Q:アウトラストのような温度調節素材は有効でしょうか?

温度調節素材は快適な睡眠のために有効なのか?

NASAの技術開発の中で生まれたのがアウトラストという、温度を調節してくれる素材です。宇宙服の温度を一定にするために開発されたと聞いています。

アウトラストは繊維の中にマイクロカプセルが入っており、快適な温度より暑い時には余分な熱を吸収し、逆に寒い時は貯めた熱を放出するというメカニズムで温度を一定に保とうとする機能素材です。

確かにこれがあれば、温度を一定に保ってくれるので良さそうです。

快適な寝床内温湿度33℃50%を保つために

ストレスのない快適な睡眠を得るための条件です。32℃±1℃にコントロールしてくれる温度調節素材は有効に思われます。もちろん、湿度のコントロールを十分にしての話だけですから同時に湿度調節ができる(ウールなどの)素材を組み合わせることが重要になります。例えば33℃80%になってしまったら、蒸れて不快指数が上がること、この上ないわけですから、温度だけ良くてもだめなのです。

上の画像は、羽毛布団に入っていた温度調整素材です(アウトラストではありませんが、同様のものです)。この羽毛布団は保温が良いということがPRポイントでした。確かに肌側中央2/3ぐらいにこの素材が縫い込まれていました。この素材に手を当てると、冷やっとします。かなり身体の熱を奪われる感じです。

機能上、最初に体温が奪われてしまうのが問題

製品素材の説明にもあるように、一番最初は温度をマイクロカプセルに蓄積するため、当然ながら身体の温度を奪ってしまいます。

入浴した後に使うのなら、身体はかなりな温度を持っていますから、その温度を吸収し適度に調節してくれるのなら有効かもしれません。あるいは、事前にふとん乾燥機や電気毛布等で布団を十分暖めてくれているなら、いいのでしょう。

入眠時に身体の熱を奪われるのは良くない

さて、入眠前に身体の温度は少し上がり、入眠後約4時間ほどは体温は下がっていきます。つまり、冬のように体温より低い気温の場合は、これから眠ろうとする寝具の中は暖まっていた方が良いですし、暖まっていない場合は、できるだけ早く暖まるような寝具が良いのです。

この身体のメカニズムから考えると、アウトラストは入眠時に熱を奪うために、入眠を妨げる方向に働く可能性があります。

夏は微妙です。室温を28℃、体表面温度を33℃と仮にすると、アウトラストは蓄熱になるのか、放熱になるのかがよくわかりません。

結論:使い方次第、寝具にとって万能素材ではない

上に述べたように、事前に寝具を暖めておけば、ある一定の効果があります。このアウトラスト意外にもゴアテックス、冷感素材等々ハイテク繊維は、もともとはアウターの衣料用に企画されています。これらの素材を寝具に使う場合、素材メーカーの言い分だけが強調され、本来使用時に本当に良いかどうかは、十分に検証されていないことがほとんどです。

店主の結論は・・・「悪いとはいえないけど、機能に頼りすぎると実際は期待外れに終わる」ということでしょうか。