寝具というモノを提供するのではなく、快適な睡眠を提供するための不断の取組
明治23年に創業した私どもの店は、もともとは打直しを中心とする木綿わたの加工と販売を生業としてまいりました。
昭和37年から小売として寝具店として発展するにつれ、自家製の手づくり布団から、西川に代表される寝具卸の商品を仕入れて販売するというスタイルが増えてきます。羊毛ふとん・羽毛ふとんはほとんどメーカー品というのが25年ほど前の状態でした。
嵩を出すためにぎゅうぎゅうづめにされた羽毛ふとんを見ながら「本当にこれでいいのだろうか?」という疑問が沸いて、1989年に滋賀県で最初の羽毛リフレッシュ&充填機を導入、自家製羽毛ふとんを作り始めたのです。それでも、その後の価格破壊の波で、販売する羽毛ふとんの大半は仕入れたものでした。
既成の寝具からの脱却
1999年にビラベック社の誘いを受けて、ヨーロッパを回りました。それは私にとって目から鱗が落ちる出来事だったのです。単に羽毛の原料の良し悪しだけでなく、生地の通気度やキルティングなど、寝床内にベストな状態を作り出すには、別の視点が必要なことに気がつきました。
それから、改めて素材選びが始まりました。料理でもそうですが、全ての基本は素材にあるからです。良質の自然素材を求めて、毎年年初のドイツ・ハイムテキスタイル見本市を訪れること、国内でも産地へ訪れて本物の良さを見抜くこと。次に、それらの優れた素材をどのように料理するか、です。側生地の選定から始まり、中わたの量、キルティングの方法など、試行錯誤をしながら、よりベストなオリジナル寝具の開発を進めていきました。
睡眠と睡眠環境を科学する
一方で、睡眠と睡眠環境に関する科学的な知識を身につけるために2001年に日本睡眠環境学会認定の睡眠環境コーディネーターを取得、また地元の滋賀医科大学に日本で始めて設けられた睡眠学講座の宮崎総一郎教授との出会いがあり、同講座認定の睡眠指導士初級から中級、最終的に上級を取得。睡眠のメカニズムとそれに対応した寝具に取り組んでいます。
これらの取り組みを総称して「極上の眠りプロジェクト」と私たちは呼んでいます。まだまだ十分ではなく、毎年毎年新しい情報を得ながら、寝具もバージョンアップを遂げています。
睡眠科学に基づいた寝具と睡眠環境(PDF)をご覧ください
横浜国立大学・睡眠環境コーディネーター講座にて川島先生(故人)と
上質な自然素材から生まれる、上質な自然な眠りの実現へ
そのような取組の中で生まれたのが「良質な自然素材で、自然な眠りを実現する」ことを目指そうと決めたのが2007年頃。自然素材の良さを学んできて、寝具はそれが一番であるという実感が得られたこと、そして、環境への取組から、ドイツからLorch社の羽毛リフレッシュマシンを導入するなど第9回のグリーン購入大賞を受賞したこと。
眠りの専門店として、これがあるべき姿と実感できたのです。
羽毛工房ダウンラボから生み出される極上の羽毛ふとん
眠りのプロショップSawadaの店舗の一番奥には「羽毛工房」があります。上質な原料を、体質に合わせて作るには、自家製造しかないと、1989年に設けられ、年々バージョンアップをとげてきました。
現在では ドイツLorch社の羽毛洗浄機・乾燥選別機に加え、羽毛除塵機、サイクロン機能付の羽毛充填機を備えており、小売店としては、日本でもトップクラスの設備を備えており、製造からリフォームに至るまで一貫してサポートできる体制を整えています。
羽毛と会話する
羽毛工房を作ったメリットは製造直売(SPA)j形式によって良い品を安く提供できるということでしたが、なにより「羽毛と会話できるようになった」ことが一番です。いままでに6000枚以上の新品羽毛布団を仕上げ、3000枚以上の羽毛布団のリフォームを行ってきました。
羽毛は天然のものですから、良し悪しがはっきりしています。同じスペックで購入しても、原料屋さんによって大きく異なりますし、同じ原料屋さんでも年によって出来不出来がでます。その羽毛の状態を見極めながら、品質が良いということはもちろんのこと、お客様の体質にベストな羽毛布団づくりに取り組んでいるのです。
身体を正しく支える、自然素材のマットレス
日本でベッド用のマットレスというと、ほとんどが金属コイルのマットレスになりますが、ヨーロッパへ行くとほとんど見ることがありません。その原因は金属コイルのマットレスのリサイクルが難しいのと、金属コイルは電磁波を誘導し電子スモッグと呼ばれる現象を引き起こすためといわれています。特に環境に厳しいヨーロッパでは金属を使わないメタルフリーのマットレスが中心的です。
特にその中でもリラックス社、ヒュスラーネスト社、プロナチューラ社などは、自然素材100%のウッドスプリングとこれも自然素材のマットレス、オールナチュラルで展開しています。ヨーロッパならではのこだわりを感じさせる逸品です。
地元近江の真綿(絹わた)や麻を使った地産地消寝具
「近江を制するものは日本を制す」とまでいわれた近江。私たちの地元長浜は豊臣秀吉公が始めて城持ち大名となって築城された長浜城のもとに作られた近世城下町の原型ともいわれるまちですが、周りには浅井三姉妹のふるさとである小谷城、姉川や賤ヶ岳などの古戦場があります。その近江には古くから使われ、伝えられている素材が多くあります。
その一つが近江真綿。蚕の繭を丁寧に正方形に重ねた真綿を何百回と手引きをして生まれる近江真綿には、絹の持つ暖かさと肌沿いの良さがあります。
また、近江上布として知られた麻織物、中でも独特のしぼをつける近江ちぢみは夏座布団の全国シェアの大半をもっていますし。蒸し暑い日本の夏には熱伝導性の高い麻は最適です。
しかしながら、これらの優れた伝統のある品も海外製品に押されて継承が難しくなっているのも事実です。そこで眠りのプロショップSawadaはできるだけ地元素材をうまく使い、工場直結によって、よりリーズナブルな価格でお届け出来るよう、さまざまな取り組みを行っています。