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【必読!】羽毛布団製造のプロがすすめる本当の羽毛布団の選び方

【必読!】羽毛布団製造のプロがすすめる本当の羽毛布団の選び方
店内の羽毛工房ダウンラボで羽毛布団を作る店主
店内の羽毛工房ダウンラボで羽毛布団を作る店主

1988年に店内にいち早く羽毛製造機を置き、手づくりで羽毛布団を仕立てて6,000枚を超えました。リフォーム仕立てを入れると9000枚を超えています。

この40年間の取組は、試行錯誤の連続でした。その間日本の住環境は大きく変わっています。

快適な羽毛布団は暖かいだけではだめなのです。

目次

「暖かい羽毛布団」と「快適な羽毛布団」は同じではありません

この40年間、日本の住環境は「高気密高断熱型」へと大きく変わりました。大切なのは、住環境や体質に合わせて最適な羽毛布団を選ぶことです。

羽毛布団の選び方というと、すぐに「暖かさ抜群です!」といった保温力の話がでますが、「暖かい羽毛布団」だけでは「快適な羽毛布団」になりえません

保温力だけでなく、湿度をうまく調整することが快適な羽毛布団への道

理想の睡眠環境は温度33℃湿度50%とされています。温度だけでなく、湿度のコントロールが重要視されます。

快適な温度をキープする保温力だけでなく、快適な湿度をキープできる吸湿発散力を兼ね備えてこそ「快適な羽毛布団」になるのです。

まず結論から-
[自分の体質と睡眠環境に合う保温力]を確保し、
[通気性の良い、軽い綿100%の生地]と
[ホコリの少ないパワーのある良質な羽毛]
  を使った羽毛布団を選ぶこと

SB100-V55P-PST95N-SL 標準仕上げの変形5×5キルト

快適な羽毛布団を得るには、羽毛の良し悪しよりも、側生地や羽毛の量の選び方がより重要である

羽毛原料の良し悪しだけで、羽毛布団を説明するのは大きな間違いです

メーカーのカタログでも、さまざまな通販サイトや情報サイトでも、ほとんどが羽毛ふとんの良し悪しを羽毛の品質の説明(グースやダック、ダウンパワー、産地等)からはじめています。

もちろん、良質の羽毛を使うことは当然のことですが、それでは良い羽毛を使えば良質な睡眠が得られるのか、といえば必ずしもそうではありません

「快適な羽毛布団」の選び方は側生地選びや仕立て方法が重要です。使う人の体質や、住環境などに合わせた最適な生地や仕立てを選ぶことで、快適に睡眠を得ることができるのです。

「暖かいですよ」-保温性だけを売りにする羽毛布団選びは終わった

今なお多くのメーカーが暖かさを求めて保温性を重視した二層式などの、嵩高の高い羽毛布団をラインアップしています。販売店も「ふっくらと暖かい布団」を薦めがちです。

ネットやテレビ通販をみていても「とにかく暖かいんです!」としか語られません。

寒い布団では困りますから、布団が暖かいことは当然なのですが、都市部のマンション等では、従来の厚さの掛ふとんでは暑いといわれるようになりました。少し薄めの中厚仕立てで十分になってきたのです。

特に昨今は通気性が悪いポリエステル系の側生地が大半を占めるようになりました。これらは綿生地に比べると非常に蒸れやすくなっています。逆行しているとしか思えません。生地の通気性が重要視されるのです。

羽毛布団は本来の機能=快適に眠ることができるかどうか、で選ぶべきなのです。

体質によっても、選び方が変わってくるはずです

体質(暑がり・寒がり)によっても、選び方が異なります。夫婦でも厚さが違って当たり前なのです。

女性に多い冷え性の方は保温性だけでなく、速暖性が求められます生地が重いと温まるのが遅くなりますし、できるだけ身体にフィットして熱を逃がさない羽毛の質とキルティングが求められます。

一方男性に多い汗かき・暑がりの方は、湿気を素早く逃がすために吸湿発散性が重要となります。通気性が悪いと湿気がこもり、蒸れて不快になります。

羽毛布団の快適さは生地とキルティングで決まる
しかし、側生地やキルティングの説明は不十分なことが多い

テレビショッピングをご覧ください。フランス産とかポーランド産とか羽毛の産地や種類については懇切丁寧な説明がある割には、生地やキルティングについては十分な説明がないのが現状です。

残念なことですが、羽毛原料が高騰を続けているため、側生地でコストを下げようとするからです。まともに説明すると矛盾がでてくるのです。

快適な睡眠を得るためにどのような生地を選び、どれぐらいの羽毛の量を入れて仕立てたらいいのか、という、実は当たり前のことに基づいた説明がほとんどありません。聞こえてくるのは「暖かいですよ」「洗えますよ」という言葉だけです。

快適な睡眠環境とされる温度33℃湿度50%を実現するには、通気性の良い軽量な生地と、睡眠環境や体質にあわせた厚さやキルティングを選ぶことが必要です

羽毛の品質だけで、羽毛布団を説明することはやめよう

長く快適に健康的に使うためには、高品質な羽毛を使うことは大切なことです。ゴミが多い羽毛や洗浄が不十分で臭いのでる羽毛を選ぶべきではありません。高品質な羽毛であれば、リフォームを繰り返してもその良さは失われず長く使うことができます。

ところが、良い羽毛を使ったから良い羽毛布団になるわけではありません。側生地が合っていなければ、その良さを活かすことができません。羽毛の量が多ければ暖かくて快適になるわけではありません。

ほとんどの方は良い羽毛を使った羽毛布団が欲しいのではなく、良い睡眠が得られて、長く使うことができる羽毛布団を求めてらっしゃるのだと思います。

羽毛布団の選び方1:最適な保温力はどれぐらい必要か

使う人が必要とする最適な保温力の目安を知る

私どもの羽毛ふとんは、厚さによって保温力の目安を付けています。厚さ1~厚さ10まで、10段階の厚さで羽毛ふとんをお選びいただけます。

厚さ代表的な使用時期キルティング羽毛の重量
1薄掛 :7~9月7×9 直200
2肌掛-:5~7月 9月6×7 直250
3肌掛 :5~6月 9~10月6×7 直300
4肌掛+:4~5月 9~11月5×6 直400
5合掛 :3~5月 9~11月5×6 4cm500
6中厚-:10~5月5×6 7cm650
7中厚 :10~4月5×6 7cm800
8普通厚:10~4月変形5×5 7cm950
9普通厚+:11~3月変形5×5 7cm1000
10厚手 :11~3月CON二層キルト1100

キルティング A×B=キルトマス 直=直キルト XXcm=立体キルトのマチの高さです。
羽毛の重量は当店のSB100(85g/㎡)の側生地に、ダウンパワー440dp(プレミアムゴールドラベルクラス)を入れた場合の標準充填量です。この重量は側生地の重さや、羽毛のダウンパワーによって異なります。

代表的な使用時期については、あくまで目安です。使う人の体質・住んでいる地域の気候風土・寝室の陽当たり・断熱性・気密性な・使う人の好み、などによって当然のことながら差がでます

保温力は嵩高で決まりますので、充填する羽毛の量によって異なります。パワーのある良い羽毛の方が、少ない量で嵩がでます。快眠のために最適な充填量は生地の重量やキルティング、羽毛のパワーにもよって変わるのです

羽毛ふとん側生地が重くなったり、羽毛の嵩高パワーが小さく、羽毛を多めに入れる必要があります。例えば、80サテン(114g/㎡)で羽毛が400dpだと 保温力6の場合1000g、つまり20%強の羽毛量が必要です。ですから、単純に羽毛の量だけでは判断できないのです。

一般に販売されている羽毛ふとんは暖かさを重視するため、保温力8~10がほとんどです。

都市部のマンションや高気密高断熱住宅なら 厚さ7(中厚)を基準にする

蒸れずに快適な5×6マスキルト

東京・大阪・名古屋など太平洋沿岸部の都市のマンションの場合や、昨今増えている高気密高断熱の住宅は、かなり部屋が暖かいので中厚6を基準にします。

この場合のベストはシングルで5×6マスキルトです。フィット性も良く、身体に密着しながらも、キルティングが多いので、空気の抜けもいいのです。

さらに暑がりの体質であれば、同じキルティングで羽毛の量を10~15%減らします。

当店にメール等でお問合せいただくお客様の多くがこのパターンです。

中厚仕上げは最初不安に思われる方がいらっしゃいますが、実際にはこれで十分という方が多いです。 大都市部や暑がりの方は中厚を基準で選んだ方がいいでしょう。寒くなれば、カバーや毛布などの補助寝具をうまく使うことで調整できるからです。

お客様からいただいた感想 羽毛ふとんは中厚でTE200-56P-PMST95-SL

「羽毛布団の使用感ですが、一言で言うなら、沢田様のお店で羽毛布団を購入して良かったです。使い始めて1週間も経っておりませんが、変な汗をかかなくなった、夜中に目が覚めることがなくなった、翌朝、疲れが残っていない等、変化を実感しております。
特に、私自身は夜中に目が覚めることが多く、それが朝の倦怠感に繋がっていたと思うので、目覚めが軽くなって助かっております。重さと通気性って本当に大事なんですね。最初は、あまりに軽くて薄く感じたので、本当に中厚で大丈夫かと不安になりましたが、この真冬並みの寒さでも暖かいです。
暖かさも、からっとした暖かさで、今までは湿気を帯びた暖かさだったんだと思いました。 以前の羽毛布団は所謂、羽毛布団もどきで、本物の羽毛布団はこういうものなんだと違いを感じております。」 (神奈川県のお客様より)

このお客様の場合はTE200というドイツ・Weidmann社製の軽量で通気性の良い生地の羽毛布団ですので、蒸れが非常に少なくなっています。これが「変な汗をかかなくなった、夜中に目が覚めることがなくなった」につながっているのです。

一般的な場合は厚さ8(普通厚)を基準にする

一般的な4×5キルト 中央部に縫い目が来るので熱が逃げやすいのが欠点

当店の標準変形5×5キルト 中央部に縫い目が来ることなく保温性が上がり、フィット性も良くなる

一般的には保温力7~8を基準にします。

市場に多く出回っている4×5マスキルトは身体の中央部に縫い目が来るため、熱が逃げやすい構造です。その為、保温力は7に設定しています。

眠りのプロショップSawadaの標準仕様である変形5×5キルトはこの欠点を改善しました。身体の中心部に縫い目が来ないため、保温力は4×5キルトより上回る8になります。4×5マスと同じ保温力で良ければ、羽毛の量を5~8%ぐらい減らすことができるため、軽く、コストも安くすることができます。

日本家屋で寒がり体質の場合は、厚さ10(厚手)の二層キルトを検討する

表地と裏地の間にもう1枚生地を挟み、表側と裏側のキルティングパターンを変えることで、布団の厚みを一定にして保温力を上げるのが二層式キルトです。

メーカーの高級羽毛布団は、保温性を重視してか二層キルトにすることが多いようです。

しかしながら、今日の住宅環境では、厳冬期ならともかく、4月や10月などの中間期に使いづらいため、基礎代謝が落ちている高齢者以外には、あまりおすすめできません。

さらに、中地に通気性の悪いナイロンタフタを使うケースがほとんどなため、蒸れやすいという欠点があります。(当店の二層キルトは、ほとんどがメッシュの中生地を使っていますので、通気性の問題はあまりありません)

代謝量が高めの男性は避けた方がいいでしょう。

二層構造のCONキルトの断面図

冬の保温性を確保するには、敷の保温性を十分に確保した上で、羽毛布団に軽量の獣毛毛布を組み合わせて、トータルの保温性を確保するようにした方がいいでしょう。

季節や体質や住環境に合わせて、10段階の厚さを用意しました

寒がりの方におすすめ
厚さ10 厚手 二層CONキルト

最も高い保温性がある二層構造でふっくら仕上げた厚さ10の厚手仕上げ。
寒がりの方、特に寒冷地や、伝統的な日本建築など保温性の低い住環境の方におすすめ。
二層CONキルトは、市場に多いツインキルトよりも、マス目が多いので片寄りが少ない。
 標準的な保温力
厚さ8~9 普通厚 変形5×5立体キルト 7cmマチ

標準的な厚さ。身体の中央部に縫い目が来る4×5マス(シングル)の欠点を改良して、保温性を改善したキルト。
厚さ8が普通厚の標準で、少し保温力を上げたい場合には羽毛を増量した厚さ9(普通厚+)にする。
 都市部のマンションや暑がりの方に
厚さ6~7 中厚 5×6立体キルト 7cmマチ

マス目を増やすことで、薄めの厚みで保温性を向上させたキルト。
都市部のマンションや高気密高断熱住宅であれば、これがベスト。通常の住宅でも暑がりの人や、代謝量の高い子どもや若い男性などにもおすすめ。
厚さ7が中厚の標準で、さらに暑がりの方は羽毛の量を減らした厚さ6(中厚-)にする。
中間時期に重宝する厚さ
厚さ5 合掛け 5×6立体キルト 4cmマチ

4~5月、10月などの季節に向いた、中厚よりマチを低くしてさらに薄めに仕上げたキルト。
冬用を使うには暑すぎて、肌掛けを使うには薄いという季節用で、厚さ5が合掛け
高気密高断熱住宅の子どもさん用にもおすすめ。
寒がりの方向けの肌掛
厚さ4 肌掛け+ 5×6直キルト

標準的な厚さ3の肌掛よりは厚手の仕上げにするため、マス目を中厚や合掛けと同じにして、直キルトにしたもの。
肌掛より羽毛の量が約25~30%多めにしている。
 初夏から夏へ使う肌掛
厚さ2~3 肌掛け 6×7直キルト

5月~10月上旬にかけて使用する肌掛布団。キルトマスを中厚より増やして、2枚重ねでも使えるようにしている。
厚さ3が肌掛の標準で、それよりも暑がりの方向けに羽毛を約20%減らした厚さ2(肌掛-)がある。
真夏にエアコンと一緒に使う薄掛け
厚さ1 薄掛 7×9直キルト

真夏等にエアコンを使う場合などに、厚さ1の薄掛を使用する。(あるいは、厚さ2の肌掛-)
キルトマスは63マスと多く、最も薄い。
厚さ10 厚さ8 厚さ7 厚さ5 厚さ3 が標準的な厚さの選択です

厚さ8~9のキルティングはシングルは変形5×5ですが、その他は均等巾で、セミダブル・ダブルは5×5、クィーンは6×5になります

羽毛布団の選び方2:軽くて通気性の良い生地を選ぶ

必要な保温性が決まれば、次は・・・羽毛の質ではなく、羽毛の生地選びです。

羽毛布団の快適さは、生地の通気度と重量で決まる

羽毛は生地を通じて呼吸をしますから、どれだけ良い羽毛を使ったとしても通気性の悪い生地を使うと、その良さが活きてきません。気性の良い生地であれば蒸れにくく、寝床内温湿度33℃50%をキープしやすくなります

加えて、羽毛を圧迫せずにたっぷりと羽毛が拡がるようにするには、できるだけ軽い生地の方が良いのです。

綿100%で軽くて通気性の良い生地を使うべき

日本の羽毛布団は風合いを重視してサテン織りの生地を使うことが多いのですが、生地が重く、通気性もあまり良くないのが欠点です。(80サテンで114g/㎡、60サテンで136g/㎡ 通気度は1.5~1.7ccが多い)

一方、本場のヨーロッパでは、軽い綿100%の平織生地が主流です。平織の方が洗濯に対しても安定していて、通気度を高めに設定できます。軽くて通気性の良い生地の方が乾きも早く、羽毛本来の良さを活かすことができるのです。

眠りのプロショップSawadaでは 綿100%+生地重力100g/㎡以下で通気度2cc以上の生地を基本としています。(当店オリジナル生地SB100は85g/㎡ 3.65cc、SB80は94g/㎡ 2.6cc)

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ポリエステルを使った羽毛布団は、蒸れるので避けたい

残念なことに、今日多くの羽毛布団にはポリエステル100%の生地、あるいはポリエステル混の生地が使われています。主に安くなるというコスト上の理由によるものです。ところがこれらの合成繊維を使った生地は通気性が綿100%の生地に比べると劣り蒸れやすいのです。ヨーロッパの生地に比べると通気性は1/4~1/8しかありません

羽毛布団の最大の特徴は、温度と湿度をうまく調節してくれることですから、通気性の悪い生地を使うことはおすすめできません。特に高気密住宅では、生地の通気性はより重要視されるべきです。

成長期の子どもには、ポリエステルを使った布団は絶対に使わせない

当然のことながら、通気性が悪いと湿気がこもって蒸れやすくなります。「子どもの羽毛布団は安いので十分と思って、ホームセンターで購入したら布団を直ぐにはねてしまい、私たちの布団(当店で購入)に入ってきます」というお客様の声。

子どもは基礎代謝量が大人の2~3倍ありますから、汗かきなので、通気性が悪い布団は不快感が強くなり、眠りの質が落ちます 睡眠の質が低下すると、成長ホルモンの分泌が悪くなり、脳や身体の発達を妨げてしまいます。ポリエステルわたやポリエステル生地のふとんは子どもには厳禁です。

ノンダウンプルーフ生地の羽毛布団もあまりおすすめできない

一部のメーカーでは、ダウンプルーフ加工していない生地の方が、表面の吸湿性が良くなるので良いとおすすめしている場合があります。たしかに一理ありますが、トータルとしての羽毛ふとんの良さを突き詰めると、私たちはこれには懐疑的です。

というのも、ダウンプルーフ加工をしないために、通常よりさらに高密度で織る必要があり、生地重量がかなり増えてしまうからです。一般的にノンダウンプルーフの生地は通常のものより10%程度重量が増えます。また、洗濯するごとに通気度が低下するというのも問題と考えています。

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羽毛布団の選び方3:ホコリの少ない十分に成熟した良質な羽毛を選ぶ

快適性を重視して生地の通気性を上げていくことは大切ですが、その一方で、低級な羽毛を使うと、ゴミが多いため吹き出しやすくなります。十分に成熟した羽毛はダウンボールがふっくらして、ゴミが少ないため、当然ながらアレルギーになることも少ないのです。
特にヨーロッパの羽毛布団用生地は日本の生地より通気性が良いために、ホコリの少ない良質な羽毛を使う必要があります。

良質な羽毛を選ぶ理由

理由1 十分成熟した羽毛はダウンボールが大きく、ゴミが少ない

質の良い羽毛ほど、ダウンボールが大きく、未成熟ダウンやダウンファイバーなど羽毛のゴミが少なくなります。良い羽毛はダウンボールの中心部が密集しているために、壊れにくく長く使えますが、未成熟ダウンは使用しているうちに壊れてファイバーなどゴミになります。

つまり、良い羽毛ほどへたりにくいのです。

 理由2 アイダーダウンやステッキーダウンは、絡みが強く保温性が高い

アイダーダウン

世界で最高級の羽毛といわれるアイダーダウン(アイスランドやグリーンランド)、ステッキーダウンと呼ばれる、主に手選別によって選り分けられる羽毛は、お互いに絡みが強く、暖まった空気を逃さない構造になっているため、保温力が高いのが特徴です。

手選別されるため、ゴミが少ないので、通気性の高いヨーロッパの生地(通気度4~8cc)を使っても吹き出しが問題になることは、まずありません。通気性の高い生地は羽毛の良さを最大に活かすことができるのです。

PST95N 絡みの強いステッキーホワイトグース ゴミが非常に少ない
PPST98 ポーランド・クラクフの工場で行なわれている手選別作業
PPST98 ポーランド・クラクフの工場で行なわれている手選別作業

理由3 嵩がある羽毛は多くの空気を含み、快適な温湿度を保つ

良い羽毛は嵩も多くでるので、羽毛の充填量を減らすことができます。ダウンパワーが高ければ、その分少ない羽毛で同じ嵩を出すことができ、含む空気の量が増えるために、快適な温湿度を保つ羽毛の良さが活かせます。

理由4 長く使えて、安全 何度もリフォームして再生できる

理由1にあるように、良いダウンは壊れにくいので、実際羽毛のリフォームを行なうと嵩の戻りが良く長く使えます。ホコリも少ないのでハウスダストの軽減にもつながります。一般にダックダウンの方がホコリが多いので,グースダウンをおすすめします。

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ダウンパワーdpの数値だけに頼らない

ダウンパワーは羽毛の良し悪しを決める大きな数値です。しかしながら、目安に過ぎないのも事実です。実際に羽毛布団を自家製造している私たちはダウンパワーの表示だけで羽毛を選ぶことはありません。ダウンがしっかりと育てられているかどうかは、ダウンを見ないとわからないからです。ダウンパワーがあってもゴミが多い羽毛もありますし、パワーアップをかけてドーピングしている羽毛はヘタリが早かったりします。

結局、良い環境で丁寧に育てられたダウンが良いダウンになるのです。

注:パワーアップは羽毛を拡げるために必要な処理ですが、時間が経つにつてパワーアップの効果がへって、dp数値が低下していきます。検査はパワーアップ直後に行なわれることが多いので、本当の実力を示しているかどうかは微妙です

羽毛ふとんのメンテナンスについて

羽毛布団は定期的に水洗いをし、10~12年に一度リフォームをすることで30~40年と長く使うことができます。もちろん、長く使うには、元の品質が良くなければなりません。

羽毛ふとんのライフサイクル
クリックすると羽毛布団のメンテナンスを説明します。

なぜか羽毛の量を入れすぎている羽毛布団が多い

最適な羽毛の量は側生地とキルティングとダウンパワーで決まる

快適な羽毛布団を作るためには、充填する羽毛の量を最適にする必要があります。羽毛をたくさん入れたら良いというわけではありません。多く羽毛を入れれば確かに嵩はでますが、実際に使って快適かどうかは別問題です。

同じ羽毛なら、軽い生地の方がふっくら嵩高に仕上がる

一般的な60番手サテン136g/㎡に比べると、軽量のSB100 85g/㎡は37%も軽くなります。軽い生地は羽毛を圧迫しないので、ふっくら嵩が出やすくなります。

キルティングマスは厚めに仕上げる時は大きく、薄めに仕上げる時は小さく

最適な保温力を得るためには、キルティングのマスやマチの高さを最適にする必要があります。例えば 普通厚は変形5×5マスですが、4×5より保温力が上がります。一方、中厚は5×6マスでマチ高が7cmですが、合掛けの場合はマチ高を4cmにします。 このバランスが悪いと、羽毛が片寄ったりします。

ダウンパワーが大きいほど、少なくて嵩が出る

同じ生地、同じキルティングの生地に入れて同じ嵩に仕上げる場合、440dpの羽毛を充填するのに比べ、400dpの羽毛は約10%多く充填する必要があります。これはつまり、ダウンパワーが低いと、同じ嵩の中で空気の量が少なくなることを示しています。羽毛の良さを活かすには、できるだけ多くの空気がある方がいいのです。

羽毛を入れすぎないことも重要

良い羽毛は入れすぎてはいけません。あるメーカーさんの羽毛布団をみると5×6マスの側生地に440dpクラスの羽毛を1,200gも充填していました。こうなると、羽毛が十分に呼吸できないばかりか、身体のフィット性が損なわれて、羽毛布団としては落第となります。 この場合は1,000gが上限でしょう。眠りのプロショップSawadaの場合800~900gで仕上げるのがバランスが良いのです。

もう一回、結論をいいます
[自分の体質と睡眠環境に合う保温力]を確保して、
[通気性の良い、軽い綿100%の生地]と
[ホコリの少ないパワーのある良質な羽毛]
    を使った羽毛布団を選ぶことが重要

通常羽毛布団の説明は、まず羽毛の質から始まり、その後に主にソフトかどうかという視点で生地が語られて、かさ高性をいかに出すかということでキルティングの説明が入ります。この方法では、快適な睡眠のための羽毛布団をどう選ぶのかが説明できません。

快適に睡眠できる羽毛布団を選ぶには、 [1:最適な保温力を得る厚さを選択]し、主に温湿度の調節力を高めるために [2:羽毛の良さを活かす通気性が良く軽い生地]を選び、最後に、ホコリやハウスダストを減らし、長い耐久性を得るために [3:ホコリの少ないパワーのある良質な羽毛]、できればアイダーやステッキーダウンのような絡みの強い手選別のダウンを使うという順序で選ぶのが本来なのです。

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