通常、ベッドのマットレスの上には床で使うような敷布団は使うべきではない
一般的な15cm厚み以上あるベッド・マットレスの上には、床で使うことを想定した敷布団は使わない方が良いのです。
それは、マットレスや敷布団はそれ単独で身体を支えるように作られています。それを重ねて使うと、正しい寝姿勢が得られなくなる可能性があります。
例えば一番重いお尻の部分が下がってしまって、腰痛の原因になりやすいのです。
5~10cmぐらいの床用マットレスの上は、2枚重ねするのが基本
主に床用向けに作られた厚みが5~10cmぐらいのマットレスの場合は、マットレス自体に厚みがないので、2枚重ねした方が良い場合がほとんどです。ただし、その場合でもマットレスの特徴が活かせるような組み合わせにするよう、素材や厚みを選ぶ必要があります。
固わた入りの敷布団の場合は、ほとんどの場合でおすすめできない
このような固わた入りの敷布団が多く販売されています。表面には格子状にキルティングがなされた物がほとんどです。このタイプの敷布団はもともとがマットレスの代替品として開発されたものです。その上に羊毛100%の敷布団を重ねて使うことが前提なので、一般的なマットレスの上に使うことはおすすめできません。
マットレスの上に使うべきは羊毛ベッドパッド、もしくは羊毛100%の敷布団
羊毛の最大のメリットは、吸湿性の良さと放湿性の早さです。素早く汗を吸って保温し、素早く湿気を放出して気化熱を奪います。
この性質は、入眠直後はある程度保温性が必要であると同時に、最も発汗するため、素早く吸湿することが求められます。ヒトの身体は睡眠と共に体温を下げますので、発汗した後は熱を放出する方がいいのです。
最も重要だとされる最初の90分の眠りを快適にできる素材が羊毛、キャメル、カシミヤなどの獣毛系素材です。羊毛には独特のクリンプ(縮れ)があるため、弾力性があるのも特徴です。
マットレスの上にはシーツだけでなく、汗を素早く吸湿発散できる羊毛素材が必要なのです。特にマットレスの上部素材がウレタン系のタイプは、ウレタンに汗を直接吸わせない方が耐久性も改善します。
一般的な体質の方であれば、シングルで1.5kgのわた量ぐらいのベッドパッドが良いでしょう。マットレスが硬かったり、使う人が寒がりだったりする場合は、3.0kgクラスの敷布団(といっても厚みは5cmもありません)を使った方が体圧分散性と保温性が向上します。
私の店でも、寒がりや冷え性の女性はBMI値が低いこともあり、羊毛敷布団を選ばれる方が多いのです。
プロファイル(凹凸)のあるマットレスの場合は?
このような凹凸のあるプロファイル加工をしたウレタン素材を使ったマットレスがあります。代表的なものは、ムアツふとんや整圧ふとんのような厚さが10cmぐらいのものです。
メーカーの説明によると、「点で支えるマットレスの良さを活かすには、その上にシーツだけをかけて使ってください」とありますが、実際には身体とマットレスの間に空気の層が出来るため、夏はともかく、保温性が欲しい冬には向かないと考えます。
ビラベックのようなニット生地を使ったベッドパッドがおすすめです。吸放湿性や保温性をたもちながら、凹凸の機能を活かすことができます。一番良いのはキャメルわたのベッドパッドです。キャメルわたは柔らかい(硬いのもあります)ので、凹凸に沿いやすく、保温力もアップします。
ジェルトロンのような体圧分散に優れたマットレスの場合も、キャメルわたのベッドパッドの方がその良さを
それでも、寒がりや冷え性の方には、凹凸効果が少し薄れても、羊毛敷布団の方が快適と感じられる方が多いので、どちらが良いかはご自身の体質と寝心地の好みでお選び下さい。