高級品として超長綿60番手サテン生地は販売されているが・・・
布団に使われる生地のグレードを現す指標に「番手」というものがあります。この数が大きいほど、細くなり高級品となります。羽毛布団の生地は今日ではポリエステルやポリエステル混の生地が多くなってしまいましたが、綿100%の生地の場合、安いものは40番手や50番手、一般的には60番手の生地だと、超長綿(繊維長が長い上質の綿)として高級品扱いされています。
番手についてはこちらを参照ください
眠りのプロショップSawadaは80番手以上が基本
当店、眠りのプロショップSawadaでは羽毛布団には綿100%の生地のみ使用します。
しかも定番品は ①TE270 120/150番手 ②TE200 110番手 ③SE1014 100/140番手 ④SB100 100番手 ⑤TE135G/SB80/WS8800 80番手 と、一般的にはさらに高級とされる80番手をベーシックなグレードとしています。
かつては60番手サテンを標準に使っていた
かつて、今から20年ぐらい前は私の店も60番手サテンが中心でした。高級品として80番手や100番手、さらに高級品として160番手双糸(80番手相当)、200番手双糸(100番手相当)のサテン生地を使っていました。当時(今も)の業界の常識がそうだったからです。安物は40番手230本打込みの平織生地でした。
ところが、60番手サテンは結構生地が重い
ところが羽毛布団の機能的な良さを追求していくと「60番手サテンでは生地が重い」というデメリットが目についてきました。現在ベーシックグレードの80番手平織生地SB8080の生地重量は94g/㎡で通気度が2.6cc。一方60番手サテンは136g/㎡ 通気度1.6ccです。側生地にすると775gと1070g 300gも重くなります。
中厚掛布団と肌掛布団をセットにして「オールシーズン使えますよ」とおすすめするケースが多いのですが、60番手サテンの中厚と肌掛を2枚重ねるとかなり重く感じてしまいます。これでは羽毛布団の良さ「軽くて暖かい」からかけ離れてしまいます。
最大の問題点:超長綿60番手サテンは、湿気を含みすぎる
生地が重いほど、多くの湿気を含みます。もちろん、湿気を吸うことはポリエステルにない長所な訳ですが、そのままの状態で入眠すると「側生地の湿気を逃がすために体温が使われる」という事態になります。つまり、暖まるのに時間がかかるのです。
通気性もポリエステルよりは格段に良いとはいえ、1.6ccとそれほど良いとはいえません。
60番手サテンを使わなくなった理由(わけ)
快眠の機能を追求していくと60番手サテンでは力不足
快眠のために最適な機能を追求していくと、羽毛布団で60番手サテンは生地が重い、通気性が今一つという問題点が顕在化してきました。
リフォームに持ち込まれる60番手サテンの羽毛布団はどことなく湿気ているのです。(干しておられないご家庭が多いということも原因の1つですが・・・)
60番手サテンと80番手平織なら価格はほとんど変わらない
60番手サテンと80番手サテン(114g/㎡ 通気度1.7cc)だと、もちろん80番手サテンの方が機能的にも風合いも上ですが、価格もそれなりに高くなります。一方60番手サテンと80番手平織を比べると、価格の差があまりありません。であれば60番手サテンを採用する意味がなくなるのです。
眠りのプロショップSawadaの定番ベーシックグレードは80番手平織
これだけ優劣がはっきりしてしまうと、60番手サテンを選ぶ理由が全くありません。もちろんサテン織りの方が平織より柔らかい風合いというメリットはありますが、そうであれば80番手サテンにした方が格段に風合いは向上します。
要注意:この話は国産生地の場合です
眠りのプロショップSawadaでは、使用する羽毛布団側は、基本的に国産生地(国内で仕上げをしているもの)で国内縫製です。市場に出回っているのは、ほとんどが中国製なので、全く同じ状態とはいえません。織りが甘いのか60番手サテンでも結構軽い生地もあるからです。
ただ、中国縫製側に見られる独特の臭いが我慢ができず、縫製も結構いい加減なものも多いので、国産だけにしています。ご参考までに。