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羊毛ふとん-ウールの良さは抜群の吸湿発散性

目次

暖かくて吸放湿性に優れている羊毛(ウール)やキャメル

暖かく、汗を素早く吸って、素早く発散

古来から暖を取ることのできる快適な繊維として羊毛は使われてきました。その特徴は
暖かい : 汗を吸うと湿潤熱と呼ばれる熱を発生する
吸湿性に優れる : 汗を素早く吸うので、蒸れずに快適
放湿製に優れる : 吸った汗を素早く発散するので、蒸れにくい

その秘密は19種類のアミノ酸からなる、ウール特有の多層構造の繊維にあります。

吸放湿性が良いので、重要な睡眠の最初の90分を快適にしてくれる

(C) Masahiro Sawada

睡眠の中で最も重要とされるのは最初の90分。これが睡眠のリズムを作ります。この時発汗量が最も多く出ますので、ここで汗の吸湿発散ができないと、蒸れて良い睡眠にはなりません。この点でウールは最適な素材の一つなのです

掛ふとんより敷ふとんやベッドパッドに向いている

羊毛はこのように睡眠環境の温湿度をうまく調節してくれるという点で、理想的でもありますが、一方で、欠点もあります

  • へたりやすく、フェルト化しやすい
  • 羽毛に比べると嵩がでない
  • しっかりした素材なので、反発性はあるが、身体への添いがあまり良くない

羊毛の繊維はクリンプと呼ばれる縮れがあり、お互いに絡まるので腰のある繊維です。わたにすると、嵩がでにくく、身体への添い(ドレープ性)も優れているとはいえません。このような性質から考えると、羊毛は掛ふとんより敷ふとんの方が適していると考えられます。

世界には700種類の羊がある。目的にあった素材を選ぶことが大切

種類が非常に多く、また気候風土によってその性質が異なるのが羊毛です。例えば、オーストラリアに多いメリノ種、特にラムウールと呼ばれる生後6ヶ月までの羊の毛は繊維が細くてしなやかです。スーツの生地ややわらかいセーターなどに使われます。羊毛の中ではドレープ性が良いので掛ふとんに最適です。一方、繊維に腰がないので敷布団には向きません。どちらかというと掛布団向きです。

逆に、サウスダウン、クランフォレスト、ドーセットなどは比較的繊維が中太で、クリンプが強いために敷ふとんに最適な種類です。

カシミヤ、キャメルなどの獣毛は、羊毛よりはソフトでしなやかな、保温性と吸放湿性が良いので高級品で用いられます。

羊毛は非常に昔から使われてきた素材です。不要な加工を省いて、できるだけ天然の状態で使うことがその良さを活かすことになります。

ウール
カシミヤ

分けることにより、へたりも少なくなります。

一口に羊毛ふとんといっても・・・千差万別、
いろんな種類があります

羊毛敷ふとんの分類は

  • 1: 羊毛100% (他の敷ふとんやマットレスと組み合わせる)
  • 2: 羊毛100%で、中に固わたなどの別素材を挟み込んだもの
  • 3: 羊毛混で 中に固わたなどの素材を挟み込んだもの

もともと羊毛ふとんの敷は2枚敷が基本でした。上の分類でいうと3:の固わた入り羊毛敷布団の上に、保温性と吸湿性の良い羊毛100%の敷布団を敷いたのです。ところが、いつの頃からか、上の羊毛100%の敷布団を省いて、固わた入り敷ふとんだけが一人歩きしてしまいました。多くの固わた入り敷ふとんは吸湿性や保温性が不十分であることが多いので、基本通り2枚敷をおすすめします。

羊毛わた100%

掛ふとんと違い、柔らかなメリノウールは敷布団に向きません。サウスダウンやドーセットホーン、クランフォレストといった腰の強い=クリンプの強い羊毛が適しています。

側生地には通気性の良いニット生地が最適です。もともと日本の羊毛ふとんはビラベック社の羊毛ふとんを輸入し、それを模倣するところから始まりました。そこで、ビラベック社の羊毛ふとんにはマコトリコットと呼ばれる通気性の良いニット生地が使われていたので、初期の頃の羊毛ふとんは全てニット生地でした。

ところが、ニット生地は通気性が良いために、縮れの少ない安い羊毛わたを使うと生地からの吹出しが増えてしまいます。このようなことから、日本の羊毛ふとんは当初はビラベックのようにニット生地を使っていましたが、中の羊毛の質が低下するに従って、吹出しをさけることからも、両面綿生地にしてしまったのです。

ウールマークはある条件を満たせばいい最低基準です。低級品を含め表示することはそれほど難しくありませんので、マークに過分な期待はしない方がいいでしょう。

羊毛100%で、中に固わたなどの別素材を挟み込んだもの

そのウールマークは中にウレタンなど固わたのようなわた素材以外の芯を挟んで作った場合にも付けることができます。羊毛100%だとどうしてもへたりが避けられませんので、へたりを防止するために固わたやウレタンを入れたものも出回っていますが、小数です。固わたを入れても結局はへたりることもありますので、このタイプは存在価値が微妙です。

眠りのプロショップSawadaオリジナルでは基本的に二枚敷をおすすめするのが基本ですが、お客様用であったり学生さん用のために、肌面にあたる上面は羊毛100%で、下面はポリエステル100%で固わたを挟んだタイプを作っています。

羊毛混で 中にポリエステル固わたなどの素材を挟み込んだもの

市場で販売されている羊毛ふとんのほとんどがこのタイプです。従って下は3,000円程度から、良いものは3万円を超えます。

もともと羊毛100%との二枚敷をするためにマットレスに代わるものとして生れたものです。羊毛とポリエステルを混綿して多針キルトで仕上げ、固わた中芯をそれでサンドイッチするという構造になっています。なので羊毛混といっても、総重量からみると羊毛の重量は1/4ほどなので、吸湿発散性については不十分な点が多々あります。

また、昨今の低価格化で中芯の固わたの密度がかなり下がってしまったために、すぐにへたってしまうという問題があります。ちゃんと身体を支えるマットレスと羊毛敷布団の組合せをおすすめします。

羊毛わたの後加工についての考察

羊毛わたにはさまざまな後加工がなされたものが多いのです。

  • 防虫加工
  • 加炭加工
  • 防縮加工
  • 樹脂加工
  • スチームドライ加工

加炭加工とは、羊毛の繊維に絡まって取りにくいわらくずなどの繊維ゴミを強酸に通すことによって炭化させ取り除くという方法です。

防縮加工には羊毛表面のスケールを樹脂でコーティングするものと、スケールを薬品で溶かしてしまう方法(クロイ加工・E-wool加工等)があります。

羊毛の持つフェルト化をできるだけ避けるために、樹脂コーティングをしたり、一旦スチームによって縮ませて樹脂による補強を行うスチームドライ加工などがあります。

これらは、羊毛の欠点を補うものとして開発されましたが、いずれも本来の生の羊毛の持つ良さを多少なりとも損ねてしまいます

例えば、防縮加工としてスケールを取り除いてしまうと、吸放湿性能が低下します。長時間で見るとそうでもないのですが、寝具に要求される短時間での湿度変化に対する吸湿性能は約半分になります。

大東紡の防縮ウール加工であるE-wool加工をした羊毛と未加工羊毛の吸放湿性を比べたグラフです。

180分以降では吸放湿性はほとんど差がでませんが、最初の60分ぐらいまでが大きく差が出てしまいます。

実際には最初のノンレム睡眠時に発汗が多いので、未加工ウールのほうが吸放湿のスピードが速いことがわかります。未加工の羊毛は最初の30~60分でほぼ放湿するが、E-wool加工はその時点では半分ぐらいしか放湿出来ていません。

吸湿性能も未加工ウールのほうがわずかに早いので、できるだけ自然状態の方がベストということです。

表は大東紡が作成したものを分かりやすく作り直した物

自然そのままの素材を使う ドイツ・ビラベック社の羊毛ふとん

ビラベック社工場の羊毛エージング室

世界で最初に羊毛ふとんを作ったビラベック社はほとんど後加工を行っていません。羊の良いところの羊毛だけしか使わないなど、元々の原料の良さを徹底的に追求しているという良い例といえるでしょう。

眠りのプロショップSawadaのオリジナル羊毛敷ふとん

1:ビラベック社 リネン麻裏付羊毛敷ふとん・リネン麻裏付羊毛ベッドパッド(羊毛100%)

世界で最初に羊毛ふとんを作ったドイツのビラベック社は、羊毛の良さを最大限に活かしています。通気性の良いニット面と、夏は裏側のリネン麻面を使って年中使える、極上の羊毛敷ふとんです。詳しくはビラベックの項をご参照ください。

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2:キャメル100% リネン麻付きベッドパッド

ウールより吸湿発散・保温性に優れたキャメルわたを100%使ったベッドパッドです。ベビーキャメルのソフトなわたを使っていますので、体圧分散性を活かしたい、ジェルトロンなどのマットレスに最適です。

3:キャメル・ラクーンウール二層式 リネン麻付ベッドパッド・敷布団

ウールより吸湿発散・保温性に優れたキャメルわたと、フランス産ラクーンウールを二層構造にしたベッドパッドと敷布団です。ニット面にはキャメルわたを使って、キャメルわたの良さを活かしています。

4:オリジナル αクロス加工 リネン麻付き羊毛敷ふとん・羊毛ベッドパッド(羊毛100%)

羊毛の老舗、大東紡が作った高品質の羊毛敷ふとんです。素材は イギリス・フランス・ニュージーランドの3つの産地の羊毛をミックスしたスリーミックスウール。これを、縦横何層にも分けて重ねるαクロス加工によって、ふとんわたに成形します。αクロス加工はバルキー性に優れ、へたりにくいのも特徴です。国産羊毛ふとんとしてはトップレベルといっていいでしょう。

片面は通気性に優れたニット生地を使い、もう片面は夏さわやかなハードマンズのリネン麻生地を使います。

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5:防縮フランスウールの羊毛敷ふとん(羊毛100%)

防縮加工をしたフランスウールを使った羊毛100%の敷ふとんです。側生地には通気性に優れたニット素材を使ったものと、通常の綿100%生地のものがあります上記の2種類から見ると、クオリティは及びませんが、ニット素材の使用にも耐えるクリンプ性の強い良質なスタンダードウールです。

6.片面ニット固わた入り羊毛敷ふとん(1枚敷用)

肌面となる上層にはフランスウール100%を1.5kg、中芯には国産でへたりにくい50mmのYSシート固わたを使い、下層には湿気が溜まりにくいようにするためにポリエステルわたを使っています。

1枚で吸放湿性も、寝心地もある程度得られるように設計したオリジナルです。お客様用や一人暮らしの学生さんなどに最適です。

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