私たちの仕事で20年前と何が変わったかというと、マスメディアに「睡眠」という言葉が頻繁に出るようになったことだ。それほど「睡眠不足」「睡眠障害」が社会的課題になっていることの証でもある。この50年間で日本人の平均睡眠時間は1時間減り、テレビ・スマホ・コンビニ等睡眠を妨げる要因に事欠かない。
「安眠できる枕ありませんか?」と、しばしば問われる。また、この枕を使えば、このマットレスを使えば快眠できるというような宣伝が増えてきた。本当にそうなのか?否、である。もし、誰もが快眠できる枕とマットレスがあるのなら、品揃えは1種類だけで済むことになる。
睡眠の質を上げるためにどうすればいいのか?一言でいえば、「睡眠時のストレスをできるだけ下げる」ことにある。暑い、寒い、寝苦しい、痛い、うるさい、心の不安等さまざまなストレスによって本来あるべき睡眠が妨げられる。このストレスをできるだけ減らしていくことが大切なのだ。人は十人十色、体質・体格・寝姿勢・住環境等によって異なるから、その人に合わせたものを選ぶ必要がある。ストレスには精神的なものも多いので、答えは手が届きそうだが、実際はそうカンタンではない。
私たちができるのは、枕・敷寝具・掛寝具をバランス良く、その人にとってストレスの少ない組み合わせで提案することだ。快眠への道は、単に数値やグラフで示されるものではなく、五感で心地よいと感じていただけるように、地道に取り組むものなのである。
ねむりはかせ 沢田昌宏