
2050年 月面基地「輝夜」 (Moonbase Kaguya)
1969年アポロ11号による人類初の月面到着から80年。ようやく人類は月面基地を作り、開発拠点とともにコロニーを作って生活空間の構築を行なっていた。地球温暖化による海面上昇や異常気象が拡大し、新たなフロンティアとして宇宙空間-手っ取り早く到着できる月面開発が進んだのだ。
月面着陸当時のマンガやSF小説、映画(2001: a space odessy)によると、2000年初頭にはすでに月面基地があり、ロボットが活躍している、宇宙ステーションにはHilton 、いやPanamまで残っているという想定であったが、実際にはその後の歩みは遅かった。
この月面基地(ムーンベース)はもちろんUFOへの迎撃基地ではない。モノリスの研究機関でもない。惑星開発のプロトタイプとしての、資源等を得る衛星開発の拠点であった。
その原動力となったのは2020年頃から急速に発達した、AI(人工知能)とAIアンドロイドを始めとするロボットである。
彼らは空気が薄かろうが、無かろうがミッションの成功に向けて昼夜を分かたず動くことができるからであり、事故の発生は下がり、万一発生しても人命への影響が少なかった。
月面で日常生活できるコロニーの建設とともに、家族やパートナーと住む人間が増えてきた。問題となったのは、生活リズムである。月の自転速度は、地球を回る公転速度と同じである。つまり一ヶ月がサイクルなのだ。
月面コロニーを統括するAI(マザーコンピュータ:通称 カグヤ)は、明るさや温湿度の制御を行なうなどして、地球上と同じ24時間の生活リズムが得られるように設計されている。基本的には3交替勤務なので、3パターンの生活リズムを組み合わせによって、生体リズムに無理がかからないようにしている。
さらには、ベッドに取り付けられている生体センサーから、身体的・精神的な健康状態を常にモニターし、仮想人格を持ったAIによるカウンセリングによって、精神の安定と健康維持がサポートされるといわれる。初期の頃の厳しいトレーニングを積んだ宇宙飛行士だけでなく、一般市民レベルの人間も滞在することが多くなったためである。
といいながらも、実際にはさまざまなストレスによる不眠は月面コロニーの大きな問題であった。ルナLunaとは月を表わすが、Lunaticとなると狂ったという意味になる。そのためなのか原因不明ではあるが、月面生活は心理面が安定しないという傾向が見られた。
それを解決したのがAIS-AI睡眠である。AI睡眠は身体の状況に合わせて自動的に(Auto)直ぐ(immediate)に眠る(Sleep)ことができ、同時に意識下へイメージを送り込む=夢をみさせることでストレス発散をめざすものであった。ただし、仮想人格ペルソナを使った夢を選ぶことができたために、AI人格(二次元ではないし、ゼロ次元?)に依存する人間が増えたこともあり、しばしばimmotal sleep(不滅の眠り)とか、immoral sleep(不道徳な睡眠)と揶揄された。
このようにAI睡眠は、宇宙開発の大きな原動力ともなったのだが、「マザーコンピュータさまさま」というマザーコンピュタ礼賛派に対し、「それはおかしい、我々はマザーコンピュータに操られているのではないか」というコンピュータ依存独立派が生まれ、さまざまな争いの元となるのは、もう少し先の未来のことである。
太陽系内の開発にはワープ航法が必須だったが、それが実用化されるのはさらに100年後だ。
#エイプリルフール もちろんフィクションです。
PinkFloydのアルバム The Dark Side of the Moon の Brain Damage と Eclipse を聞きながらどうぞ。