
良いマットレスを買ったとしても、何年か経つと腰の部分がへたってしまうことがしばしばあります。そうすると腰が落ち込み、寝姿勢が崩れて腰痛などの原因になります。
マットレスを快適に長く使う=長持ちさせるにはどのような視点で選ぶことが大切でしょうか?
ページの目次
結論:
1:多層構造で体圧を分散させ、
2:硬さの調節できるモノで、
3:素材密度がしっかりしたものを選ぶ
1:一枚ものに頼らない-何層かで変形圧力を分散させる
最近のマットレスは30~40cmへと中身の構造が複雑になったものが増えています。しかし、どうやってもマットレスはへたるもの、一枚もののマットレスは一部分がへたってしまうと手の打ちようがありません。どれほど良いマットレスでも、1枚で解決するというのは、結構リスクが高いのです。
一枚ものではなく、ウッドスプリングなども含めて、多層構造でそれぞれが分散して体圧を支えることで、長持ちしやすくなります。一部がへたってもその分だけ取り替えができる、構造的にローテーションができる、などの工夫がされているとなお良いでしょう。
例えば、素材の変形が大きい低反発ウレタンなどは、どうしてもヘタリがでやすくなりますから、あまりおすすめの素材ではありませんが、使うときは一体型は避けるべきでしょう。
2:あとから硬さの調節ができれば、失敗のリスクは少ない
ジェルトロンマットレスのように肩・腰・脚のパーツを交換できるタイプであれば、劣化した部分だけを取り替えすることで長く使えます。私どもがおすすめするウッドスプリングは部位の硬さを調節することができるものがあり、購入後に違和感があったとしても、調節ができるため、失敗のリスクが少なくなります。
3:素材の密度が高いものはへたりにくい
ウレタン素材には高反発・低反発といろいろありますが、上質なウレタン素材は密度が高く、その分へたりにくくなります。ラテックスフォームはウレタンよりも密度が高いため、重量はありますが、へたりにくい素材です。
金属スプリングはへたりにくいが、複合化した上層部がへたる可能性がある
最近の金属コイルのマットレスに多いのは、ポケットコイルを中心にして、ウレタンなどの層を10cmぐらいも重ねるような複合構造のものが増えています。オーバーレイという、上に重ねるユニットを最初から組み込んでいるケースもあります。
しばし起こりやすいのは、上層のウレタン等が先にへたってしまい、寝心地を損ねることです。一体型になっているとその部分だけを交換することができないので、寝心地を回復するのが難しくなってしまいます。
へたらないマットレスはない、という事実から始めよう
かつて日本のマットレスは非常に硬かった時期があります。硬いほど腰の落ち込みが少なく健康に良いとされてきたのです。通常のスプリングマットの上にコンパネを敷いて普通の布団を敷くという例も少なからずありました。
マットレスには全体重が1日6~7時間かかります。そのストレスたるや非常に大きく、当然のことながらマットレスがへたるのは、ある意味当たり前のことです。
下図のように、体型に合わせてある程度変形するマットレスを考えた場合は、どうしてもへたりが多く出てしまいます。

世の中には××年保証といって、長期間使用できるかのように説明するマットレスもありますが、実際は保証の年数長く使えるわけではありません。
変形量が多いマットレスは、へたりが早い
体重や体格にもよりますが、変形量が多い低反発ウレタン等はへたりが早くなります。変形量が少ない硬いマットレスはへたりにくいですが、体圧分散に問題がでます。AIRやムアツふとんのような凹凸がある点で支えるタイプはその中間ですが、それでも変形が大きい部分=臀部はへたりが出ることは避けられません。
エアウィーヴ等の網状立方体もへたりやすい
ポリエチレンでできたエアウィーヴ、同じ製法のC-COREやE-CORE、ポリプロピレンのカルファイバーなども変形によるへたりが出やすい素材です。ブレスエアーはエラストマー等も使った複合素材のために、エアウィーヴ等よりはへたりが出にくい素材ですが、それでもウレタン素材の方がヘタリ性能は上で、使用しているとへたりが出やすくなります。
長持ちする方法1:ウッドスプリングを使い、多層構造で身体を支え、変形圧力を分散させる

上の図で、変形が大きいのはCとEです。特にEお尻の部分は元の状態の半分ぐらいに変形しています。変形が大きいと、弾力性が低下しやすく、同じ体重をかけても沈む=つまりへたりがでます。
ウッドスプリングを使うと、マットレスの変形が少なくなる
解決の有効な方法としてはウッドスプリングとマットレスを組み合わせがあります。



上図はRELAX2000ウッドスプリングの例ですが、ウッドスプリングが大きく変形して身体を支えるために、上部のマットレスは変形が少なくなります。その結果、マットレスの弾性低下が少なくなる=へたりが少なくなるのです。
ウッドスプリングの多くは、硬さを調節することができるようになっていますので、使用年数とともに硬さを調節することで、寝姿勢の変化が少なくなります。

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こちらはミルフィエレメント・ウッドスプリングです。ナチュールフレックス・ウッドスプリングも基本的には同じです。上の板を、ラテックスフォームでできたサスペンションで支え、その巾を調節することで、体格や寝姿勢に合わせた硬さにできるのです。
役割を分担させることで、必要なものだけを交換して長持ちを
ウッドスプリングの場合、下から ウッドスプリング・マットレス・ベッドパッド(敷ふとん)と敷寝具に必要な要素をそれぞれ役割分担するようにしています。
ヘタリが出てきた場合はハニカムシートなどで、反発力を戻すなどの調整ができます。
長持ちさせる方法2:パーツのローテーションや交換が可能な素材を選ぶ
一枚もののマットレスは中央部がへたったら寿命になる
多くのマットレスが一枚物です。エアウィーヴ、AiR、快圧ふとん等々・・・

密度のしっかりした素材が使えるベッド用はともかく、フロアー用は手軽に片付けることができるように、ウレタン等の軽量素材を使うケースがほとんどです。当然、密度が高い素材にくらべると、へたりに対しては弱くなります。

このような一枚物を長く使い続けるとどうなるか。当然のことながら、最も重量がある臀部に負荷がかかり、へたりが進行します。それを防ぐために、しばしばハードタイプが用意されているケースもありますが、結局お尻が当たる部分だけがへたり、それ以外はしっかりしたままという、情けない結果になったりします。
素材密度が低い、軽量タイプの一枚もののマットレスはできる限り避けましょう。
ウレタンマットレスは、三つ折タイプにして中身をローテーションする

ウレタンマットレスで三つ折タイプの多くは中身をローテーションすることができます。上の画像はムアツSleepSpaですが、これはローテーションが可能です。
3ヶ月に一度ほど中のパーツをローテーションすることで、一カ所に負荷をかけず、素材を休ませることができます。三つ折タイプを選ぶことによって、長持ちするマットレスが得られるのです。
中には、中央部のパーツだけを固めにするなど、3つのパーツの素材が異なるマットレスがありますが、このタイプはローテションすると寝心地が変わってしまうので、長持ちするという視点ではおすすめできません。選ぶ際は十分に注意してください。
三分割でローテーションができるオリジナルマットレスBuran-type1

ココヤシ繊維を2種類の厚さのラテックスフォームでサンドイッチした3層構造+3分割にした2023年3月に新発売のマットレスです。3つのパーツをローテーションできるため、定期的に入替をすることで長く使うことができます。硬さの違う面を好みによって使い分けることもできます。
パーツ交換で長く使える3レイヤーマットレスⅣ
そこで眠りのプロショップSawadaオリジナルの3レイヤーマットレスⅣでは、弱った素材部分を交換することができるようにしました。
何年か前にムアツふとんがリニューアルする際に、メーカーにパーツ交換できるように提案したのですが、取り入れてもらえませんでした。そこで当社オリジナルについてはパーツ交換が最初からできるように作っています。
嘔吐やおねしょなどで、洗えないような状況でもそのパーツだけを買い替えできるのです。
付け加えると、一番下の層は通気性の良いメッシュ素材を使っていますので、ウレタンマットレスの泣き所である、カビの発生リスクを抑えることができます。

パーツ交換できるジェルトロンマットレス

ジェルトロンマットレスも中は3分割になっていて、6種類の固さのユニットを選べるようになっています。へたったときや、古くなった場合に買い換えができます。
長持ちさせる方法3:密度の高い素材のマットレスを選ぶ
これもある意味当たり前ですが、低コストで作ったマットレスは、低コストの素材を使うので、へたりやすいのは事実です。
最初は快適と思われていても、使用しているうちにヘタリがでる場合は少なくありません。

高価であれば良いというわけではありませんが、手間をかけて作られた上質の素材であったり、高密度で作られた素材は、快適性もさることながら、耐久性にも優れていることが多いのです。ウレタンでも、ニュートンのような硬さより、素材密度が高いものの方が耐久性が上がります。
しかしながら密度の高い素材はマットレス自体の重量が増えるために、畳んで片付けるということは難しくなります。基本的にはベッドで使うことが前提です。
長持ちさせる方法4:汗をちゃんと吸うベッドパッドを必ず併用する
マットレスメーカーの多くが、マットレスの上にはシーツだけという説明をすることが多いようですが、温湿度調節や、長持ちの観点からすると間違っています。
汗をそのままマットレスに吸わせるのは良くないのです。特にウレタン系は顕著です。吸湿力のあるウールやキャメルわたのベッドパッドを使うことで、汗を素早く吸収発散させます。そのことにより、マットレスが長持ちするだけでなく、快適な温湿度を保つことによって、一番重要とされる睡眠の最初の90分間を快適に眠ることができるのです。
困ったら無料のWEB快眠カウンセリングを
眠りのプロショップSawadaでは無料のWEB快眠カウンセリングのサービスを提供しています。寝具選びに困ったら、まずはカウンセリングから

マットレスの選び方の基本を理解して、自分に合ったものを購入しましょう
自分に合ったマットレスをどうやって選ぶのか、その基本を理解することは重要です。いろいろなマットレスを選ぶ上で大切なことです。ベッドで選ぶ場合と、床・たたみで選ぶ場合は少し異なります。

