まくらだけで、眠りは改善しない
テレビやメディアのせいでしょうか? まくらに関心が高まることは良いことなのですが、今なお、「眠りを良くしたいので、まくらを買いに来ました」というお客様が絶えません。しかしながらまくらは、快適な睡眠環境を作るための、1つのパーツにしかすぎません。まくらだけで、睡眠が改善することはないといえるのです。
オーダーシステムでオリジナルまくらを作る仕組みができて30年ほどになります。この間、さまざまなまくらが生まれました。その多くは、今日消え去っていますが、この30年間にまくらが進化したことは間違いありません。とんでもないまくらは市場から姿を消したのです。
しかし、じっくりお話しを聞いてカウンセリングをすると、まくら以外の問題点が多く出てきます。その場合は、基本的な考え方をお伝えして、「とりあえず、まくらに頼るのはやめましょう」とお帰りいただくことが多いのです。
例1:へたった薄い敷布団に、高価なオーダーまくらを使う
残念ながら、このようなお客様は少なからずいらっしゃいます。大変失礼ながら、5,000~6,000円程度の量販店の敷布団に、20,000円以上のまくらを組み合わせてらっしゃる方が意外に多いこと多いこと。あるいは、15~20年以上使ってへたっている敷布団やマットレス、ベッドのお客様もしかり。
まくらは敷寝具の一部ですから、背骨全体をストレスなく支える敷寝具と、それに合わせた枕をうまく組み合わせることが大切なのです。まず、敷寝具をちゃんと見直して、それからまくら選びをしましょう。全体重を支える敷寝具は10年で見直し・買い替えが必要です。
例2:軽い睡眠時無呼吸症候群、だけど仰向け寝のまくらを選ぶ
軽度の睡眠時無呼吸症候群の場合は、横向き寝をすることで気道閉塞1/8になるという睡眠学会での報告がなされています。横向き寝専用まくらというのもありますが、基本は横向き寝時に背骨が真っ直ぐになり、肩の圧迫を減らすような敷寝具選びが第一です。
やはりこの場合も敷寝具の見直しが優先課題となります。
例3:暑がりなのに低反発ウレタンのまくらを使う
頸椎に負担が少ないということから、低反発ウレタンのまくらが多く販売されています。しかしながら、低反発ウレタンは身体に密着して、隙間がなくなる一方で、吸湿発散性の悪い素材です。つまり、蒸れやすい素材なので、中途覚醒に繋がりやすいのです。高さや風合いも大事ですが、体質に合わせた素材選びが重要です。多くの合成繊維の寝具は、汗を十分に吸って発散することが苦手です。
快適な睡眠のための温湿度は、温度33℃湿度50%です。素早く汗を吸って放出する、これによって湿度を快適に保つことが何より求められるのです。
カウンセリングで快適な眠りを妨げる原因を確かめよう
いままで多くのお客様と面談し、カウンセリングを行なってきました。睡眠改善を突き詰めれば、突き詰めるほど、まくらの重要度は下がってきます。問題の多くは敷寝具に集中しており、加えて、睡眠時の温湿度調整がうまく行っていないケースがほとんどです。
「まくらだけで眠りが改善することは少ない」
これが長年の取組の、いわば結論めいたものですね。まずは快眠カウンセリングから