毎年1月はドイツで開催される2つの見本市を訪れる。ヨーロッパは環境問題への対応意識が高いが、特にドイツ・オーストリアなどは顕著だ。ローエミッション、有害物質を使わないことはもちろんのこと、オーガニック素材であったり、フェアトレード商品であったり、というのは街のスーパーでもごく当たり前のこととなっている。
羽毛などの素材にしても、ゆったりとした飼育環境で、鳥にストレスを与えたり、痛みや恐怖を与えないことが求められるようになっている。動物愛護の考えについては、少し偏りすぎな気もしないではないが、健康な素材は健康な飼育環境から生まれるという考え方が主流になりつつある。
実際、選ばれた素材で作られた布団やマットレスは、機能テストで得られるような数値的な特性を超えた使い心地の良さが得られる。「感覚的なものでしょ」といわれれば、そうなのだが、こと良質な睡眠を得るということは、素材から得られる心地よさ、使用感というものが大きな要素をしめるといえる。これは実際、日本睡眠環境学会でも機能数値だけでなく、官能評価をどのようにするかが取り組まれているのだ。
もちろんヨーロッパが全てではない。しかし、そこには人間本来の眠りはこうあるべきではないか、ということを感じさせてくれる小さな企業に出会うことができる。彼らは、クラフトマンシップにあふれ、自然素材を大切にする家業メーカーだ。同じ共感を持って、私は彼らとの出会いを大切にしたいと思う。
ねむりはかせ 沢田昌宏