
羽毛原料が高騰しています
羽毛、特に高級ラインとされるポーランドやハンガリー産の羽毛原料が高騰を続けています。
2024.9 と 2025.3 短期間で2度の値上がり
2024年9月は ポーランド産羽毛は平均20%アップ、ハンガリー産に至っては平均35%というアップ率です。
フランス産ミュラー種のホワイトダックダウンも18%アップで、ダウン率85%ダウンパワー350dpという、専門店のエントリークラスの無印羽毛でも30%ほど上がっています。
2025年3月にわずか6ヶ月で再度の値上がりです。ポーランド産が12~15%アップしました。ハンガリー産は2024.9に大幅に上がったので、3~5%アップというところです。
最高級のアイダーダウンは時価となってしまいました。取り合いになっているようで、価格がでてこないようです。
加えて、側縫製工賃や、側生地の染工所の仕上げ加工、羽毛布団袋などが値上がりいたします。
高評価をいただいている当社のオリジナル生地SB100については、今回、現ロット最後の1000mを確保いたしました。1年ぐらいは大丈夫と思います。新たに製織すると、価格が上がってしまうと聞いており、頭が痛いところです。
ちなみに現在の価格を2020年の価格と比較すると、
ポーランド産はグース430dpで200%、ハンガリー産はグース440dpで165%アップ、フランス産ダック400dpは170%アップと、この4~5年ほどでかなり値上がりしています。
原因その1:中国系資本が買いあさっている
昨年ダウンジャケットの売れ行きが良かったのか、中国の会社が、と殺場から農場まで全て高値で買いあさっている状況です。それに引きずられて、相場そのものが急騰しているということです。
1月のドイツHeimtexil見本市で、PerterKohl社の旧知のスタッフからも聞いておりましたが、その時はここまで、とは思いませんでした。比較的価格が落ち着いていたハンガリー産の上げ幅が大きいのは、ハンガリーの方が大規模農場が多いからでしょう。

原因その2:円安+物流高
このところ少し落ち着きましたが、一時は1ユーロ170円を超えるなど、まだまだ円安基調なのです。
加えて、海運がフーシ派などの攻撃があるため、スエズ運河-紅海ルートを避けて、アフリカ喜望峰周りになっているため、日数で14日ほど余分にかかり、コストが上がっています。
原因その3:食肉需要の減退に伴う、飼育数の減少
羽毛は、食肉として飼育されるグースやダックの副産物として得られます。そのため、食肉の需要が減ると飼育頭数が減る関係にあり、羽毛の需要が満たされていない状況です。
さらには品種改良等で、促成飼育がなされます。飼育期間が短くなり、羽毛にまで十分栄養が回らないままと殺されるために、羽毛の質そのものが全体的に低下している現状もあります。
眠りのプロショップSawadaの対策
2024.9 2024年内分は値上げ前に確保しました
羽毛原料については、2024年分については値上げ前の価格で確保いたしました。なんとか、年内は現行価格を維持しましたが、2025年1月から価格改定を行ないました。
絡みが強い高級品のステッキーグースですが、旧カウフマン社ルートでダウンボールが大きく、絡みの強い原料をすでに確保しており、現在の相場からいうと、かなり割安な原料です。
2025.2 5/31までは現行価格を維持します
ポーランドもハンガリーも特に410~420dpの(当社では)中堅クラスの羽毛が「適度な値ごろ感」を超えてしまいました。当面必要な羽毛は値上げ前に確保いたしますが、その量も限度があります。
2025/5/31までは現行価格を維持いたします。
その後については、できるだけ頑張りますが小幅の価格改定は避けられない見込みです。
羽毛原料が高騰すると、必ず出てくる偽物とごまかし

これだけ原料価格が上がってしまうと、価格を大幅に挙げざるを得ないのですが、値段を抑えるために偽物とごまかしが必ず出てきます。
過去にもいろいろと問題になっており、残念ながらいたちごっこのような状況です。


河田フェザーからの現況報告 2024.8
中国市場においては、昨年下期からの国内景気後退の影響により、政府の豚肉及び米の低価格維持が継続しており、グース肉及びダック肉の消費が進まず、食肉及び羽毛原料の大きな生産量の増加はありません。
一方で、昨年冬が寒かったこともありダウンジャケットの売れ行きが良かったため(特にグースダウンが人気)、原料在庫が薄く国内では強気かつ継続的な買い注文が発生しているため、今後も高価格が維持されると予想されます。
また、投機的要因や中国軍隊での羽毛製品の購入需要、農業人口の減少と生産者の高齢化なども高騰の要因となっています。
ヨーロッパ市場においては、昨年はドイツを中心にヨーロッパ全体の景気が悪く、グース及びダック肉の消費が進まず、今年まで冷凍肉の持ち越しが発生しており、そのためポーランドのグース飼育数は前年比 10〜20%減産となっています。
一方で、中国企業がヨーロッパ各国で(ウクライナ、ロシアを含む)屠畜場及び農場までにも直接アプローチを行い、前払いや現金払いで買付を行なうなど購買力が強く、ダウンだけでなくフェザーやファイバー、選別カスやゴミまで全て購入していくため、自国の業者も手に入れられないような状況となっており、年度末まで売り切れの原料商も多く、価格は中国に引きずられ、今までにないぐらい大きく上昇しています。
全体的に相場は上がり傾向にあり、特にグースは需要が増えているのに飼育数が減少していることもあり上昇が続いています。
羽毛市場にとっては、中国の影響により大きく相場は上昇している状況であり、昨年から見ると円安による影響もあり価格は高騰しています。
今後は、人件費・飼育コスト・輸送コストの上昇など、また為替がどうなるかなど、まだまだ厳しい状況が続きますが、また中国では最近以前よりも巧妙にいろいろな混ぜ物(クラッシュフェザーやファイバーなど)をして、誤魔化しをしているところも出てきているので、十分注意が必要になります。