羽毛を活かす、通気性の良い羽毛ふとん用生地

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ご存じですか?羽毛布団の快適さを決めるのは生地だと

もし、羽毛ふとんの側がビニールだったら・・・

ビニールでは通気性が全くありませんから、たとえ最高級のアイダーダウンを入れていようが、ふとんとしての機能は大きく低下してしまいます。なぜなら、羽毛は空気の入れ換えがあって始めてその良さ(温湿度の調整)が生きてくるのです。

このことは、羽毛の選定と同じぐらい、ふさわしい良質の生地を選ばなければならないことを意味しています。それでは、羽毛ふとんを活かす生地とはどのようなものでしょうか?

眠りのプロショップSawadaは次の視点から、羽毛ふとんの生地を見直してみました。すると、今までの羽毛ふとんが抱えていた問題点が浮き上がってきたのです。

ガサガサと音がせずに、しなやかに身体にフィットすること

一番大きな不満があるのが、生地の音でしょう。羽毛ふとんは羽毛の吹出しを押さえるために、ダウンプルーフという加工がなされています。これは樹脂を熱処理でコーティングするイメージですが、これにより普通の生地だとバリバリと音がしてしまうのです。

寝返りごとに音がするので、このために「羽毛は使わない」という方も少なくありません。対策は、超長綿と呼ばれるソフトで繊維長の長い、良質の綿糸から織られたものを使うことで、音の発生が低減します。糸は細いほど柔らかくなります。

低級品は40番手平織り、40/50番手ツイル織りなどがあります。
一般に使われることの多い中級品は 60番手サテン、80番手サテン で、このクラスになると音は気にならなくなります。

高級品は100番手~350番手双糸 双糸とは単糸を撚り合わせたもので350番手双糸は175番手単糸と同等です。このクラスは風合いも肌触りも抜群ですが、価格もそれなりに上がってきます。

同じ超長綿を使っても平織りにするとガサガサとした感じになりますので、日本の羽毛ふとん生地はガサガサしないサテン織(繻子織)やツイル織(綾織)が主流となります。一方ドイツなどヨーロッパでは、ダウンプルーフを強くかけないために、平織りが主流です。なぜなら平織りの方が軽量で丸洗い対応にもしやすいからです。

     

平織(バティスト)   ツイル         サテン

通気性が良いこと

これはダウンプルーフの処理と大きく関連してきます。すなわち
ダウンプルーフが弱い=通気性が良い=羽毛の吹出しが出やすくなる
ダウンプルーフが強い=通気性が悪い=羽毛の吹出しがなくなる

羽毛ふとんの歴史が浅い日本では、側地から羽毛が吹き出すことはあってはならないことでした。ほんの少しの吹出しでさえクレームがつくことが少なくなかったのです。そのために羽毛ふとん生地メーカーは、強めにダウンプルーフを掛けるようになりました。

通気性の良さは通気度(cc/s)という表示で表されます。数字が大きいほど通気性が良くなります。羽毛ふとん地流通協会基準では、綿の平織で3cc以下、朱子織で2.5cc以下、合繊で2cc以下となっています。合繊は糸断面がきれいな円をしているので、同じ通気度でも綿の平織りや朱子織よりも吹出しが多くなるためです。

しかし、実際には国産生地の場合、平織、朱子織とも2cc以下に仕上がっていることが多いのです。一方、羽毛の歴史が長いヨーロッパでは、吹出しについてもある程度は当たり前という文化のせいか、生地の通気度は比較的高めで4ccを超えるものも多いのです。ヨーロッパでは平織が多いので、通気度が甘くても問題ないという事情もあります。

昨今の各社の羽毛布団を見ていると、ほとんどがポリエステル混紡になってしまいました。ポリエステルを混紡すると、生地が軽くなり、ピーチスキン等のソフト加工で風合いも悪くありません。しかしながら、通気性が1㏄以下になってしまいます。この点が羽毛布団の快適性を損ねてしまうのです。

Q:なぜポリエステル混の羽毛布団生地が多いのか?その問題点は?
最近、羽毛布団用生地にポリエステル混が増えています・・・が使ってはいけません 4~5年前まで、羽毛布団用の生地といえば綿100%が大半でした。ポリエステル混の生地はウォッシャブルタイプの羽毛布団・羽毛肌ふとんや量販店の低級品に使われる...

軽量であること

生地が軽量であることも重要な要素です。それには2つの理由があります。

1.羽毛ふとん全体の重さを軽くすることができる。

掛ふとんは軽い方が身体への負担が少ないわけです。ところが羽毛がいくら軽いといっても、そこに使われる生地は木綿ふとんに使われる側生地よりも重いのが通常です。
手元にある側生地を測ってみました。

品番 織り方 糸番手・打込 ㎡重量 通気度 側総重量
S60 サテン 60/60 370本

約136g/㎡

1.3cc

1070g

WS8800 サテン 80/80 405本 約114g/㎡ 2.1cc

900g

S9100 100/100 350本

約85g/㎡

3.5cc

695g

TE200 110/110 351本

約75g/㎡

5.0cc

665g

TE270 120/150 380本

約69g/㎡

6.0cc

590g

AD200 サテン 120/120 485本

約94g/㎡

1.5cc

765g

最軽量のTE270と60サテンでは480gもの重量差があります。1.5倍にもなるわけです。中わたの量は、木綿わた(ポリエステル混)で3kgぐらい、羽毛で1.3kgぐらいなので中わたの重量だけ見るとずいぶん羽毛が軽いように思われますが、側地を足してみると、木綿わた770+3000=3770g、60サテン羽毛1070+1300=2370gとなりますから、軽いもののそれほどの差とはいえません。重量がある生地は湿気も吸いやすいので、その分重たくなる場合があります。

2.充填する羽毛の量を少なくなり、空気の量が増える。

例えば、60サテン羽毛ふとん側に1000gの羽毛を入れるとすると、100平織羽毛ふとん側は850gぐらいで、ほぼ同じ嵩が出ます。生地が重いと、羽毛が開くのを妨げるために余分に量が必要になるからです。となると、充填量の少ない軽い生地の方が空気の量が多い、ということです。空気の量が多いと、空気の循環が進み、湿度の調整が容易になります。逆に羽毛を詰め込みすぎると、空気の循環が滞って、蒸れやすくなります。

また、少ない量ですむということは、上の例で行けば 100平織羽毛ふとん側は総重量が800+1100=1900gとなり、20%も軽量化することになるのです。

3.生地が薄くなり、湿気がこもりにくく、暖まり方が早い。

生地が厚手になればなるほど、そこに湿気を含みやすくなります。そうすると、生地をあたためるのに体温を使われてしまいます。生地が薄い方が、羽毛に暖かさが伝わるのが早くなり、保温性もアップします。また乾燥もはやくなりますので、湿気が籠もりにくいのです。

丸洗いに対応していること

通常のダウンプルーフの生地は丸洗いができません。

この事実はあまり知られていませんが、例えば代表的な生地である蔭山のスーピマ60番手サテン品番E6060の場合、通常の通気度1.3ccに対し、1回洗濯後は3.7ccにもなってしまいます。他の代表的な生地も似たり寄ったりで3ccを超えるものがほとんどです。こうなると、丸洗い後は、羽毛の吹出しが発生するリスクがかなりあります。一方、私どもが普段使っているウォッシャブル生地WS8800は、通常の通気度も1.7ccと良い方で、1回洗濯後も2.8ccと3cc以下に収まるので、丸洗いにも対応します。

一方、440dpクラスの最高級レベルの羽毛だと3~4ccクラスの生地でも使用できますし、ステッキーダウンやアイダーダウンであれば7~8ccの生地が使えます。通気度が良ければ良いほど羽毛の特性を良く活かして快適な環境が得られるのです。

10年に1度のリフォームをする間、ふとんをまったく洗わないというのでは衛生的にも問題がありますし、特に代謝量の多い人は羽毛の汚れがかなり溜まりますので、3~5年に一度は丸洗いをした方がいいのですが、一般的なダウンプルーフ生地の羽毛ふとんだと、通気度が上がりすぎて吹出しの問題があります。このことを認識しておいたほうがいいでしょう。

一般的なウォッシャブル生地はポリエステル混で通気性が悪い

一方、ウォッシャブルの羽毛ふとんというものがあります。羽毛肌ふとんでよく見られます。たいてい綿とポリエステルの混紡であることが多いのですが、こちらは通気性が非常に悪いのが難点です。このタイプは通気度が0.7~0.8ccと非常に低いので、蒸れやすくなるので、ふとんとしてのパフォーマンスは落ちると考えた方がいいでしょう。

ノンダウンプルーフは打込みが良すぎる

ノンダウンプルーフという生地もあります。ダウンプルーフ加工をかけずに高密度で織って吹き止めをしている生地です。樹脂加工がされていないので、生地自体の吸湿性が優れています。
代表例はシキボウのMS4160ニューピストといわれる160双サテンのハイブリッド超長綿生地です。吸湿性も良いし、通気性も2ccと良好です。しかしながら高密度に織っているために133g/㎡と60サテン並の重量級になってしまうのが欠点ですね。また、ノンダウンプルーフの生地は洗濯をすればするほど通気度が低下してしまうので、湿度調整能力が下がることが問題です。

結論:どんな生地が羽毛ふとんにふさわしいか,というと・・・

柔らかくて、軽くて、通気性が良くて、丸洗いに対応した羽毛ふとん生地がベスト

その意味からは、やはりヨーロッパ産の生地の方が上手といえます。基本的に平織なので軽く仕上り、ダウンプルーフ加工もあまりかける必要は無いのでそこそこ柔らかく通気性が良いのです。

一方サテンが主流である日本の生地は、軽量化と通気性のバランスを取るのが難しいといえます。

それでは、眠りのプロショップSawadaがおすすめする生地をご紹介しましょう

オリジナル羽毛布団は楽天市場店(羽毛ふとん売場)でもお求めいただけます

眠りのプロショップSawadaのおすすめ生地

Germany Weidmann TE270 超軽量マコバティスト

超長綿  120/150番手
打込本数380 平織
重量 69g/㎡
通気度 約6.0cc 手洗い対応可
世界でも最も軽い綿100%の生地です。
69g/㎡と超軽量。通常の60サテンの半分の重量ですから、2枚重ねても軽く羽毛の良さを最大限に生かすことができます。通気度が高いために、手選別のステッキーダウンでないと吹き出しがでます

Germany Weidmann TE200 超軽量マコバティスト

超長綿 110/110番手
打込み 351本 平織
重量 75g/㎡
通気度 約5.0cc 手洗い対応可
世界でもトップレベルの超軽量生地です。国産生地だとこのクラスはポリエステルを使って実現していますが、綿100%素材でこの軽さを実現しています。
手触りも抜群で、ステッキーダウンもしくは450DP以上の最高級グースで使用ができます

インド超長綿マハール オリジナル国産超軽量100バティスト(S9100)

インドハイブリッド超長綿マハール

100/100番手 360本 平織
重量 85g/㎡
通気度 約3.5cc 丸洗い対応可

椿油保湿加工

眠りのプロショップSawadaオリジナル-国内で理想の羽毛布団側を得るために作られた特別仕様の生地です

インド超長綿100番手単糸を平織にして、カムフィット加工というソフト加工を2回行い、ダウンプルーフも控えめにかけて、最後に保湿機能のある椿油加工をしています。

元の生地が通気度1.4ccに対し、国産生地としては3.5ccという、規格上限ぎりぎりの通気度に仕上げています。

羽毛の良さを活かすためのオリジナル生地S9100
羽毛布団に最適な生地は何か・・・をずっと探求してきました 当店が羽毛布団を自社で作り始めたのは今から30年近くも前1988年の話です。当時最新型と呼ばれたR&Rシステムを導入。羽毛布団を手作りで始めました。最初に勉強したのは羽...

新疆綿 国産超長綿100ツイル・ファストロゴールド(SE100)

新疆綿ファストロゴールド
100/100番手 420本 ツイル織
重量 98g/㎡
通気度 約1.8cc 丸洗い対応可
羽毛布団リフォーム用軽量生地

S9100の生地が通気度上限ギリギリのために、リフォームにおいては原料によって吹き出しがでる可能性があるために、リフォーム用に通気性を少し抑えた国産軽量生地

価格はS9100と同じなので、新品を作る場合はS9100の方がベター

スーピマ超長綿 国産80サテン・ウォッシャブル(WS8800)

アメリカ超長綿スーピマ
80/80番手 405本 サテン織
重量 117g/㎡
通気度 約1.8cc 丸洗い対応可
アメリカのスーピマ超長綿を使った80番手のサテン生地です。超長綿の生地としては上質の一般的なスペックですが、洗濯してもとれにくい特殊なダウンプルーフ加工をしているために、ウォッシャブル対応となっています。通気性も通常のサテン生地よりは良くなっています。

丸洗い対応 と ウォッシャブルの違いについて

上記の通り一般的なダウンプルーフの生地は丸洗いすると問題があります。一方「丸洗い対応」も「ウォッシャブル」も丸洗いして大丈夫な生地ですが、「丸洗い対応」が主として羽毛ふとん丸洗いなどのサービスに対応しているのに対し、「ウォッシャブル」は家庭洗濯にも対応していることを示しています。

198、5158やS5900などの丸洗い対応でも家庭洗濯ができないわけではありませんが、ウォッシャブル表示をすると、かなり生地にストレスのある洗い方をされる場合があります。一般にはネットに入れて手洗いモードがおすすめですが、ウォッシャブル表示だとそのまま洗濯機に入れて廻すことにも対応していなければなりません。198、5158やS5900は糸が細く、生地自体も軽量なために、極端な負荷をきらいますので「丸洗い対応」としています。

オーストリア・Hefel社の工場を訪れる

2001年10月、Hefel(ヘッフェル)社の生地の工場を訪問しました。オーストリア・ブレゲンツのKauffmann(カウフマン)社のすぐ近くのある、これまた風光明媚な場所です。

現在ではHEFEL社に変わって、ドイツのWeidmann社にメーカーを変更しましたが、基本的にヨーロッパの生地は軽量で通気度が優れています


Hefel社は生地の製造の他に、羊毛やキャメルなども自社のオリジナルを始めとして、さまざまなヨーロッパのメーカーのOEMを受け持っています。

上質の生地を製造

織物工場なので、基本的にはシンプル。さまざまな種類の紡績された糸が揃っており、特に細番手高密度で軽量な生地を得意としています。2000年にヨーロッパで環境大賞を取りエコロジーな繊維として注目を集めているリヨセル(テンセル)の生地を最初に織ったのもHefel社でした。


縦糸を整形しています

ヨーロッパは広幅生地が織れるように巾広の織機が多いのが特徴です

徹底した検品と品質管理

品質管理は徹底しています。特にヨーロッパの羽毛生地は日本と違いほとんどが白の無地です。それだけに織りキズなどはわかりやすいために、光を通しながらの検品作業が行われています。
また、品質管理では生地の強度や通気度などの特性について、自社でテストをしながら、チェックする体制を整えています。


生地の通気度や強度をチェック

光を通してチェック    輸出部門のスタッフの方と