極寒の冬に温かく眠るための3つの方法
日本の家屋の多くは気密度が低く、極寒の季節には部屋が底冷えしたようになります。場合によっては低体温症を引き起こすこともあります。健康にいいことは一つもありません。
ここでは、見落としがちな3つの視点で、低体温症にならないための方法を説明します。
1:身体の熱は下から逃げる→敷寝具の保温性を上げる
寒いとすぐ、掛布団や毛布など掛けるものに意識がいきますが、実際身体の熱は下から逃げることが多いのです。
床に直に寝ている場合は、2枚敷+敷毛布を使う
厚さ5センチ未満の薄い敷布団1枚に寝ているとします。床の温度が10℃とすると、体温との温度差は25℃以上あります。5cmぐらいではこの温度差を保温することができません。つまり体温は床へ床へと逃げていきます(冷えは下から来る)
対策として、敷きを2枚敷にします。ベストは8~10cmぐらいのマットレスの上に、羊毛敷布団を組み合わせることです。羊毛がいい理由は速暖性があることです。木綿わたの敷布団は十分に乾かせていないと温まりにくいという欠点があります。
敷毛布を組み合わせるとさらに効果的
さらに肌にあたる一番上は、敷毛布を使い、体との接触面積を増やして保温力を上げることが重要です。合繊系の敷毛布は汗を吸いません。布団が暖まってくると蒸れやすいので、ウールやキャメル等の獣毛系がおすすめです。
最近はやりの網状立方体の敷布団は保温性が低いので要注意
エアーウィーヴ、ブレスエアーをはじめとした昨今はやっている中が空気になった網状立方体の敷布団は、通気性は抜群な反面、暖まった空気が逃げやすいので、保温性があまりありません。冷えた空気に体温を奪われやすい構造です。羊毛敷布団等と組み合わせないと底冷えします。要注意です。
2:毛布は内側へ、体を包むようにして使う
「毛布は布団の上」とそう進める寝具の専門メーカーがありますが、毛布は本来接触温感を味わうもの、上にかけてしまうと意味がありません。上なら肌布団やキルトでもいいのです。
いくら羽毛布団の保温力が優れているといっても、身体へ周りに隙間が多いと熱が逃げてしまいます。隙間が出やすい肩口や足元などを、毛布で体を包むようにして眠りましょう。毛布を使って身体の周りに隙間を作らないようにして熱を閉じ込めるのです。
ウールかカシミヤ毛布がベスト
毛布の素材は保温性があって、同時に吸湿発散性の良い獣毛系、ウール・カシミヤ・キャメル・アルパカ等がおすすめです。吸湿発散性が悪い合成繊維の毛布は、暖まってくると蒸れやすく、快適な寝床内温度33℃湿度50%を保ちにくいのです。発汗量の少ない方なら合成繊維でもいいでしょう。
店主(ねむりはかせ)は薄手(1000gぐらい)のカシミヤ毛布を使って、肩口と足元を巻き付けるようにし。その上に中厚の羽毛掛けふとんを組み合わせています。築80年の日本建築、部屋が冷え込んでいても暖かく眠れています。
3:掛布団は保温性も大事だが、フィット性がさらに重要
暖かい布団にするには、嵩を上げればいいので、二層式などふっくらする羽毛布団が出回っています。保温力を上げるためには、嵩だけでなく、フィットするキルティングも重要になります。
多くで使われている4×5キルトは熱が逃げやすい
羽毛布団の多くは、シングルサイズの場合4×5マスのキルティングです。ところが、これは身体の中央部にミシン目が来てしまい熱が逃げやすい構造です。
私ども標準仕様である変形5×5キルトであれば、身体の中央に最も厚みが出るように仕立てています。両サイドは幅が1/2になっているため、身体への沿いもいいのです。
また、中厚仕様の5×6マスキルトは、普通より薄めに仕上がりますので、布団そのものの保温性は劣りますが、30マスあるために身体へのフィット感が良いので、暑がりで寒がりのような体質の方にはこれの方が良い場合があります。
二層構造は暖かいが、蒸れも出やすい
表地と裏地の間にもう一枚生地を挟んで二層構造にした羽毛布団があります。キルティングが重ならないので厚みが均一になり保温性が向上します。
一方この中地はナイロンやポリエステルを使うことが多いので、保温性は上がりますが、一方で蒸れやすくなります。
アイダ―ダウンやステッキーダウンは保温性が高いのでおすすめ
アイダ―ダウンは上の画像のように羽毛が絡み合い、暖まった空気を逃がしません。保温力を上げるには最適の素材です。ただ、価格も非常に高いので、アイダ―ダウンには至りませんが、絡みの強いステッキーダウンもおすすめです。
羽毛が身体から浮きやすい場合は毛布を有効活用
身体になじまない布団を使っていて、身体の周りから空気が逃げるような場合は、2:毛布を包み込むように使うことをご検討ください