羽毛布団の生地に綿100%で軽量・高通気度の平織生地を推奨しています
結論からいいますと、羽毛布団に最適な生地を選んだ結果です。
軽くて、通気性が良く、洗っても崩れにくいからです。
ヨーロッパは平織(バティスト)が主流なのに日本はサテン
羽毛布団用に限らず、生地にはさまざまな織り方があります。3種類の織り方が一般的です。
平織(バティスト)
経糸(たていと)・緯糸(よこいと)が交互になる、一番ベーシックな織り方です。生地が安定しています。
綾織(ツイル)
平織りに比べると、緯糸が経糸を2本(~3本)飛び越して織る方法です。斜め方向に地紋がでます。ジーンズの生地などもそうです。
朱子織(サテン)
綾織に比べると経糸を4本以上飛び越して織る方法です。この場合経糸が表の大部分に出るために表面がなめらかでしなやかになります。
ヨーロッパでは軽い平織生地が主流
羽毛布団の本場ヨーロッパでずっと使われてきたのは平織でした。平織は縦横が交互に出るので織が安定しているからです。コストが安いということもあります。
ダウンプルーフ加工のため平織はガサガサ音がする欠点があったため、柔らかいサテン生地が日本では主流に
一方日本では羽毛布団の普及期からサテンが主流でした。これは、高級品にドイツから輸入されたサテンのプリント生地が使われていたこと、羽毛布団の吹き出しをふせぐダウンプルーフを日本では強くかけたために平織ではガサガサと音がして風合いが今一つであったために、風合いの柔らかいサテン生地が好まれたためです。
サテン生地は、柔らかいが平織生地よりも重い
ところがサテンは糸を飛ばして織っているために、平織より羽毛が吹き出しやすい構造です。そのため、サテンでは密度を上げたものが使われる様になりました。
例えば 80番手のサテン生地(WS8800)は114g/㎡が主流(打込み本数は経糸210緯糸195計405本)打込みですが、同じ80番手の平織(TE135)だと90g/㎡で打込み本数も経糸154緯糸153計309本 と20%ぐらい平織の方が軽くなります。
ノンダウンプルーフという生地はさらに密度が高くなり、重くなります。
このようにサテンが主流の日本では、生地重量が105~150g/㎡と、ヨーロッパに比べると重い生地ばかりになってしまいました。軽くするためには、ポリエステルを混ぜるしかなかったので、コスト要因もあって、今日日本の羽毛布団の大半はポリエステル混紡の側生地になってしまいました。
快適に眠るために羽毛布団を使うという目的が、どこかへ行ってしまいました。
羽毛布団に最適な生地は軽さと通気度
こちらをご覧下さい。羽毛布団に最適な生地は、軽さと通気性であることが述べられています。つまり、重くて(ダウンプルーフ加工のために)通気性が劣るサテン生地は、理想的な羽毛布団用の生地とは言い難いのです。
何年もヨーロッパへ行くと、綿100%の羽毛布団用の生地が、ますます軽くなって行くことに気がつきます。日本の綿100%生地では100g/㎡を切ることすら難しいのに、ヨーロッパでは、85g/㎡→80g/㎡→70g/㎡と細番手の良質な生地を使って、軽く仕上がっていきました。
実際に使うとよくわかりますが、軽くて通気性の良い生地の方が、早く暖まり、早く乾くために快適に使えるのです。
平織は軽く仕上がります
経糸と緯糸が交互に交わります。さらに経糸と緯糸の数をほぼ同数に揃えることで、スクエア織という安定的な仕上がりになるために、打込み密度をそれほど上げなくても、安定した生地になるのです。結果、軽く仕上がります。
平織は通気性が良くなります
現在でもふとん地流通協会の基準では、平織は通気度を3.5以下にすれば良いですが、サテンは3以下にすることが求められています。さらにポリエステルが混紡された生地は2以下であり、実際は安全のためにこの1/2の通気度にされているケースがほとんどです。
つまり綿100%で平織りの生地は、構造が安定していることもあり、通気性を上げても問題が少ないのです。
軽くて通気性が良い生地が、羽毛の良さを最大限に活かすのです
軽いと生地に含まれる湿気が少なく、直ぐに暖かさが伝わってきます。さらに通気性が良いために、空気の循環が早く、蒸れずに快適な睡眠環境が得られます。
だから私たちは綿100%で軽量の平織生地をおすすめするのです
特にヨーロッパの生地は、上質の超長綿を使い、密度も適度に織るために、平織の最大の課題であるペーパーノイズ(ガサガサ音)が極めて少ないのが特徴です。
日本でも、眠りのプロショップSawadaのオリジナル生地は、通気度を3~3.5までギリギリに上げて、しかも椿油加工を施すことで、ガサガサ音はほとんどないレベルに仕上げています。