夜9時に寝たら、午前3時に起きるのは当たり前
ご年配の方から、朝早起きするようになって困る、というお声を聞きます。まだ真っ暗な中で目が覚めてしまって、もう一度寝ようとしても眠れない・・・といったご相談です。
「何時に就寝しているのですか?」と聞くと「午後9時ぐらい・・・」というお答え。きっちりと6時間睡眠が取れていることになります。ところが、このような場合は、朝早く起きてしまうことが精神的ストレスにつながることがありますから、客観的に十分な睡眠時間が取れているにもかかわらず、睡眠満足度が低くQOL(Quality of Life)が低下します。
上記の図からも、高齢者は総睡眠時間が6時間程度です。しかもその中でもレム睡眠比率が下がっています。レム睡眠は脳に入った情報を整理する睡眠ですから、高齢になって、あるいは現役をリタイアするなど情報量が少なくなるとレム睡眠は少なくなります。
ノンレム睡眠の大きな目的は脳を休めることですが、これも脳を使うことが少なくなるとともに、睡眠時間も少なくても済んでしまいます。
年を取ったら眠りが浅くなるのは当たり前
上記の図を見てみましょう。徐派睡眠と呼ばれる深い睡眠(睡眠段階3~4)は子どもに多く、高齢者に少ないことがわかります。さらに、高齢者は中途覚醒が多いのも特徴です。
日中の活動量が少ない高齢者はどうしても眠りが浅くなってしまいます。中途覚醒後にトイレに行ったりなどして、再入眠が妨げられる場合があり、睡眠満足度が低下する原因ともなります。
対策1:日中の活動量を増やすこと
身体と脳の活動量を増やすことによって、脳の働きは活発化します。それによって睡眠が深く取ることができるようになります。逆に寝たきりになると、刺激が少ないために脳の働きが衰え認知症などにつながります。認知症リスクは質の高い=深い睡眠を取ることによって低くすることができることがわかっています。畑仕事をしたり、他人と交流するようにして日中の活動量を増やしましょう。
対策2:ストレスの少ない睡眠環境をつくること
まずストレスの少ない、快適な寝具をえらびましょう
寒い、暑い、蒸れる、重い、背中が痛い、腰が痛いなど、身体に無理がある寝具を使うと、眠りが浅くなったときに中途覚醒しやすくなります。一方、快適な寝具を使うと、中途覚醒に至らず、そのまま眠りを続けやすくなります。
実際に快眠カウンセリングとフィッティングで寝具を選んでいただいたお客様からは、「ぐっすり朝まで眠れるようになった」というお声が多いのです。自分に合わせた寝具を選ぶことで中途覚醒をできるだけ避けるようにすることができるのです。
ヒートショックの少ない寝室づくり
中途覚醒した時にトイレに行くという高齢者は非常に多いのですが、この時にトイレの位置や室温が大きな問題になります。33℃に暖まった寝具から、寝室から遠い、寒いトイレに行くと特に冬は気温が大きく下がるために、温度差によるヒートショックが起きて、脳血管系の障害が起きやすくなります。
トイレを寝室に近いところにする、トイレの保温を十分にするなどの対策が必要ですし、寝室そのものの温度もヒートショックの置きにくい適度な温度に保てるよう、部屋のリフォームなども必要でしょう。
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