MENU

極上の羽毛 カウフマン社のメッセスペシャル

Logo-Kauffmann

目次

おことわり:カウフマン社の羽毛の取扱いを終了しました

2019年にスリープウェル・カウフマン社はオーストリア・ブレゲンツにある羽毛工場を売却しました。自らが羽毛を洗浄し選別することができなくなりました。

長年お付き合いをしてきた会社ですが、極めて残念な結果となりました。2020年のハイムテキスタイルにも羽毛が出展されていましたが、あまり魅力を感じませんでした。

従いまして、今後カウフマン社の羽毛は取扱いを中止いたします。代わりに幾つかの会社を当たりましたが、展示羽毛と実際に入荷した羽毛の品質に違いがあったりと、問題もおこりました。その意味で安心ができるANIMEX社やPeterKohl社など上質な羽毛を扱うメーカーへの切り替えを行なっています。

以下の記事については、過去の記録としてご一読ください

極上の羽毛 カウフマン社のメッセスペシャル羽毛

それは衝撃ともいえる出会いだった

もう20年近く前のこと、「どこかに本当に良い羽毛ってないでしょうか?」 とあるヨーロッパから寝具を輸入している小さな商社の人に聞いたら、カウフマン社を紹介していただきました。サンプルを見てびっくりしました。当時のポメラニアングースのサンプルが今も残っています。ダウンボールの大きさ、絡み合いの強さ、どれをとってもいままで見たダウンとは格別のものでした。

しかし、価格も格別。当時はユーロ導入前で1DM(ドイツマルク)が60円ぐらいだったと思いますが、それでも、その当時の最高級であるホワイトグースダウンより倍以上高かったのです。(その後、ユーロ導入+ユーロ高が続き、現在では3倍近い価格になっています)

従って、羽毛ふとんにした時の販売価格も従来のものより倍以上高いものになってしまいました。当初は最高級品として、ほそぼそと販売していたのです。
「やはり、本場に行って現状を見てみなければ・・・」
そうして、1月にフランクフルトで開催されるヨーロッパ最大の寝具インテリア見本市であるハイムテキスタイル見本市へ向かったのです。

カウフマン社のメッセスペシャル羽毛

1月早々のヨーロッパは高緯度のために、4時ともなれば暗くなってしまいます。展示会場というと日本では東京ビッグサイトが有名ですが、ヨーロッパの展示会場はとにかく広い。そこで出会ったのが、カウフマン社のメッセスペシャル羽毛でした。

DSC00639  messe2012
1月の展示会には、前年の秋に採れた良質な羽毛が展示されます。非常に良い羽毛だけれども、採れる量に限りがある。そんな羽毛は「メッセ・スペシャル」ということで、展示会の限られたお客だけに販売されます。量は少ないと100kg、多くても500kgぐらいしかありませんし、毎年産出量も変動があり、同じように入手することが難しい羽毛もいろいろあります。ただ、はっきりしているのはカウフマン社の高級品の顔ともいえる、極めて良質な羽毛だということです。

100kgということは、1枚1kg入れるとして100枚分しかないということです。あの世界最高級の羽毛であるアイスランド・アイダーダックが年間2000kg程度からしても、まだ少量です。・・・ということは大手のメーカーは決して手を出さない分野です。大手だとカタログ作ったり販促企画をやったりする以上は最低でも1000枚分は必要だからです。ところが私のような中小小売店なら、年間必要なのは20~50kgぐらい。これならぴったりです。

メッセスペシャルはほとんどが、手選別で絡みの非常に強いステッキータイプのダウンです。逆に言えば、そのような手間がかかり、保温性が高い良質の羽毛だからこそ、数百㎏しか採れないのでしょう。

ただ、今後はますます厳しい状況になってくることが予想されます。鳥インフルエンザは良い羽毛を取る条件である、屋外飼育を難しくしています。ポーランドやハンガリーはユーロ加入により、飼料価格やプラッキング手間賃などが高騰しています。基本的に経済が発展してくると、物価が上がり、のんびり行っていた個人農場が少なくなって統合化が行われ、大規模農場は規模拡大をめざして大量飼育型へ転換することが多いために、個人農場でじっくりと飼育することが難しくなるためです。

2013年ぐらいから、ハンドプラッキングが全面禁止となりました。途中での採取ができなくなったために、長期飼育のコストが急増しています。さらに、大型のガチョウの需要が減っていることもあり価格は一気に高騰しました。値段は上がって、品質は低下するという状況がこの数年続いており、良質の羽毛を手に入れる条件はますます厳しくなっています。

このような状況下ですが、眠りのプロショップSawadaは毎年1月にドイツへ行って、その年の良質のダウンを見分けて仕入を行っています。

 

ポーランド・ベスト・オブ・ポメラニアン ステッキーホワイトグース ダウン95%(BPST95)2018

ポーランドグースではトップレベルの原料です。

絡みが強くパワーのあるダウンボールです。

ポーランド・ポメラニアン ステッキーホワイトグース ダウン95%(PMST95)-2017

 

2017年のハイムテキスタイル見本市で、最も質の高い羽毛です。ポーランドにはポメラニアとマズールという2大産地がありますが、ポメラニアのジャイアントグースから採られる絡みの強いダウンです。2016よりも絡みが強い良質なダウンです

ベストオブ・ポメラニアンに比べるとダウンパワーは少し劣ります

カウフマン社の工場を訪れる

2001年10月といえば、例のツインタワーのテロの後。「本当に行くの?」といわれながら、一路ヨーロッパへ。カウフマン社の工場はドイツ・スイス・オーストリアの国境にある琵琶湖とほぼ同じぐらいのボーデン湖畔にああります。チロル地方と呼ばれる風光明媚で非常に美しいところですね。工場のあるオーストリアのブレゲンツには、チューリッヒから電車で1時間半というところです。前年にできたばかりの新工場を訪れました。

迎えていただいたのは、カウフマン社社長のジークフリード・ボーラー氏(当時) 世界羽毛協会の会長もなさっている実力者です。とにかく美しい、素晴らしいとしか形容のしようがない景色をバックに、美しい工場がそこにありました。

羽毛工場の基本はどこも似たり寄ったりです。原料置き場-羽毛洗浄・乾燥工程-選別工程-除塵工程と続きます。機械はL.H.Lorch社製で定番中の定番メーカーです。

kauffmann_factory1

原料にニオイがない

原料置き場に案内された感じたのが、ニオイが少ないということでした。訳を聞いて納得。ヨーロッパで採取され、コンテナに詰められて1~2ヶ月かかって日本へ着くのに比べると、採取から工場までのスピードが速いわけです。しかも、この後ハンガリーの農場を見て納得できましたが、良い羽毛は汚れの少ない良い環境で育てられているので、もともと羽毛に着いている汚れが少ないのです。

徹底した除塵工程

洗浄・乾燥された羽毛はソーターと呼ばれる大きなチェンバー(箱)からなる選別機に通されます。原理は羽毛を空気で送ると、軽いダウンが高く舞い上がり、重いフェザーは舞い上がらず沈むとことを利用して、ダウンとフェザーを分別するのです。この工程は何回も繰り返されて、最終的に適度にミックスされて出荷する羽毛となります。
他の工場に比べて特徴的なのは、分別工程の途中で何度も除塵がおこなわれるということです。それがために、カウフマン社のダウンはホコリが少ないのです。

できるだけ羽毛を痛めない充填工程

印象的だったのはアイダーダウンの充填工程です。アイダーダウンは絡みが極めて強いために、通常の吹き込み機を使うとダウンを痛めてしまいます。そこでカウフマン社が行っているのが手入れです。
アイダーダウンは1マス分ずつ軽量されて、円筒形の中に入ります。これを使って、一マスずつ手によって羽毛を入れていくのです。手間はかかりますが、完璧を期すカウフマン社らしいやり方です

 

  

  

 

残念なことに工場売却

ところが2019年、カウフマン社はこのボーデン湖にある素晴らしい工場を売却してしまいました。残念ながら従来通りのクオリティのダウンが手に入るかは、かなり???となっていて、2020年以降は仕入れは行なっておりません。結局取扱いを終了しました。

無料WEB快眠カウンセリングはこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次