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Q:羽毛布団の二層式キルトを選ぶべきでしょうか?

断面図 ↑二層(CON)キルト  ↓5×6キルト

目次

結論:極端な寒がりでなければ選ぶ理由はない
逆に蒸れて寝苦しくなる可能性が大

大手メーカーのカタログで羽毛布団を見ると多いのが中が二層構造になったキルティングです。中には三層構造などふっくら仕上げになっているものがあります。元々は保温力を高めるために考案されたキルティングです。

伝統的な日本建築や、寒冷地、寒がりの方、基礎代謝量が下がった高齢者なら選ばれてもいいでしょう。高気密高断熱の住宅が増えた現在では、二層構造でふっくら仕上がった羽毛布団を積極的に選ぶ理由はありません。

逆に、二層構造にすることで通気性が低下するために、蒸れやすくなります。不足する保温力は、毛布等で補うのがいいでしょう。

特徴:二層構造にすると羽毛の厚さが一定になって保温力がアップする

上部3×4、下部4×5のツインキルト 二層式の多くがこのタイプ

二層キルティングとは、上図のように表側生地と裏側生地の間に、もう一枚生地を入れて、表側と裏側のキルティングの位置をずらすことで、羽毛布団の厚さを一定にすることにより、一般のキルティングに見られるようなキルティングの縫い目からの熱の逃げを最小限に抑える工夫です。

二層構造になっているので、身体へのフィット性が高くなり、羽毛の偏りがあまり出ないというのも長所です。

複雑な側縫い工程となるため、高級ラインで使われてきましたが、今日では中国で縫製するため、普及品にも用いられています。

羽毛布団の選び方を再度確認しましょう

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体質や住宅の保温性で選び方が変わってくる

寒冷地や和式住宅で、寒がりの方にはおすすめ

保温力が高くなるので、寒がりの方にはおすすめです。ただ、保温力が上がった分、10~11月には使いずらい、厳冬期にしか使えないという声も多いのです。寒がりの方は、羽毛布団の保温力を上げることも大切ですが、ウールボアやカシミヤ毛布など、比較的軽量で暖かく身体にフィット性が高い毛布を組み合わせて、肩口を開けないようにした方が保温性が上がります。

そもそも保温性を上げるのは掛寝具だけでなく、敷寝具の方が重要です。熱はしばしば敷寝具から奪われることが多いので、掛寝具と敷寝具のバランスをとりましょう。

痩せていて、基礎代謝量が低い方は二層式キルトの羽毛布団をおすすめします。

高気密高断熱住宅や暑がりの方には向かない

最近は高気密高断熱住宅が増えました。大都市部のマンションですと普通厚の羽毛布団でも暑すぎるというお声が多く、私どもでは中厚をおすすめするケースがほとんどです。このような住宅では二層式キルトは向きません。毛布など補助寝具を組み合わせるのがいいでしょう。

二層式キルトは、生地が3枚分になりますので、重量も増え、なにより通気性が低下します。ポリエステル混の側生地の場合は顕著で蒸れやすい布団になるのです。羽毛布団の良さである快適な温度と湿度の調整能力を生かすには、二層式は向いているとはいえません。特に代謝量が多い男性には不向きなキルティングといえるでしょう。

二枚張り合わせタイプならおすすめ、しかし・・・

中厚の掛布団と肌ふとんをホックなど張り合わせて、季節に応じて組み替えて使うというタイプの羽毛布団があります。こちらの方が温度に合わせて厚さを調整できるので、二層式よりはいいでしょう。

2枚合わせの布団は、綿サテン生地では重くなりすぎる、ポリエステル生地では通気が悪すぎる

このタイプは生地が4枚分になるので、選び方が難しいのです。生地が重い60サテンなどは、側生地重量だけで2.4㎏になり、軽さが損なわれます。一方、軽量の生地はポリエステル混タイプがほとんどで、もともと通気性が悪い上に、2枚重ねるとかなり蒸れやすくなります。

通気性の良い軽量な綿バティスト生地が最適

重量と通気性のハンデを減らすには、軽量で通気性の良い綿バティスト(平織)生地を使うことが重要です。たとえば多く使われる綿100%生地である超長綿60サテンの場合は136g/㎡ 通気度は1.5㏄ほどです。これを、当店オリジナルS9100 超長綿100バティスト(平織)だと85g/㎡ 通気度は3.2㏄と重量は40%近く軽く、通気性は2倍です。これなら、2枚重ねても、羽毛の良さを損ねることがありません。

ホックは便利ですが、襟元に来るタイプだと気になる方も多いため、当店ではお勧めしていません。カバーにある8ケ所のひもを使って2枚を一緒にする方が合理的です。また、2枚重ねる時は厚手を下にした方が、薄い肌布団がずれにくくなります。画像とは上下逆の使い方の方がいいのです。

二層式キルトを選ぶより効果的
変形5×5キルトにするだけで、保温性がかなり向上

一般に多く出まわっているシングルサイズは4×5キルトですが、この場合、身体の中心線の上に縫い目が来るために、そこから熱が逃げやすいという欠点があります。二層式キルトはこの欠点を改善するためのものでした。

4×5キルティング

ところが、当店で採用している変形5×5キルトであれば、身体の中心線は最もふっくらした部分が当たり保温性が向上します。横方向のマス目が増えるので、身体へのフィッティングも改善します。

キルティングを変えるだけで、保温性が非常に改善できるのです。

変形5×5キルティング

二層式を検討する前に、変形5×5などのキルティング方法を見直したり、身体にフィットして熱を逃がさない軽量毛布と組み合わせることで、季節に応じた幅広い使い方ができます。

閑話休題:羽毛を超えて暖かい掛布団があるという触れ込みは本当ですか?

最近テレビ通販などで、羽毛布団並みの保温性があって保温性が抜群の掛布団が紹介されていてお問合せがあります。確かに保温力はそれなりにありますが、多くは側生地や中わたが合繊繊維です。汗の吸湿発散は期待できません。自然な温度や湿度の調整は天然素材の方が優れているのです。

二層式キルトにも種類があるので、選ぶならCON二層キルト

もっともポピュラーな二層式ツインキルト3×4-4×5マス

最も多く出回っている二層式が、上層が3×4マス、下層は4×5マスになっているツインキルト(メーカーによって呼称が変わります)です。

ツインキルトの弱点は羽毛の偏りが大きいこと

上層が3×4マスとマスが大きいために羽毛が偏りやすいというのが弱点です。特に襟元のマスの羽毛が逃げやすく、この弱点を補うためには、羽毛の量を増やさなければなりません。保温力は上がりますが、昨今の高断熱住宅では上がりすぎてしまうのが問題です。

羽毛の充填の仕方によっても、使用感がずいぶんと異なる

下図は、ツインキルトで標準的なマス目を均等に入れた場合です。充填効率=生産量を上げようとすると均等に入れた方が良い場合が多いのですが、この入れ方だと襟元が非常に薄くなってしまいます。上層は3×4マスでマスが大きいために片寄りやすいのです。これを防ぐためには羽毛の量を1,300gとか1,400gにして、増えた分を上層に増量しなければなりません。

こちらは眠りのプロショップSawada羽毛工房ダウンラボの標準入れ目です。同じ1,200gですが、上層の中央列を両サイドの1.4倍にすること+襟元の量を増やすことで、保温性を確保し、襟元の羽毛の片寄りが少なくなるようにしています。しかし、このようにしても襟元の羽毛は逃げがちなので、CON二層キルトをおすすめするわけです。

二層キルトを選ぶならCON二層キルト 3×5-4×6

CONキルトはツインキルトの偏りやすいという欠点を改善し、厚みを均等にしています。上層部は3×5マスになり、偏りにくくなりました。さらに下層は4×6変形キルトにして上層のキルトの交差部と下層のキルトの交差部がきれいに中央部でずれるようになっています。

このことにより、羽毛を過多に入れなくても偏りが少なく安定しましたので、眠りのプロショップSawadaの二層式はすべてこのCONキルトにしています。

CON二層キルトは中央部を集めにして、保温性をアップ

CON二層キルトの羽毛充填量です。いろいろと試行錯誤をしながら決めた割合です。身体へのフィット性と保温性を高めるにはこれがベストでしょう。左側の3×5が上層、右側の4×6が下層になり、上層と下層の羽毛量は2:1で上部がふっくらなるようにしています。さらに上部は中央部と両サイドの1.4倍にしています。

眠りのプロショップのCON二層式羽毛布団は、通気性に優れている。

眠りのプロショップSawadaのオリジナル羽毛布団側では、表地と裏地の間、中央に入れる生地にも工夫をしています。

ほとんどの二層式の内生地は合繊のタフタ生地なので通気性が悪く蒸れやすい

一般に流通している二層式キルトの内仕切りの生地はタフタとよばれるナイロンあるいはポリエステルで作られた軽い生地です。これが使われる理由は、軽量であることと、コストが安いということです。

ナイロンやポリエステルタフタの生地は通気性が悪い

もともと二層式のキルトは保温力アップを目的に行なわれたために、通気性などは二の次で、上記のように軽くてコストの安い生地が選ばれてきました。ところが、タフタの生地は通気性が悪いために、湿度のコントロールが難しくなります。

通気性の良いメッシュを使ったオリジナルふとん側

通気性の悪い生地では、快適な睡眠環境を作ることはできません。そこで眠りのプロショップSawadaの定番羽毛布団側はCONキルトに加えて、生地を通気性抜群のメッシュにしています。

メッシュ生地の採用により、保温力を高めながらも、通気性を損ねない仕上げになりました。

見えない部分ですが、快適な羽毛布団を作るためのさまざまな工夫が凝らされています。

 

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