Q:なぜ最近の羽毛布団の生地はポリエステル混が多いのですか?

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コストダウンの要因が最も大きいと考えています

最近の羽毛布団を見ていると、側生地に特徴があります。かつては綿100%が多かった素材が、ポリエステル100%、もしくはポリエステルと綿の混紡になっていることがほとんどです。なぜそうなったのでしょうか?そのメリットとデメリットはどうなのでしょうか?

ポリエステル混生地は軽い

ポリエステルは綿に比べると軽い素材です。日本でもっとも多く使われる羽毛布団用の綿100%の生地は60番手のサテン生地ですが、重量が130~150g/㎡ぐらいあります。高級とされる80番手サテンで約115g/㎡、100番手サテンで100~105g/㎡になります。

一方、安価なポリエステル混生地にはポリエステル100%やポリエステル80%綿20%というタイプが多いのですが、生地重量は90~105g/㎡となり、側生地を軽くできる特徴があります。上級品のポリエステル混生地になると、さまざまな機能を持った高機能ポリエステルと超長綿の混紡となり、重量は同じぐらいですが、低級品に比べると風合いが向上します。軽い生地の長所は、羽毛が呼吸して膨らむのを妨げないということで、中に入れる羽毛の量を減らすことができます。逆に生地が重いと、同じ嵩を出すにもより多くの羽毛の量を必要とします。

ポリエステル混は耐洗濯性が良いものが多い

また、ポリエステルは洗濯しても縮みにく乾燥も早いので、いわゆるウォッシャブルタイプの羽毛布団はほとんどがポリエステル混です。一方綿100%だと、羽毛の吹き出しを防止するダウンプルーフ加工が洗濯をすることで失われるため、一般の綿100%の生地は洗うことができません。洗っても大丈夫なケースもありますが、ほとんどの羽毛布団生地メーカーは保証していません。

しかしポリエステル混生地は通気性が悪く、蒸れやすい

最大の欠点は通気性が悪いということでしょう。繊維断面がきれいな円になりやすい合成繊維は、もともと羽毛が吹き出しやすいので、吹き止め防止のダウンプルーフを強くかけることになります。(強くかけることで、ウォッシャブル表示を実現しています)すると、通気性が非常に悪くなります。

60番手の綿100%サテンの通気度は1.5cc/sぐらいが一般的ですが、ポリエステル混だと1cc/sを下回り切りますので、洗えるけど蒸れるという状態になります。通気性が悪いと、羽毛の温湿度調整機能が活きてきませんから、本来は通気性を良くすべきなのです。

羽毛の性能を最大に活かすためには、綿100%の素材で通気度を3~4cc程度にするのがベストです。当店のオリジナル生地S9100は通気度が3.2cc、最高級のHEFEL268だと7.5ccもありますから、蒸れとは無縁の快適な寝心地が得られます。

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綿の高騰、続く羽毛の高騰で、ポリエステル混が多数派に
しかし、私たちは自然素材 綿100%にこだわります

ポリエステル混生地はなぜ増えたのでしょうか? 最初の原因は4~5年前の綿花の高騰でした。一時は3倍ぐらいになりましたから、よりコストの安いポリエステル混が増えたのです。

さっらに綿の高騰が落ち着いたらと思ったら、今度は羽毛の高騰です。これも一時は3倍以上になりましたから、より充填量が少なくて済むポリエステル混の生地が圧倒的多数になってきました。今まで1300g入れていたものを、ポリエステル100%だと1100gで同じぐらいの嵩になるので、コストアップに苦しむメーカーは一気にポリエステル混に流れました。

実際2016年の西川各社を始め大手の寝具メーカーは大半がポリエステル混繊維で唖然としました。昔はもうちょっと毅然とした品づくりをしていたはずなのですが、高機能素材といいながら、羽毛布団本来の良さをどうするか、というところに目が行っていないように思います。

しかし、快適な睡眠環境を整えることが羽毛布団を選ぶ理由であるにもかかわらず、コスト優先でポリエステル混の羽毛布団側を使うことは、本末転倒ではないでしょうか?

布団を家庭洗濯したいという消費者の要望?

さらに、ポリエステル混生地を使うことで、羽毛布団をウォッシャブル=家庭洗濯することができやすくなります。実際行っているかどうかはともかく、洗えたら良いなという声が大きくなってきたことも後押しとなりました。実際は量販店店頭などでは「洗えます」ということがキャッチフレーズになってしまいました。

私どもでも店頭で「洗えます?」とご質問を受けることが多いのですが、逆に「洗ってらっしゃいます?」とお聞きすると「洗ったことない」というお客様が実に多いのです。体質にもよりますが、ふとんの丸洗いは2~3年に一度ぐらいがベストだと思います。洗いすぎると羽毛を損ねるので、適度がおすすめです。

綿100%でも、ウォッシャブル対応や専門の丸洗いサービスなら問題なく洗える生地はあります。どちらにしても通気度が悪い羽毛布団を洗っても中の汚れは非常に取れにくいので、数年に一度専門サービスで丸洗いされることをおすすめします。

本来は綿100%で軽く通気性の良い生地が望ましい

羽毛は呼吸をします。極端な話通気性のないビニールが側生地なら、中にどれほど良い羽毛を入れても良さは全く味わえません。軽量で通気性の良い、吸湿発散の良い綿100%の生地が羽毛布団には最も最適なのです。