間違いだらけのベッドパッドの選び方
私どもの無料の快眠カウンセリングでお問合せをいただくお客さまを見ていますと、本来の目的に合ったベッドパッドを使われていらっしゃらないケースが非常に多いのです。
1.マットレスの上にシーツだけを敷いて使う
マットレスメーカーの中には体圧分散や寝姿勢だけを考えて、マットレス機能の中でも重要な寝床内の温度33℃湿度50%をキープすることを無視しているケースが結構あります。マットレスの上にシーツだけをおすすめしているケースはほとんどで、大手のメーカーですら推奨している場合があって、やりきれない思いをします。
ウレタン系(特に低反発)のマットレスは、身体に密着すると汗の逃げ場所が無くなり、蒸れやすくなります。カウンセリングで「寝汗で困っている」ケースはほとんどがそうです。
さらにウレタン素材に直接汗を吸わすと、劣化が早くなるリスクがありますので、シーツだけというのは困ったものです。
このようなプロファイル(凹凸)ウレタンの場合(ムアツふとんが代表格)は、確かに通気性は良いのですが、その一方で熱が逃げやすく、冬寒く感じられるというケースが多いのです。
2.マットレスの上にパッドシーツを敷いて使う
1.よりはマシですが、量販店やホームセンターなどで「汗取りパッド」などの名称で販売されているものです。上の画像では側生地がタオル地なので汗は吸います。ただこれらの多くは中わたはポリエステル100%で汗を吸いません。
パシーマなど脱脂綿を使って吸湿性がある敷パッドシーツは悪くありませんが、わたの量が少なくて、一晩分コップ1~2杯という汗を吸うには吸湿性能が足りません。
3.ポリエステルのベッドパッドを使う
ベッドにポリエステルわた入りのベッドパッドを敷き、その上からシーツをかける。一般に多く薦められている方法です。家具店などでベッドパッドとシーツがセットになって販売されている例などや、量販店やホームセンター系のベッドパッドもこのタイプが大半です。
ところが、ポリエステルは汗を吸いません。また熱がこもりやすい性質もあります。寝床内温湿度の調整からいうと機能的には不十分です。
中わたが木綿(コットン)のもあります。木綿わたは湿気を吸うのは得意ですが、発散性は良くありません。こまめに干さないと汗を吸ったままになります。
ベッドパッドの役割は寝床内の温湿度調整
快適な睡眠環境-温度33℃湿度50%を実現する
ベッドパッドの役割はなにでしょうか?まず、マットレスに必要な機能をもう一度おさらいしてみて下さい。
この中で、快適な睡眠環境である温度33℃湿度50%を維持するには、汗を素早く吸って発散し、適度に温度を調節することが求められています。一晩に200~400ccといわれる発汗・不堪蒸散の湿気を吸い発散させて、快適な温湿度を調節するのが役割です。
特に重要なのは、入眠から90分の最初のノンレム睡眠です。最も深いノンレム睡眠が得られ、成長ホルモンの分泌も多いこの時に、最も多い発汗が行なわれます。湿度調節ができないと蒸れて不快感が増え、睡眠の質を損ねることになります。
湿度の高い夏に、うつらうつらして眠りが浅くなってしまうのは、このメカニズムによるものです。ウールわたの場合、ベッドパッドだとシングルサイズで1.5kgの羊毛わたが必要とされます。一晩に発散される汗や水蒸気を吸うにはこれぐらいの量が要るのです。ベッドパッドはシーツではなく、敷布団としての機能と考えてください。
ウォッシャブルは必要なのか
最近は清潔志向なのか丸洗いできる=ウォッシャブルであることが重要視される方向にあります。店頭でも「これ洗えますか?」と質問なさるお客さまは多いのですが、実際に洗っている方は1/3。もちろん洗えることは重要ではありますが、ウォッシャブルを謳うために合成繊維だらけの寝具にしてしまうと、快適な温湿度を損ねることになります。
丸洗いのおすすめは3年に1度ぐらい。その程度の頻度であれば、通常洗濯が難しいといわれるドイツ・ビラベック社の羊毛ベッドパッドでも、専門業者ならきれいに洗えます。洗えることを優先するより、睡眠環境を快適にすることを優先しましょう。もちろん、通常は上に掛けるシーツを洗います。
ただ、小さなお子さまがいらっしゃる家庭はウォッシャブルタイプのウールにパシーマのような綿の敷パッドシーツを組み合わせるのがいいでしょう。おねしょなどに備えて、いざという時に風呂場などで洗えるようにした方がいいのです。ただ、一般にウォッシャブル加工のウールは未加工のものより、吸放湿性が低下しますので、一般の方は未加工のウールの方がおすすめです。
眠りのプロショップが羊毛ベッドパッドをおすすめするわけ
羊毛は吸湿発散能力が良いので温湿度の調節に最適
羊毛(ウール)は汗を素早く吸い、発散します。ウールが古来から使われているのは、非常に快適に温湿度を調節してくれるからです。キャメルなどの獣毛系も同じ機能があります。汗を吸収するだけなら綿でも良いのですが、発散能力は羊毛は10倍あって、乾くのが早いのです。
これはずぶ濡れになったウールのコートと綿のコートで、どちらが早く乾くかをやってみれば一目瞭然です。新しい空気が入ると、湿気を逃がしてくれます。そのためドイツではリューマチや神経痛などにはウールが使われてきました。
ニット生地を使うことが、羊毛の良さを最大限に活かす
生地も重要です。眠りのプロショップSawadaでは羊毛ベッドパッドの側生地にはニット生地を使うことをおすすめしています。ニット生地は通常のウールプループ加工の木綿生地に比べると10~20倍通気性が良いため、素早く湿気を吸って放出してくれます。
キャメルわたも悪くはありませんが、厚手の生地で包んでしまうとキャメルの良さは大きく損なわれます。実際に寝比べていただくと、ニットの方がはるかに快適なことがわかります。
夏快適な片面にリネン麻を使ったオリジナルベッドパッド
眠りのプロショップSawadaがお届けするドイツ・ビラベック社と国産オリジナル羊毛ベッドパッドや羊毛敷布団は現在、片面がニット生地、片面がリネン麻生地という仕様を基準にしています。
羊毛の最大の特徴は吸放湿性の良さですが、もともと汗を吸って発熱をする素材であるために夏は熱がこもるという欠点があります。かといって、夏は冬より発汗が多いために、薄い敷パッドだけでは(たとえ麻をつかっていたとしても)吸放湿が十分にできません。
そこで、15年前より片面にリネン麻生地を使った羊毛敷布団やベッドパッドをオリジナルで作っています。麻は熱伝導性が高く、乾きも早いので熱のこもりが少なくなります。リネン麻面を上にして使うことで、さらにそれに麻のシーツや敷パッドを組合せることで、日本の夏にあった快適な睡眠環境が得られるようにしています。
冷え性気味の方は、羊毛ベッドパッドでなく羊毛敷ふとんを
快眠カウンセリングで多いのが冷え性・寒がりです。特にやせていらっしゃる女性に顕著です。このような場合は、ベッドパッドより羊毛わたの量を倍以上にした羊毛敷ふとんをおすすめします。厚手の敷ふとんにすることで、体圧分散を改善し、体表面の接触面積を増やすことで速暖性が高まります。冷え性の方、BMIが20以下の方は敷ふとんをおすすめします。
一推しはドイツ・ビラベック社の羊毛ベッドパッド
ビラベック社は今から90年程前に世界で最初に羊毛布団を作ったメーカーです。品質の高さと、使用した快適感はこの上ないものがあります。一番のおすすめです。
リネン麻付きは眠りのプロショップSawadaだけのオリジナル品です。
ウォッシャブルウールを使ったオリジナル羊毛ベッドパッド
ビラベック社の羊毛が未加工であるのに対し、こちらはウォッシャブル加工をしたE-woolを使った国産のオリジナル品です。いざというときに洗えるので、小さなお子さまがいらっしゃる家庭にはこちらがおすすめです。
冬と夏をさらに快適にするオプション
冬はムートンシーツか、羊毛の敷き毛布がおすすめ
冬快適に暖かくするには、やはり天然素材に限ります。一番のおすすめはムートンシーツ
天然の毛皮の快適性は抜群です。ただ、しっかりしたムートンシーツは価格もそれなりにしますので、お手頃なのは羊毛の敷き毛布です。こちらはウォッシャブルタイプで、簡単に家庭洗濯できるようにしています。
夏は麻の敷パッドか麻のシーツがおすすめ
片面にリネン麻が付いているといっても、最近の日本の夏は異常に暑いので、その上に麻の敷パッドを組み合わせます。表生地も中わたも麻100%が望ましいのです。せっかく麻生地をつかっていても、中わたがポリエステルでは本来の機能が活かされません。
ラミー麻近江ちぢみが最も快適
麻にはラミー(苧麻)、リネン(亜麻)、ヘンプ(大麻)などの種類がありますが、最も涼しいのはシャリ感の強いラミー麻で、さらに皺をつけた近江ちぢみのものが一番です。
リネンは肌ざわりが優しいので、麻のチクチク感やシャリ感が苦手な方はリネンをおすすめします。リネン麻の中でもハードマンズ社の糸を使った生地が毛羽も少なく優秀です。