ドイツ製などヨーロッパ製の羽毛布団のリフォーム(仕立て直し)

スイス・ビラベック Dauny ドイツ・ハイムテキスタイル見本市にて

ドイツ製などヨーロッパ製の羽毛布団をリフォーム(仕立て直し)する場合には、通常のリフォームとは異なる注意点がいくつかあります。よく考えないで、普通のリフォーム加工をしてしまうと、似て非なる羽毛布団に仕立てられてしまうからです。

ヨーロッパ製といっても2種類あります

一つは海外で直接購入された場合、もう一つは日本向けに製造された外国製(主にヨーロッパ)である場合です。私どもへ持ち込まれるヨーロッパ製羽毛布団の大半は後者で、特にIDC大塚家具さんの輸入羽毛布団「ダウナ」が特に多いです。ヨーロッパでも最高レベルの羽毛を使っているカウフマン社の羽毛布団も多く持ち込まれます。

海外で購入された羽毛布団のグレードはあまり高くないことが多い

一方で「本場ドイツで購入してきたので」と持ち込まれる羽毛布団があります。残念ながら中を開けてみると、羽毛の品質が十分でないことが多いのです。かつてはドイツの羽毛規格(RAL)は厳しく、日本の羽毛業界はそれを目指していましたが、今日では日本のほうが規格が厳しいといえるでしょう。向こうのデパートなどではダウン100%という表示がありますが、日本ではダウン90%ぐらいのものがほとんどです。清浄度にしても、日本のほうがちゃんと洗ったものが多いです。

あとアメリカやカナダなどの北米製はFTC規格が用いられることが多くダウン率等も甘い表示が多く、過去の経験からみても、あまり良いものに出会ったことがありません。

今日ではダウンの品質表示はIDFLなどの組織によって共通化されていますが、実際のところは国によって微妙に異なります。

日本向け仕様のヨーロッパ製は品質が良い

逆に、日本の規格でヨーロッパのメーカーに作らせている場合があります。代表的なのは大塚家具さんのダウナ羽毛布団ですが、この場合は日本の高級品、あるいはそれ以上の羽毛を入れる場合がほとんどです。基本的には十分リフォームが可能です。

ヨーロッパ製羽毛布団の一番の違いは生地

スイス・ビラベック Dauny

ヨーロッパの生地は軽い

リフォームをするうえで最も気を付けなければならないのは、生地の質です。ヨーロッパの羽毛布団の生地はほとんどが綿100%で平織で軽いのです。通常90~100g/㎡のものが多く、中には69g/㎡という非常に軽量なものもあります。一方、日本の生地は綿100%でもサテン(朱子織)が多く、平織に比べ生地が重くなります。平均的な60サテンの重量は136~140g/㎡、高級とされる80サテンでも114g/㎡です。

ヨーロッパの生地は通気性が良い

生地の通気性も大きく変わります。ヨーロッパの生地は伝統的に通気度が比較的高いために、空気の還流がうまくいきます。これは、少々羽毛が出ても気にしないという歴史的な伝統と、平織は吹き出しにくいためです。

一方日本では生地から羽毛が出てくると即クレームになることが多かったために、羽毛の吹き出しをきらうため、通気性をあまり重視してきませんでした。こういったサテンの生地でリフォームをしてしまうと、最初にあった生地の軽さや通気性が損なわれてしまうのです。

ましてや、昨今多く出回っているポリエステル混の生地を使うと、まったく風合いが異なってしまいます。

ヨーロッパの生地は日本の規格に合わないものが多い

日本にはふとん地流通協会(JFSA)という協会があり、羽毛布団生地の規格を作っています。ところが、ヨーロッパの生地はこの規格に合わないものが多いです。最も顕著なのが通気度で日本の場合は平織でも3.5cc以下にすることが求められていますが、ヨーロッパはそれ以上のものが少なくありません。国内のメーカーさんに聞くと引裂強度なども、合わないことが多いそうです。

ちなみに私どものオリジナル生地S9100は日本の規格の上限である通気度3.5ccを目標に仕上げています。(ロットによって微妙にばらつきがでます)

ふとん地流通協会品質基準(PDF)

ヨーロッパ製羽毛布団の良さを損ねないリフォームの方法

これらのヨーロッパ製羽毛布団の良さを活かしてリフォームするには、軽量で通気性の良い綿100%の生地を使うことが大切です。眠りのプロショップSawadaでは、これらに対応した生地を用意しています。

生地の種類生地重量生地通気度
TE27069g/㎡6.0cc/sドイツ製
TE20075g/㎡5.0cc/sドイツ製
S910085g/㎡3.5㏄/s国産 当社オリジナル
SB808094g/㎡2.6cc/s国産 当社オリジナル
WS8800114g/㎡1.7cc/s国産
60サテン136g/㎡1.3cc/s国産、中国製
ポリエステル混生地90g~100g/㎡0.7~1.0cc/s中国製がほとんど

通気度の高すぎる生地は避ける

通気性が良いといっても、通気度の高い生地を使うとダウンファイバーなどの羽毛ゴミやネックフェザーなど小さな小羽根が吹き出しやすくなります。一般的には2.5㏄以下の生地を使うのが無難です。TE270,TE200,S9100 いずれも快適な生地ですが、ごみの少ない良質な羽毛を使う必要があります。

ダウンがしっかりして、良質な場合は100番手S9100(通気度3.5cc)ぐらいがいいでしょう。ちょっとファイバーが多い場合は80番手平織のK9800で、これも通気度2.1ccとバランスが取れていますが、少し生地が固くなります。

まずはご相談ください

どうしたらいいのか迷ってしまった場合は、まずメール info3@sleep-natura.jp へご相談ください。

一般的な手順としては以下の通りです

①お手持ちの羽毛布団を当店へ送付する(このとき、ぎゅうぎゅうに圧縮していただいてかまいません・・・昨今運賃が高いので)

②羽毛布団の中から、羽毛を取り出して判断を行います。それとともに、何種類かの提案をメールでさせていただきます。(このように羽毛の状態画像をお送りしますので、メールにてやりとりを願います)

③ご決定となれば、決済後にリフォームにとりかかります。すでに側生地の縫い上りがあるもの(比較的多く出るものは在庫があります)でしたら、1週間~10日ほど、側縫製が必要なものはさらに10~14日ほど必要です。送料はリフォーム代に込んでいます(沖縄・離島はご相談ください)

④もしリフォーム不要であれば、羽毛を取り出した部分を閉じて、着払いにて返送いたします。ご不要の場合は処分いたします。もし、羽毛布団の状態がグリーンダウンプロジェクトを満たす場合、お買い上げ額から1000円下取りいたします。

羽毛布団のリフォーム専門サイトを作りました。

ドイツLorch社製の羽毛リフレッシュマシンを始め、除塵機やサイクロン充填機など日本随一の設備を店頭に備えています。7000枚以上仕上げてきた羽毛布団のプロで上級睡眠健康指導士である店主が、カウンセリングによって、一人一人使う方の睡眠が改善するように、解体から仕上げまで一貫してこだわりながら、最適な厚みに仕上げる羽毛布...

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ねむりはかせの紹介

この記事は店主である「ねむりはかせ」が執筆しました。

快眠寝具の探求者。快適な睡眠を実現するための寝具を研究し実践をつづける通称「ねむりはかせ」で眠りのプロショップSawada店主。133年続く老舗寝具店の4代目。上級健康睡眠指導士等、睡眠の専門家でもあると同時に、寝具への深い造詣を持ち、独自の寝具づくりに取り組んでいる。

眠りのプロショップSawada(株式会社沢田商店)
本店・羽毛工房ダウンラボ
〒526-0052 滋賀県長浜市神前町9-11  TEL.0749-62-0057 10:00~18:30 火曜日定休
お問合せ・ご質問は info3@sleep-natura.jp まで

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