睡眠の状態が判ったら、睡眠は改善できるのか?
さて、睡眠の状態を簡単に計測できるようになってきました。中にはスマホのアプリだけで推測するようなものもできています。かといって、そのことが、即睡眠の改善につながるわけではありません。そこから分析が必要です。
何が問題なのかについて、仮説をたてる
睡眠の状態が悪い場合、何が原因となっているのかについて、いくつかの仮説を立てる必要があります。たとえば
- 毎日眠る時間がばらばらな場合は、生活習慣の問題ではないか?
- 入眠に時間がかかっている場合は、体質や寝る前の行動、寝具に問題がないか?
- 中途覚醒が多い場合は、飲酒の影響?部屋の温湿度の問題?寝具の温湿度調節の問題?
もちろん、精神的なストレスが多い方は、そのための対策が必要ですし、そもそも、睡眠時間を確保できていない場合は、そのことに問題があるケースが多いのです。そして睡眠の質が悪い原因は、さまざまな問題が重なり合っていることが多く、単純ではありません。
仮説に基づいて解決方法を模索し、フィードバックする
- 毎日眠る時間がばらばら → できるだけ規則正しく眠って体内リズムを整える
- 入眠に時間がかかる → 寝る前に軽度な運動を、寝具は即温性の高いものを予め予熱しておく
- 中途覚醒が多い → 昼の運動量を増やす、深酒しない、部屋の温度を快適温湿度にキープ、温湿度調節能力の高い寝具を使う
もちろん、仮説と解決方法が必ずしも正しいとは限りません。効果がない場合は、別の仮説と解決方法を模索する必要がありますし、複合的に解決方法を試すことも大切です。
体格や体質、眠り方によって解決方法は異なる
当たり前ですが、体格や体質によって、仰向け寝・横向き寝などの寝姿勢などによって解決方法は異なります。さらに、現在使用している寝具やベッド、住宅や寝室の部屋の温湿度の状態、騒音など、さまざまな睡眠環境や、地域によっても解決方法は異なります。
「この寝具を使えば、今日から快眠」なんてありえない
あるメーカーが展示会で、睡眠計と寝具をセットにして「質の高い睡眠を」と提案していました。しかし、提案された寝具が全ての人の睡眠の改善につながるとは到底思えないようなレベルのものでした。そのメーカーさんには悪いのですが、勘違いをしているとしか思えません。もともと粗悪な寝具を使っている方には改善するかもしれませんが、反って睡眠の質が低下する可能性も少なからずあります。
あるいは身体を測定して「これがあなたに最適ですよ」といううたい文句の寝具もありましたが、そもそも仰向け寝中心と横向き寝中心では、最初のアプローチが異なります。横向き寝なのに仰向け寝時の頸椎や背骨のカーブを計測して、提案しても根本的な解決とはいいがたいのです。
睡眠改善にはカウンセリングが不可欠
結局、それぞれの人に合わせてカウンセリングをしながら選ぶことが不可欠であると思います。もちろん、答えは幾種類もあります。毎日の眠りにそれほど大きな問題を抱えていない方であれば、ある一定のレベルで、自分にとって快適と思われる寝具であれば、問題ないでしょう。
一方、睡眠の状態が厳しかったり、腰痛などで非常に困ってらっしゃる場合は、選択肢が狭まってきます。生活習慣を改善したり、運動したり、食事を改善したりする必要もありますし、それでも解決方法がなかなか見当たらない、という方も現実にはいらっしゃいます。
カウンセリングと、それに基づく寝具の提案をフィッティング、つまり実際に試し寝していただきながら選ぶことにより、できるだけ高いレベルでの提供ができるのではないかと考えています。
主観的な睡眠評価と客観的な睡眠評価 両方とも改善をめざす
中には「私はぐっすり眠ることができているので問題ない」と思っていらっしゃっても、睡眠の状態を計測すると、良くないケースもあります。軽度の睡眠時無呼吸症候群の場合、あまり自覚症状がないために、「昼間ちょっと眠くなるけど、夜は眠れているよ」ということもあるからです。