私たち寝具を扱う業界でしばしば使われる常套句に「良い寝具で良い夢をみてください」というのがある。「この枕を使えば良い夢が見られますよ」などと言われると、そうなのかと肯定的に思ってしまう。
古来より「夢枕に立つ」「正夢」「予知夢」「夢占い」など夢は不思議の世界とされてきた。近代ではフロイトによる夢分析などが試みられてきた。
睡眠には脳を休め体を作る「ノンレム睡眠」と脳を創る「レム睡眠」の2種類があって、約90分周期で交互に切り替わる。このうち「レム睡眠」においては脳は活動中である。その日に起こった様々な事柄を整理して、長期記憶や短期記憶に振り分けるのがレム睡眠の役割とされていて、この時に夢を見るとされている。記憶を整理中だから、夢の内容はしばしば支離滅裂であることが多い。
レム睡眠はこのように情報を整理し脳を創る役割をもっているので、子供に多く表れる。生後間もない乳児では50%がレム睡眠で、中高生ぐらいには大人並みの18~20%ぐらいになる。三つ子の魂百までというが、脳が成長する3~4歳までがしつけ等にしても大事であるということだ。そのためには、小さいときには規則正しい生活習慣で、たっぷり睡眠をとることがとっても重要なのである。
さて、レム睡眠時に夢を見ていたとしても、次のノンレム睡眠に移行するとそのことは忘れてしまう。夢を覚えているということは、睡眠中に覚醒してしまっている結果といえる。つまり、本当に良い睡眠をした場合には夢は覚えていない-夢も見ずにぐっすり眠った、という状態なのだ。逆に頻繁に中途覚醒が起こると「夢見が悪い」「夢にうなされる」という状態だといえる。
さぁ、あなたはどんな良い夢を見ているだろうか?
ねむりはかせ 沢田昌宏