エァーウィーブやブレスエアーなど、いわゆる網状立方体の素材を使ったマットレスについて「どうなんでしょうか?」という質問をお客様から受けることが多いので、眠りのプロショップSawadaなりの判断をお伝えしたいと思います。
長所:通気性がある 短所:保温性がない・硬すぎる
長所は中のほとんどが空気で通気性に優れているので、湿気がこもりにくいということです。一方、通気性が良いという反面、保温性は期待できません。正直、「冬暖かくて、夏涼しい」ことはありません。空気が多いので熱が逃げやすく、単独で使うと保温性は期待できません。もちろんわた入りでキルティングをした側を使えば、ある程度の保温性は得られます。当然ながらその場合は通気性が低下してしまいます。
素材によってさまざまな硬さの中材がありますが、このタイプのマットレスは表面が硬すぎることが多く、体圧分散的にはおすすめではありません。やっかいなのは素材がへたりやすい(下参照)ために、硬い部分とへたって柔らかい部分が同居します。
湿気を循環させるという仕組みを作ること
結論からいうと単独では使わないことです。さまざまな素材と組み合わせて使えば、快適な寝床内温湿度である温度33℃湿度50%を実現することはできます。
羊毛敷布団と組み合わせると効果がある
冬冷えた床の近くで4~5㎝程度の網状体マットレスだけを使うとします。熱は逃げやすく、身体から発散された水蒸気は結露しやすくなります。
おすすめは、上層に羊毛敷布団、下層に網状体マットレスという使い方です。身体に近いところは、羊毛などの素材で汗を受け止めて発散させ、保温性も確保するメカニズムにした方がいいのです。
厚手(シングルで3kgクラス)の羊毛敷布団を組み合わせることで、表面の硬さが低減されて体圧分散が良くなり、温湿度調節と身体の支えや寝心地のバランスが取れるのです。
特にフローリングではカビに有効
フローリングの床にマットレスを敷きっぱなしでカビが生えた、という話はそこら中にあります。残念ながら、身体から発散される湿気をどのように逃がすかという考え方が少ないからで、特にウレタンマットレスをフローリングで使うとカビのリスクが非常に高いため、結果として酷い状態になることが多いのです。
エァーウィーブやブレスエアーなどの網状立方体の素材は通気性が良いので、カビのリスクが下がります。・・・といっても、そのままではカビが生えるのが遅くなるという程度で、カビを防ぐというレベルではありません。丸洗いが簡単なので、その面ではメリットが大きいと思います。
既存のマットレスの上に使うのは問題あり
既存のマットレスの上にオーバーレイ(トップマットレス)としてこれらの網状素材をそのまま使うという提案もなされていますが、よほどの暑がりの方はともかく、一般的には睡眠環境上問題があると云わざるをえません。
特に元々のマットレスがヘタっている場合は、寝姿勢の保持という点でも問題となります。
一番の弱みは耐久性。へたりやすい素材
同じ網状素材でもエアウィーブ(E-CORE等も基本的には同じ)のようなポリエチレン系素材のタイプは耐久性に問題があるというレポートが上がっています。
熱に弱いといわれていています。最近のは改良されたようですが、基本的に熱で変形しやすい素材と考えてください。
これはブレスエアーとポリエチレン網状体との比較ですが、ポリエチレン網状体にはかなり厳しい結果となっています。
ところが、そのブレスエアーでもへたる
実際に使ってみると、良いといわれるブレスエアーでもへたりが気になります。変形が大きいような使い方をすると、腰砕けになりやすいのです。この点がウレタンに対して劣る点でしょう。
3レイヤーマットレスⅣは、素材を組み合わせて解決をはかる
網状立方体の良さを活かすには、できるだけ変形を少なくすることが求められます。
そこで当店オリジナルの3レイヤーマットレスⅣでは最上層に、正反発タイプのラテックスシートを用い、その下にソフト固わた2枚、一番下に旭化成のフュージョンを組み合わせることで、通気性と耐久性と寝心地のバランスを図っています。
裏返して使うとフュージョン面が上に来ますので、通気性が良くなります。3層の重ね順はお好みで変えることができます。
もちろん、それでも長期使用では部分的にへたりがでてきますので、三つ折りにしてパーツのローテーションや交換を可能にしています。
ヒトが触れるところは天然素材のウールが一番
そしてヒトが触れるところには吸湿発散性の良い羊毛(ウール)が一番です。古代からずっと、そして今でも使われているのはヒトの体にストレスが少なく快適な素材だからです。
結論:素材だけ、単独だけで判断しない
これらの網状素材は長所と短所があります。人に合わせてうまく使い分けができるなら問題はないのです。単純に「○○は良いですか?」と云われると困るのです。上記の経緯からもポリエチレン系網状体は避けた方がいいでしょう。少なくとも三つ折り可能で中身素材のローテーションができるものを選ぶべきです。一枚ものでは数年で失望を生む可能性が高いと思います。
敷寝具に必要な仕組みを理解しましょう
リクツは基本同じですが、フローリングや畳用は条件が増えます。