床内は温度33℃湿度50% なぜ夏は寝苦しくなるのか?
日本の夏が寝苦しいのは、湿気が多いからです。暑いからではありません。
快適な寝床内(部屋ではありません)は温度33℃湿度50%と日本睡眠環境学会で報告されています。「えっ33℃!?」と思われる方が少なくありません。
人間の体温は36~37℃、体表面の温度は32.5℃ぐらいです。つまり、寝具はヒトという熱源で暖められて33℃で平衡するのです。33℃になるのに時間がかかる布団は「保温性が悪い」となります。
一方、日本の気候では夏に湿度は50%を簡単に超えてしまいます。ですから、伝統的な日本家屋は保温より、湿気を逃がす構造で作られてきました。正倉院の高床づくり、平安時代の寝殿造りもそうです。
ところが、温度33℃湿度50%での不快指数82.2もあります。通常80以上だと不快と感じるわけですが、寝具の中はこのようになっています。つまり、湿度が少しでも上がってしまうと不快感が急激にあがるということです。
夏の寝室対策は、温度と湿度を下げること

気候変動の影響か、気温が高い酷暑な日が増えました。
日中が38~40℃にもなると、建物に蓄積されて放射される輻射熱がハンパではありません。夜になって外気温が下がっても、輻射熱の影響で部屋の中が暑い状態が続きやすいのです。
最近の高気密高断熱住宅の場合は、換気が不十分になりがちで湿気が溜りやすくなります。
エアコンを使わず自然な風で眠る-というのは今日、特に都市部では難しくなっています。エアコンの室外機からの放熱もばかになりません。
無理をすると熱中症につながりやすくなりますから、適度にエアコンをかけて、部屋の温度と湿度を下げるようにしましょう。水を使った冷風扇は、気化熱を使う構造なので、湿気が増えるのでおすすめではありません。
夏の寝具に求められるのは「吸湿発散性」と「熱伝導性」
ヒトは一晩にコップ一杯の汗をかくといわれますが、夏はそれが2倍も3倍にもなります。湿度を抑えるには、汗を素早く吸って、それを素早く発散することができる「吸湿発散性」が求められます。素早く発散することで、気化熱を奪い温度を下げます。
保温力を上げるには「熱伝導性の低い」素材が有効です。逆に夏は、身体に接触する面の熱を逃がすことができる「熱伝導性が高い」素材が求められます。
夏に最適な素材は麻 優れた吸湿発散性と熱伝導性

天然素材である麻は、吸湿するだけでなく発散性にも優れています。麻の寝具を使うと、さらっとして綿素材のようなべたつき感がありません。
併せて、熱の伝導性にも優れていますので、熱を逃がすのが得意です。逆に、保温性が低いので冬には向かない素材といえます。
麻の種類は、ラミー・リネン・ヘンプなどいろいろ
一口に麻といっても、ラミー(苧麻)・リネン(亜麻)・ヘンプ(大麻)など、さまざまな種類があり、まとめて麻と称されます(ヘンプは指定外繊維と表示されます)
このうち夏に最適なのは、シャリ感が強いラミーです。中でも近江ちぢみは麻の生地に皺を付けて涼感を高めた、夏向けの最高の素材といえるでしょう。
ヨーロッパに多いリネンは、ラミーに比べると柔らかめなので、女性に好まれる傾向が強いです。軽量のカバーなどはオールシーズン使うことができます。
ヘンプは、リネンの使用感に近いのですが、紡績がしにくいためか、リネンより高価なケースが多いです。

冷感寝具は温度は下がるが、吸湿発散性が悪いものが大半
最近ではさまざまな冷感寝具と呼ばれる、温度を下げることができる寝具が増えています。たしかに温度は下がりますが、ほとんどが汗を吸わない合成繊維で作られているため、吸湿発散性が悪いのです。
そのため、寝入りには冷感が有効ではあるものの、汗が溜まりやすく群れが出やすい寝具といえます。おすすめとはいえません。
夏に最適な掛布団は、近江ちぢみの側生地+麻わた

ラミー麻の近江ちぢみは、皺があるため皮膚への接触面積が少なく、涼感が強いのが特徴です。中のわたも麻100%を使うため、掛布団全てが麻100%でできています。
丸洗いができるため、直に使っていただけます。

敷布団は羊毛やキャメルのベッドパッドの上に、麻の敷パッド


敷寝具の場合は、まず汗の吸湿発散性が重要となります。一晩の発汗量をかんがえると、薄い敷パッドだけでは吸湿性が不十分です。
そのため、マットレスの上に羊毛のベッドパッドを使います。羊毛は吸湿発散性が良いためベッドパッドや敷布団にベストの素材です。
当社オリジナルのドイツ・ビラベック社の羊毛ベッドパッドや羊毛敷布団は、片面にリトアニア製のリネン麻生地を使っているので、夏はその面を上に使います。これによって熱のこもりが少なくなります。
この上に、丸洗いができる近江ちぢみやリネン麻の本麻敷パッドを組み合わせると快適な涼しさを得ることができるのです。


さらに快適性を上げるためのハニカムシート

ハニカムシートは立体構造で、中が中空になっています。本麻敷パッドの下にハニカムシートを組み合わせると、空気層ができるために、汗の発散が早くなります。

頭寒足熱、吸湿性をアップする本麻枕パッド

汗をかいて、寝苦しさが増えるのが首まわりです。敷パッドと同じように作られた本麻枕パッドを使うことで、汗を素早く吸って快適に眠ることができます。