眠りのプロショップSawadaは30年近くに渡ってウッドスプリングをおすすめしてきました。あらゆる品がそうですが、メリットもあればデメリットもあります。また、ウッドスプリングと一括りにしてしまうのは問題で、さまざまなバリエーションがあります。
ウッドスプリングに興味があるが、不安もあるという方、じっくりとお読みいただいて、その長所と短所を理解していただければと思います。
結論:ウッドスプリングを使った方が、寝心地と睡眠の改善につながる
ウッドスプリングを使わない(例えばすのこベッドにマットレスを載せる)よりも、ウッドスプリングとマットレスを組み合わせた方が、寝心地と耐久性の改善が望めます。
もちろん一口にウッドスプリングといっても色々な種類があり、組み合わせるマットレスによってはその性能を活かせないこともありますので、ウッドスプリングの種類と機能を十分に理解して選ぶことが大切です。
ウッドスプリングは大きく3種類に分けられる
ウッドスプリングはもともとがヨーロッパ由来ですが、ヨーロッパにはさまざまなウッドスプリングがあります。大きく3種類に分けられることでしょう。
一方、日本でポピュラーな金属スプリングのマットレスは、かつては厚みが18~20cmぐらいのものが主流でしたが、寝心地を追求するために、さまざまな層を重ねることで厚みが増え、重くなってきています。重くて嵩があると、マットレスをローテーションするのに労力を払う必要があり、手入れや取扱いが煩雑になります。
ウッドスプリングのマットレスシステムであれば、同じような機能をもっとシンプルに実現でき、しかもメンテナンスが容易となります。
A:スラット(板)を両端で支えるウッドスプリング
ヨーロッパでは一般的に普及している、しなりのあるスラット(板)を使ったウッドスプリングです。価格は比較的安価です。
スラット(板)に使われるのは、積層した合板で少し上に反っています。これを両端のエラストマーと呼ばれる、可動性のあるユニットで支えるタイプです。
ヨーロッパでは広く普及していて、日本でもさまざまなメーカーの品が輸入されています。
メリット:肩の部分は柔らかめに、腰の部分は硬さを調節できる
上図のように、肩の部分はスリットが入っていて、横向き寝時に方の出っ張りを受け止めるように柔らかく仕上がっています。
一方腰の部分はグリーンのスライダーを外側にすると硬く、内側にすると柔らかくなり、寝姿勢に合わせて、硬さを調節できます。
ウッドスプリングの種類によっては、硬さの調節機能がないスラットだけのものもあります。
デメリット:耐久性は期待できない、特に子育て世代にはおすすめできない
デメリットは耐久性です。両サイドのみで支える構造になっているため、長く使っているとスラット中央部のしなりがなくなり、逆に反ったりします。また、両端を支えるエラストマーが劣化してスラットが外れるなど、寝心地を大きく損ねることがあります。
このタイプのウッドスプリングは7~8年で交換するのがベストぐらいに考えてください。
新婚家庭や小さなお子様がいらっしゃる家庭にはおすすめできません。ダメといっても、小さなお子様は必ずベッドでトランポリンをしてしまいますが、中央部に非常なストレスがかかり、板が破損する原因にもなります。破損しなくても劣化が急激に進むため、本来の機能が生かせなくなります。
スラット(板)の品質もさまざまです。ずいぶん前になりますが、ドイツの展示会で「安い!」と思って輸入したイタリア製のウッドスプリングは板の仕上がりが不均一で耐久性が不十分でした。全てといいませんが、ドイツ系のメーカーのウッドスプリングの方が品質が安定しているように思われます。
マットレスは15cm以上の厚さを推奨
中央部への荷重がかかるために、薄手(10cm以下)のマットレスは避けた方が無難です。ある程度マットレスで体圧を受け止めることができるように、15cm以上のマットレスをおすすめします。一方30cm以上などの厚すぎるマットレスや、多層構造になったポケットコイルのようなマットレスは、ウッドスプリングの調整機能が活かされにくくなります。
ジェルトロンマットレスにはこのタイプがいいでしょう。通気性があり、ある程度クッション性も期待できます。同様に、ウレタン100%の15cm厚以上のマットレスは通気性を確保して、カビ発生リスクを下げるためにも、このタイプのウッドスプリングをおすすめします。
B:スラットを両端と中央部で支えるウッドスプリング
スラット(板を)両端だけでなく、中央部でも支える構造になっているウッドスプリングです。ドイツやオーストリアのメーカーが多く、ブナの板にラテックスフォームを使ったサスペンションで支えます。オーストリアRELAX社のナチュールフレックス、ビラベック社のミルフィエレメントが代表例で、ヒュスラーネストのリフォーマエレメントもこのくくりに入ります。
メリット:硬さの調節幅が大きい、長く使えて環境にやさしい
製品によって異なりますが、上図(Relax社ナチュールフレックス・ウッドスプリング)のように、板の厚さやサスペンションの巾を調節することができ、A:タイプのウッドスプリングよりも硬さの調整幅が大きいのが特徴です。眠りのプロショップSawadaはこのタイプのウッドスプリングを推奨しています。
両端だけでなく中央部でも板を支える仕組みになっているので、長持ちするのも特徴です。通常使用であれば15年ぐらい使えるものも少なくありません。マットレスを上に置いて使う限りは、お子さんが軽く跳ねるぐらいは比較的に安心して使えます。もっとも、どんなマットレスであっても、マットレスを使ったトランポリンは厳禁ですが。
へたってきても、サスペンションの中に入っているラテックスフォームを交換すれば新品と同じ寝心地に戻ります。スラット(板)は裏返ししたり、新品に交換することで寿命をさらに伸ばすことができます。
ほとんどが天然素材でできているので、廃棄時にゴミが少ないのも特徴です。SDGs向けといえるでしょう。
ボディドクターやSamina等、一部の製品では硬さの調節ができないものもありますので、購入時にチェックしましょう。
組み合わせるマットレスは厚さ7~12cmぐらいがベスト
組み合わせるマットレスはラテックスフォームがベストで。中のフォームが7cm~12cmぐらいの厚さのものがバランスが優れています。ラテックスマットレスは重いのが難点ですが、10cm厚前後であれば、ローテーション等のメンテナンスも楽になります。
Airやムアツふとんなどのウレタンフォーム系のマットレスとも組み合わせが可能ですが、ラテックスマットレスに比べると、高反発系のマットレスは跳ねる感じが強くなります。最初からマットレスとウッドスプリングを一緒に購入される場合はラテックスマットレスをおすすめします。ウレタン系の場合はカビに要注意しましょう。必ず吸湿シートと組み合わせてください。
デメリット:A:に比べて価格が高い
A:のウッドスプリングに比べると機能が高く、長持ちする分高価です。その反面、A:のように厚手のマットレスを用意する必要がないので、メンテナンスが容易です。
ウッドスプリングとマットレスの合計価格と長持ち度で検討されるのがいいでしょう。眠りのプロショップSawadaはこのタイプのマットレスシステムをおすすめしています。
C:スラットを使わず、点で支えるウッドスプリング
Relax2000ウッドスプリングに代表されるように、スラット(板)を使わず円盤などで、それぞれの場所を独立して支えることができるウッドスプリングです。ウッドではなくプラスティック製ですが、Flori社のポイントサポートベッドも同様の機能を持ちます。
メリット:左右どの位置でも硬さが一定になり、横向き寝はさらに楽
金属スプリングマットレスのポケットコイルに相当するのが、このタイプのウッドスプリングですが、種類はあまり多くありません。スラット(板)タイプに比べて、独立して支えるので中央でも両端でも硬さが一定にできるのが大きなメリットです。
スラットタイプよりも、上下のストローク巾が大きいので、特に横向き寝に向きます。
デメリット:B:よりもさらに高価
独立構造の分、パーツの量が増え高価となります。ポイントサポートベッドは単独でベッドとして使えるため、比較的にリーズナブル価格(151,800円)となります。
マットレスは10cm以上を推奨
支えるユニットが独立している分、8cm厚クラスのマットレスだと場所によって不自然にへこみます。中のフォームの厚さが10~12cmぐらいがおすすめです。15cmを超えるとウッドスプリングの機能が活かされません。
可動領域が大きいので、ウレタンのマットレスは合わないでしょう。ラテックスマットレスをおすすめします。
厚手の金属コイルスプリングを検討するなら、コンパクトで機能的に優れたウッドスプリングがおすすめ
高級マットレスメーカーには金属コイルスプリングでやたらに厚みのあるマットレスが多くあります。RELAX2000のようなウッドスプリングを使えば、もっとコンパクトで、しかも天然素材がほとんどなので、環境負荷が少なくなります。
注意:ウッドスプリングの上に敷布団・・・は止めておくべし
ウッドスプリングを検討されているお客様の中で、「ウッドスプリングの上に敷布団は使えますか?」という質問が多いのですが、基本的におすすめできません。ウッドスプリングはその上に使うマットレスとの組み合わせで、その性能を発揮します。いくらウッドスプリングが良いといっても、単独での導入は避けるべきです。
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