羽毛布団は3~5年ごとに丸洗い、10年ごとにリフォーム(打直し・仕立て直し)をおすすめしています。その場合の注意点を述べます。

丸洗いで済ませるか、リフォームするか どちらがベスト?
結論から申し上げると
- 購入から5年までであれば、丸洗いをする
- 10年以上であればリフォームする
- 5~10年は羽毛布団の状態で判断する
チャートで示すと下記のようになります。30歳でご購入いただいた場合として提案しています。

羽毛が著しく汚れている・へたりがある・側が破れている・羽毛の片寄りがある などの場合はリフォームで対応します。丸洗いでは解決できません。

丸洗いの場合は、どのように行なうのか
- 羽毛布団丸洗い専門業者に委託する
- 羽毛布団の丸洗いを行なうクリーニング店に依頼する
- コインランドリーで洗う
- 自宅で洗う
おおむね、この4つの方法があります。
羽毛布団丸洗い専門業者に委託する
最も安定的に洗えるのが専門業者です。おすすめはウォータージェットを使うアクアジェットクリーニング方式です。その他にも業者によって特徴があります。フレスコなど、ネットで申し込んで回収配達をしてくれる業者もあります。
当店の場合は シングルサイズ 掛布団で 5,500円(税込)です
羽毛布団の丸洗いを行なうクリーニング店に依頼する
一般のクリーニング店でも羽毛布団の丸洗いを行なっています。多いのがコインランドリーに設置されているような、大型の布団洗いができるランドリー機械を使っています。洗濯方法はクリーニング店で確認しておきましょう。
価格も比較的に安いのですが、過去に見学した施設では、何枚かをまとめて洗っていました。1枚ずつ洗うのであれば、コインランドリーの方がマシかもしれません。
コインランドリーに持ち込んで洗う
布団が洗えることをPRしているコインランドリーがほとんどです。価格の安いクリーニング店とほぼ同じ方法です。
問題は乾燥時間で、乾燥が不十分だと羽毛が開かない状態になり、洗浄前よりふっくらしないなどのデメリットがあります。たっぷりと乾燥時間を取りましょう。
自宅で洗う
しばしば「洗える羽毛布団」などといって販売されていますので、自宅でも洗えると思われる方も少なくありません。羽毛の量が300~600gぐらいの肌掛布団や合掛け布団であれば、家庭洗濯も可能ですが、1000g以上ある通常の掛布団を洗うのは避けた方がいいでしょう。
実際に洗うのは大変です。羽毛布団の側生地は水を通しにくいために、水に浸すのも一苦労です。かといって水に浸さなければ、洗う意味がありません。通気度が良くて軽量の綿100%生地であれば、水の浸透もそこそこあります。
一番の問題は乾燥でしょう。乾燥が不十分だと羽毛が閉じたままで開きません。十分乾燥させないとふっくらと戻らないのです。
羽毛布団を丸洗いするメリット-汚れを取る
ヒトは1日に200cc以上の発汗があります。布団はその発汗を吸って発散しますが、汗に含まれる汚れが残ります。
店頭でも「この布団丸洗いできますか?」とのご質問は多いのですが、「どの程度の頻度で丸洗いなさってますか?」とお聞きすると、「洗ったことがない」という方が結構多いのです。
何年もほったらかしにしておくと、汚れがこびりついてしまい、リフォーム時に羽毛を洗っても戻らないことも多いので3~5年に一度を目安に丸洗いしていただくことを推奨しています。
【注意点】羽毛布団を洗いすぎないこと
洗わないと汚れが付着する問題がありますが、洗いすぎると羽毛の油脂分が失われて破損しやすいという問題があります。
あるメーカーが「毎年洗って清潔にしましょう」というキャンペーンを行なっていました。毎年洗うと、羽毛が破損しやすくなり、羽毛の寿命が短くなってしまいます。毎日石けんで洗髪してリンスしなかったら、髪はパサパサになります。これと同じことが羽毛に起こります。
どうしても頻繁に洗いたい場合は、通常は洗剤を使わない水洗いにして、3~5年に一度洗剤を使う丸洗いをするようにした方がいいでしょう。
一般的な羽毛布団の洗濯表記は、なぜドライクリーニング指定なのか
羽毛布団の品質表示ラベルを見ると、ほとんどの羽毛布団は丸洗い不可、ドライクリーニング指定になっています。しかしながら、実際には水洗いをしているケースがほとんどです。なぜでしょうか?
通常の羽毛布団生地は、洗うと通気性が向上するため、吹き出しがでる可能性がある
多く使われている「超長綿60番手サテン」生地の場合、メーカー表示だと通気度が1.6ccで、洗濯後が3.7cc(蔭山E6060)となっています。サテン生地は水洗いした時の通気度変化が大きすぎるのです。
羽毛布団生地には、羽毛が吹き出さないようにダウンプルーフという吹き止め加工がなされています。丸洗いするとダウンプルーフ加工が取れたり、甘くなったりするために、通気度が上がります。
一般的には通気度が上がることは、快適環境を作るためには良いことなのですが、ダウンファイバーなどゴミの多い羽毛を使っていると、羽毛布団を丸洗いした場合、ダウンファイバーやネックフェザーが吹き出すリスクが高まるため、ドライクリーニング指定になっています。
平織り生地(バティスト)だと、生地が安定しているので、洗った場合の通気度変化が少ないため、眠りのプロショップSawadaでは平織り生地をおすすめしています。
ドライクリーニングで羽毛を洗っても、中の羽毛の汚れはあまり落ちない
ドライクリーニングで洗った場合、側生地の汚れは取れますが、中の羽毛の汚れがどれだけ落ちるかというと微妙です。そのため、羽毛布団は水洗いをした方がいいのです。
羽毛布団の丸洗いは、吹き出しリスクと、羽毛がきれいに洗えるか、という駆け引きになるのです。
ウォッシャブル羽毛布団の生地は洗えるが、通気性が悪い
家庭で洗えますよ、とウォッシャブルをPRする羽毛布団があります。一般には夏用の肌掛に多いのですが、これらはほとんどが綿15%ポリエステル85%、ポリエステル100% といった合成繊維が使われています。
ポリエステルなど合成繊維を含む生地は通気度が1.0cc未満と、極めて通気性が悪い生地です。通気性が悪いと蒸れやすくなり、羽毛の良さが活かせません。
洗える一方で、蒸れやすいので、夏の時期であったり、暑がりの方にはおすすめの素材ではありません。