エアーウィーヴマットレスのホテルで寝てみたら

比較的お気に入りの宿なんですが

社員研修旅行で石見・出雲へ行き 、ドーミーイン出雲に宿泊した。比較的手頃な価格で、温泉大浴場があり、ビールや夜鳴きそばのサービス、部屋も広めで、私自身も評価の高いホテルチェーンである。この出雲のホテルは開業は2017年8月とまだ2年経っていない、まぁピカピカのホテル。

たまたま、クイーンサイズの部屋はエアーウィーヴのマットレスを使っているという。寝具にかかわるものとして、どのような寝心地か体験したかったので、試しにと思い私だけ泊ってみた。マットレスは20cm厚のクイーンサイズで、この部屋は枕もエアーウィーヴである。

ちなみにシングル(ダブルサイズのベッド)はサータ社のだそうである。

あれっ?マットレスの角がふにゃふにゃ?

チェックインしてホテルの部屋へ入り、例によってマットレスに腰掛けると、腰掛けた部分がふにゃふにゃと柔らかい。逆サイドを見るとしっかりしているので、つまり、一番腰掛ける場所が柔らかくなってしまっているのだ。

このようなことはヨーロッパのホテルでもしばしば体験する。向こうのホテルでは、マニフレックスマットレスのような高反発系のウレタンマットレスを採用していることが多いのだが、部屋の入口側の側面、一番多く腰をかける部分がへたって変形していることがある。2つ星程度ならともかく、4つ星でこれではたまらないのだけど。

寝てみると、水平感がない

クイーンサイズ(概ね160cm巾)で一人眠る場合でも、マットレスの真ん中に寝るということはあまりなく、結局入口に近い側で寝ることが多い。おそらく、多くの方がそうするのではないか?

気持ちよくお酒も入り、一風呂浴びて寝始めた。少し柔らかい感じがしたが、こんなものかと思ったものの、仰向けに寝ると水平感がなく、入口側にマットレス面が傾斜しているように感じる。中央部から窓際にかけてはしっかりとしていて、柔らかさは感じない。

そこで、もう少し中央側へ寄って寝ると、今度は、硬くてしっかりとした寝心地の中央部と、柔らかくなった入口側で寝心地が変わってしまう。つまり、左半身と右半身で硬さが違うのだ。

結局、普段はあまり使われることが少ない(と思われる)窓側へ行って寝た。正直硬くて反発が強く、快眠にはほど遠かったが、これは個人差もあるだろう。私が通常使っている寝具と比べるのも酷な気がした。(店主は現在3レイヤーマットレス・プロトタイプとビラベック羊毛敷布団の組合せ)

シーツをめくってみた

どうなっているのかと重い、シーツをめくってみた。

マットレスの上半分が外側へ出っ張っているのと、上下の中央より上、腰をかける部分はやや凹んだ感じになっている。ちなみにこの反対側の窓側は垂直で問題ない。さらにマットレスカバーもめくってみて合点がいった。

一般にエアーウィーヴ、C-COREなどの網状立方体はへたりに弱いとされている。これは似た構造のブレスエアーが複合素材で比較的へたりがマシであるのに対し、ポリエチレンなどの単独モノフィラメントでつくる素材は弱いからだ。

エァーウィーブやブレスエアーなど、いわゆる網状立方体の素材を使ったマットレスについて「どうなんでしょうか?」という質問をお客様から受けることが多いので、眠りのプロショップSawadaなりの判断をお伝えしたいと思います。 長所:通気...

このマットレスは約10cm厚のエアーウィーブ(エアーファイバーと呼ばれる)が二層になっている。おそらく、入口側でマットレスに腰かけて、さらに入口側サイドで寝る人が多かったのだろう。そのため入口側サイドの上層部だけがへたり薄くなり、その分横に伸びてしまったのではないか?寝たときの水平感がないのも当然で、中央部から入口側にごく僅か傾斜している。

上の画像からわかるように、左上の角の部分は少し変形が見られるが、最初にふにゃふにゃに感じられたのは、これに由来するのだろう。

ストレスがかかる部分は柔らかくなっている

マットレス素材を押さえて、硬さを見てみた。これも窓側はほとんどへたりがなく、入口側サイドの特にお尻の部分が柔らかくなっている。上下2層になっているが、下側の層にへたりはほとんど感じられない。このことと1日寝ただけででエアーウィーブの評価をくだすわけにはいかないが、現状、へたりが寝心地に影響を与えているのは疑いがない。

2年でこれではなぁ・・・

へたらないマットレスはない。特に今日のように体圧分散性能を上げようとすると、マットレスの変形量が大きくなり、へたりのスピードが速くなる。といっても、2年でこれだけ変形するとなると、私は怖くてお客様に勧めるられないだろう。

本来はローテーションすべき

ヨーロッパのホテルの例もそうだが、本来は定期的にマットレスの位置を入れ替えるべきなのである。表裏-天地-表裏-天地 と替えていくと元に戻る。そうすれば、素材が2~3センチもはみ出るようなことはなく、均等にへたっていただろう。

これはホテルのマットレスに限らない。通常のマットレスはローテーションによって、ストレスを分散して使うのが本来である。

現場でマットレスのローテーションは無理?

とはいえ、現実的に考えるとエアーウィーブは結構重い。クイーンサイズのマットレスを定期的にローテーションするのは、現状のホテルのオペレーションからすると、まず難しいのではないだろうか?

ちなみに枕も部屋の入口側のがへたっていた

面白いことにエアーウィーヴの枕が2ヶ置いているのだが、入口側がへたっていた。これもローテーションをしないのだろうか?

単一素材に頼るのは問題ではないか?

エアーウィーヴの長所は通気性である。冬は保温性がないので問題なのだが、ホテルのように一定の温度になる環境だとその良さが味わえる。一方で短所は今回のケースで見られたように、変形の早さ、へたりやすさということになるだろう。

いろいろとマットレスを試したり研究している立場からいうと、単一素材に頼るというのは問題が多い。素材には長所と短所があるので、それぞれの良さをうまく組み合わせていくことが、快適で長く使える寝具になる。特に敷寝具は体重のストレスを受けるだけに、その傾向が強い。

ウッドスプリングとラテックスを組合せるのも、3レイヤーマットレスⅡで複合素材でマットレスを作るのも、それぞれの良さを活かしバランスの取れた寝具づくりという考え方から生まれている。

寝心地も硬すぎると感じたが、これもマットレスの上にペラペラのベッドパッドではなく、1.5kg/㎡ぐらいのわたを使った厚さの羊毛敷布団を組合せれば、バランスが取れると思う。