いよいよ10月。受験生にとっては正念場を迎える季節となる。「寝る間を惜しんで受験勉強をする」というのは切羽詰まるとよくある話で、思わず昔を思い出してしまうのだが、本当に効率的な勉強なのか睡眠生理の面から考えてみたい。
まず、記憶の定着には睡眠が必要であるということを最初に理解しよう。だから徹夜とか睡眠不足では、いわゆる一夜漬けとなる。夜遅くまで起きて勉強するのは、脳の疲れが蓄積しているために、脳の効率が落ち、記憶も定着しにくくなる。大事なことは毎日の睡眠のリズムを一定にすることだ。このためには夕食とお風呂に入る時間を毎日同じ時間にすることをお勧めしたい、これによって体温リズムがうまく作られるからである。睡眠時に内臓を動かしてしまう夜食はダメ、寝る前のスマホやテレビも睡眠をつかさどるメラトニンの分泌を抑制するので良くない。何より、睡眠不足は抗ストレスホルモンの分泌を減らし、体の抵抗力が下がる。毎日ちゃんと寝ておこう。肝心なその時に風邪やインフルエンザで・・・ということにならないためにも。
ヒトは午後5~8時ぐらいが最も覚醒度が高いので、この時間に集中して勉強するのが効率的だ。逆に朝の勉強は記憶の定着につながりにくいので効率的とはいいがたい。同じ理由で部活なども朝練よりも夜練の方が効果的だ。
寝具はどうするといいかというと、敷を重要視していただきたい。とにかく冷えは下から来る。二枚敷にするなど、敷の保温は万全にしておくことをおすすめである。この世代はどうしても寝具が貧弱になりがちなので、ゆくゆくは下宿など一人暮らしをするのなら、しっかりしたものを今のうちから揃えるという方法もある。結局のところ、健康であること=体が資本なのだ。健康を維持するには質の良い睡眠が欠かせない、という当たり前の事実を再確認していただきたいのである。
ねむりはかせ 沢田昌宏