お客様とお話をしていると、羽毛や羊毛は、その原料を得るために飼育されている・・・と誤解されていることが多いのです。


基本的には、鳥や羊は肉を得るために飼育されている
羽毛はグース(ガチョウ)やダック(アヒル)などの水鳥から得られます。羊毛はシープ(羊)から得られます。
ほとんどの場合、これらは食肉を得るために飼育されています。羽毛や羊毛はその際に得られる副産物です。ですから、飼育頭数は肉の需要によって変動します。
マザーグース農場は卵を得るためだけに飼育される

ポーランドの場合、マザーグース農場は卵を得るために飼育されます。そのため、通常のグースの飼育期間9~16週に比べると3~4年飼育されることと、親鳥として品種改良がおこなわれているので、良い羽毛が得られます。
若鳥の需要が多いと、良い羽毛が得られにくい
グースもダックも飼育期間の短い若鳥の方が、肉が柔らかくなって市場で好まれます。若鳥は飼育期間が短いため、エサは体を作るために優先され、羽毛にはあまり栄養がいきわたりません。
良い羽毛を得るために、16週間の飼育期間が必要です。かつては22~23週間といわれましたが、品種改良も進み16週間で肉と羽毛が得られます。
中国で飼育されるダック(アヒル)はその傾向が強く、少し前に飼育期間が8週間程度と聞いて「促成飼育だな」と思っていたら、最近は品種改良して4~5週間というのもあるそうです。当然のことながら、良い羽毛は得られません。
生後6ヶ月の子羊(ラム)は柔らかい肉と羊毛が得られる
羊は生後6か月までの子羊(ラム)は、肉が柔らかく臭みが少ないため、2~3倍ぐらい高値で販売されます。
そこから得られるラムウールは、繊維が細くて柔らかいため、上質な毛布やショールに使われます。
ラ・クーン種の羊はロックフォールチーズの原料

変わり種は、フランス・ウールとして敷布団に最適なラ・クーン種の羊でしょう。その乳からはロックフォールチーズが生まれます。
愛情をこめて丁寧に育てると、良い羽毛や羊毛が得られる
ポーランドの羽毛の品質が良いのは個人農家が多いため

高級羽毛の産地といえばポーランドやハンガリーが挙げられます。量は得られないが、高い品質の羽毛を探そうとすると、ほとんどの場合がポーランド産です。
ポーランドは個人農家が多く、愛情をこめて丁寧に育てる環境があります。コウダヴィエルカ研究所が、グースの品種の系統管理をしっかりしているためです。
新潟のお米が全て良いものばかりでないのと同様に、ポーランド産羽毛であれば、全て良質とはいえません。それでも、トップグレードの羽毛はほとんどがポーランドです。
おいしい肉を得るためには、丁寧に育てることが重要


食肉がメインということは、おいしい肉が得られるように、エサにも十分気を付けながら、愛情を持って丁寧に育てることが大切です。そして、良い環境で育てられた鳥や羊は、肉が美味しいだけでなく、得られる羽毛や羊毛も良いのです。
良い環境で丁寧に育てれば、良い素材が得られるというのは、羽毛や羊毛に限らず、麻や木材や天然ゴム等々自然素材は全てそうなのだと、さまざまな農場を訪れながら改めて気が付いたことです。
コストを優先するとブロイラーのような育て方にならざるを得ません。ハンガリーの農場は比較的に大規模農場が多いと聞きます。大規模農場は購入力が大きな買い手と取引するために、コストが優先されがちです。
おいしいお米や野菜づくりに取り組む農家さんと同じです
良いものを得るには、良い環境で丁寧に育てる。これは、あらゆる農家の皆さんに共通することなのだ。
いろいろな農場を訪問しながら、地元でも米づくりや野菜。果物づくりに一生懸命取り組んでいる農家の皆さんの顔が浮かんできました。